イヤイヤ期、ママはどこに目を向けたらいい?
イヤイヤとむずかる我が子に親は何をしてあげられる?
イヤイヤ期、ママは我が子のどの部分に目線を向けるのが理想的なのでしょうか? 子育て心理学の観点からお伝えしていきます。
思わず身構えたくなる「イヤイヤ期」という響き
完全にパパとママに頼りきりだった赤ちゃんの時期を過ぎ、1歳半頃からは自分で活発に動くようになります。そして、色々なことが自分ででき始めるようになる2歳頃、やってくるのが「イヤイヤ期」。日本では、「イヤイヤ期」「魔の二歳児」、英語では、「Terrible2(テリブル・ツー)」「Horrible3(ホリブル・スリー)」などとも呼ばれている時期です。我が子のあまりの「イヤイヤ」の連発に、ママも「もうイヤ!」とさじを投げたくなるのがこの時期。眠れない新生児時代も辛いですが、このイヤイヤ期もママにとって、大きな難関です。
ママがこの「イヤイヤ期」を難関と感じてしまうのは、そのネーミングが与える印象もあるように思います。「イヤイヤ期は、子供のイヤイヤと向き合う日々」と身構えている方もいると思います。でも、実際は、ママが向き合う相手は「イヤイヤ」ではありません。向き合う相手を間違ってしまうと、この時期の接し方をも間違ってしまうことになります。
イヤイヤ期の心理学的な意味とは?
向き合うべき相手について述べる前に、イヤイヤ期とは一体何なのかについてお伝えしたいと思います。これまでに、「イヤイヤ期はあるべきもの」「心の成長の一過程」ということを聞いたことがあると思います。この時期のイヤイヤは、子供の発達段階のいわば通過点で、世界中の子供たちがこの道をたどります。
乳児期に感じていた「ボクはママと一緒」という共生的な関係から抜け出し、自分には独自の意思や感情があり、親とは異なる存在であるという意識が急速に強まるのがこの時期。それゆえ、自己主張が激しくなります。それが外に表出された形が、「イヤイヤ」なのです。
ここで見落としてはいけないのが、「イヤイヤ」は、この時期の現象のごく一部であって、全体像を表しているわけではないということです。表に出るので、目に留まりやすいのです。
私たちは、つい目に見えるもので状況を判断しがちです。とくに我が子が、 真っ赤な顔をして、イヤイヤを連呼し、泣き叫んだら、 その姿はイヤでも目に飛び込んできますし、親として、その状態を何とかせねばと思ってしまいます。
でも、目に見えない部分、つまり心の中で起こっていることも非常に大事。むしろそちらの方が重要です。この時期、イヤイヤ以上に目を向けなくてはいけないのは、内部に湧き出ている「一人でやりたい」という思いです。
目線を「イヤイヤ」ではなく、「自立体験」に向けていこう
この時期は、「イヤイヤ期」というよりは、「自立促進期」。その子の中で、自立に向けての作業が繰り返される時期です。親からの見え方だけで判断すると、まさに「イヤイヤ期」はぴったりのネーミングです。「イヤイヤ」ばかり言う子に、これ以上ふさわしい呼び名はないかもしれません。でも実際に、親が気にかけていかなくてはいけないのは、外側からは見えないその子の内部なのです。よくイヤイヤ期の子のママに向けたアドバイスで、「イヤイヤ期は成長の証だから、あっていいもの。ないと逆に心配ですよ」ということを耳にします。イヤイヤがなければないで心配だし、イヤイヤばかりではママはヘトヘト、いったいどうしていいか分かりません。でも、この時期に大事なのは、イヤイヤがあるかないかではなく、その子がどれだけ自立に向けた取り組みをしているかです。
ママの目線が「イヤイヤ」ばかりに向いていると、目の前でむずかる我が子を「何とかしなくては」と思ってしまいます。たとえば、
- 外出先では、「何とか静かにさせなくては!」と思うかもしれません
- 忙しいときには、「これで黙らせよう」とお菓子をあげるかもしれません
- 時間に余裕があるときは、「とことんイヤイヤに付き合ってあげよう」と思うかもしれません
目線をそちらに移すことに成功すれば、それで発生するイヤイヤが意味あるものに見えてきます。ママは、「ちゃんと自立を促せているかな」と自分に確認しながら我が子の行動を見ていくと、お互いに実りのある時期にすることができます。
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