お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

30歳貯金70万。住宅と車のローンに第2子誕生で不安に(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、もうすぐ第2子が誕生する30代の会社員男性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 今後5年間の家計のやりくりがカギ

やはり住宅ローンと自動車ローン、この2本を抱えていることが大きな家計負担となっています。ただし、自動車ローンは5年で完済できるわけですから、この間をいかにやりくりしていくか。ここが最初の大きなポイントとなります。

ただし、そのやりくりですが、そう簡単ではありません。まず、出産と育児で、奥様の収入がしばらく途絶えてしまうこと。また、その5年の間に下のお子さんの保育園費用が発生します。おそらく家計支出としてきびしさはピークを迎えるはず。したがって、この時期の家計管理は、赤字を出さないことが一つの目標となります。

収入面では、奥様のパート収入を平均7万円とすると、それが全額なくなります。増収としては、児童手当が2歳まで1万5000円となりますが、長男の方の児童手当がもうすぐ1万円に減額されますから、結果的に当面は1万円のプラスとなります。これだけで月6万円の減収ですから、毎月の収支は2万~3万円のマイナス。これを他の支出を削ることでカバーし、赤字が出ないようにしたいところです。

とは言え、どうしても支出が重なり、それが無理な月もあるはず。現状、ボーナスからの補てんもきびしいため、その場合は貯蓄を取り崩すことになります。結果、この5年間で今ある貯蓄(60万円)がなくなっても仕方がありません。

それほど、家計はきびしいということです。ただし、貯蓄だけでは足りず、新たに借り入れをすることは、たとえ少額であっても避けてなくてはなりません。借りてしまうことに「抵抗感がなくなる」ことが、もっとも怖いからです。
 

アドバイス2 優先すべきは生まれてくるお子さんの教育費

では、家計のどこを見直すべきか。

基本はその世帯にとって、優先順位の低いものから削るということです。ですが、食費はこれ以上削ることはできません。そうなると、対象となる費目は家族の小遣いと娯楽費くらいしか見当たりません。まずは、ここをどれだけ抑えることができるか。これを機会に、ご夫婦で話し合ってみてください。

もうひとつ、見直しすべきは保険となります。

奥様の終身保険は、老後資金づくりを目的として加入されたとのこと。方法としては、間違ってはいませんが、今、資金づくりで最優先とすべきは、今から生まれてくるお子さんの教育費。したがって、払済保険にして、浮いた保険料は教育資金として、定期預金等で積み立てます。

ただし、奥様がまた働かれるようになれば、死亡保障が新たに必要です。死亡保障1000万円、保険期間は20年で、いわゆる掛け捨てタイプの定期保険で確保します。保険料は月額1000円台前半です。

一方、ご主人ですが、死亡保障付きの終身保険は不要です。奥様の終身保険と同様に払済保険にします。割高の終身保険で死亡保障を確保する余裕が、現状の家計にはありません。

と同時に、ご主人の死亡保障自体、不足しています。教育資金代わりという終身保険の死亡保障額が不明ですが、新たに2000万円は確保してもいいでしょう。やはり掛け捨てタイプの定期保険で保険期間は20年、保険料は3000円台前半といったところでしょう。

結果、年間24万円の保険料が節約できます。5年間で120万円。これは教育資金の原資、もしくは本当に資金的にきびしくなったときのための予備費=最後の砦となります。
 

アドバイス3 「貯めどき」を迎えたら確実に貯蓄をする

さて、その教育資金ですが、ご主人名義の終身保険がまずそれに充てられるとのこと。15年後の解約返戻金額が不明ですが、仮に400万円だとします。私立大の文系であれば、4年間の学費はそれでほぼ準備できます。ただし、私立理系であれば平均520万円ですから、120万円の不足。もちろん、国公立大学であれば資金的には問題はありませんが、逆に高校が私立となれば、学費は平均300万円ですから、この解約返戻金だけでは「安心できる」とまでは言い難い、ということになります。

したがって、今後の貯蓄が大事になります。

返済期間5年の自動車ローンが終われば、それだけで年間35万円の家計負担がなくなりますから、貯蓄ペースは自ずと上がっていきます。さらにその翌年には、下のお子さんが小学校に入学し、教育費も低下し、いわゆる「貯めどき」となるわけです。

復帰後、奥様のパート収入が月8万円とすれば、年間70万円の貯蓄は家計管理をしっかり行えば、十分可能でしょう。15年間継続できれば1050万円。先の400万円を加算すると1450万円ですから、「貯めては支出」の繰り返しにはなるものの、どのような進路でも、ほぼ対応できる金額と考えていいと思います。
 

アドバイス4 妻が正社員、夫婦とも65歳まで働く

ただし、この貯蓄ペースでは「老後資金も用意できる」とまではいきません。お子さん2人の教育費がかからなくなってから(大学院等は考慮せず)、ご主人が定年となる60歳までに貯蓄できる期間はおよそ10年。さらに貯蓄ペースが上がったとしても、貯蓄できる金額は、その10年で1000万円が上限でしょう。

プラス退職金が老後資金になりますが、公的年金支給が65歳からとしても、60歳からの5年間の生活費が大きな負担となります。月20万円に生活費を抑えても、1200万円。さらに、住宅ローンの完済がご主人63歳のとき。ボーナス払いだけでも、年間30万円を毎月の生活費に加算しなくてはいけません。退職金が1000万円だとしても、65歳の時点で貯蓄=老後資金は500万円程度しか残らないという可能性も十分にあります。

したがって、老後資金づくりには、奥様の収入に依存する部分が相当に高くなります。10万円以上、できれば15万円程度までアップさせる。それにはパートでは無理ですから、理想は正社員、それが難しいのであれば派遣社員、契約社員を目指す必要があります。また後者であれば、厚生年金加入を条件としてください。受けとる老齢年金の金額がアップするからです。そして、夫婦とも65歳まで元気に働く。そのために、今から健康管理には十分気を配る。それが今できるもっとも効果的な老後対策なのです。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武



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