若者たち(20~30代)も地方を目指して動き始めている
シニア世代の夢だった田舎暮らしが、若者たち(20~30代)も地方を目指して大きく動き始めています。そして、地方移住を望む理由として長年トップだった「自然環境」が、最近は「地方で働きたい」がもっとも多くなっています。
【前回記事】東京脱出を夢見ている人が4割!?数字で見る田舎暮らし>>
漠然とした田舎への憧れじゃなく、暮らし全般を見据えた、新しいスタイルの移住を実践し始めた若い世代。今回から、“暮らしの拠点”にスポットを当て、多様化する若い世代の移住パターンを探っていきます。
慣れ親しんだ街?地方の新天地?それとも何処にもこだわらない?あなたらしい移住スタイルの参考にしてください。
都市に拠点を置いたまま田舎に通う暮らし
30~40代の中に、都市と田舎を行ったり来たりする「二地域居住」を実践する人たちが増えています。都会暮らしで培ったきたスキルやネットワークは現状維持しつつ、週末や休日にゆったりと自然の中で子育てやアウトドアを満喫するタイルです。
リタイア後に街の暮らしを引き払って移住する「田舎暮らし」には、その後の生活費の蓄え等の準備が大変でした。その分現役世代には、ちゃんと街での仕事で生活を安定させつつ「地方暮らし」を実現できる、エネルギーとフットワークがあるはずです。
まずは、試運転というスタンスで始めましょう。将来の100%の田舎暮らし実現のための、トライ&エラーです。「ココだ!」と解答が見つかるまで諦めないこと。現役世代として動ける時間はたっぷりあるんですから。気になるのは移動のための諸経費ですが、現在暮らしている街から週末に通える距離の地域にすれば、ある程度解決できるんじゃないでしょうか。
課題なのは、街とは別の田舎での住居の確保ですね。足かせになる新築一戸建てはスルーしましょう。フットワークが鈍ってしまいます。こちらの解決策としては……
・家族や街の仲間と、田舎の借地でセルフビルドで楽しむ。造りながら暮らせるメリットがある。
・農家の空き家、地元の公営住宅等を探して、予算に見合うピッタリの物件を見つける。
自治体発信!空き家情報>>
・中古のトレーラーハウスを田舎に持ち込む。地元役所のOKがあれば、宅地以外でも設置可能。何と固定資産税、建築確認、重量税も不要です。
動かせるのが魅力のトレーラーハウス>>
・山でも海でも、自分の気に入った場所で暮らす。今秋から登場する、ブームの感があるモバイル小屋です。
無印良品の小屋>>
農業をメインにして働く場を拠点にする暮らし
農業を主な生業にしながらも、残りの時間は自分らしい暮らしを探す若者が増えています。例えば、島根県が推進している「半農半X」プロジェクト。自営・雇用の就農を目指す人だけでなく、県外からUIターンして農業+他の仕事(X)を組み合わせたスタイルを実践する移住者を応援しています。
就農前に行う研修に要する経費、定住・就農初期の経営安定のための助成、営農開始するために必要な施設整備のための助成等、それぞれ最長1年間(合計最長2年間)の制度が設けられています。
島根の半農半Xの実践者は50名(2017年3月現在)。島根県の各市町村のパッケージモデルは以下のようなバリエーションに富んでいます。
・【農業】キャベツとスイートコーン+【兼業】酒造会社の蔵人+【住居】公営/民間住宅等の情報提供
・【農業】アスパラガス+【兼業】牧場社員+【住居】空き家バンク登録の情報提供
・【農業】山芋/大根等+【兼業】町内病院の看護師+【住居】町営住宅/農林業研修宿泊施設への入居斡旋
・【農業】白ネギ+【兼業】土木作業員+【住居】空き家の情報提供/定住コーディネイターの現地案内あり
・【農業】露地きゅうり/白ネギ+【兼業】町内スキー場関連+【住居】空き家の情報提供/公営住宅や研修滞在施設への入居斡旋
・島根県は「半農半X」を応援します>>
一家族が自給自足するには、わがままを言わなければ1反(300坪)あれば間に合うとか。
しかし、自分専用の農地を確保しなくても、ご近所の農家の収穫を手伝ったり、地元の里山で山菜採りをしたりと、これも「半農」。そして、自分(家族)のやりたいコトを優先する「半X」。
「半農半田舎のブロガー」「半農半古民家カフェ」「半農半子供のための英会話塾」…… あなただけの「X」が、きっと見つかるはずです。
都会にドップリじゃ息が切れるし、田舎ザンマイじゃ物足りない。目指すのはシャッフル・ライフです。
次回は、「生活拠点なし!ITを駆使するノマドワーカーな暮らし」等に注目してみたいと思います。