体臭が発生するメカニズムとは……撃退する方法
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」とは孫子の兵法の言葉ですが、体臭対策も同じです。そもそも、体臭とは何か?体臭が発生するメカニズムは? 本当の原因は? そこからわかる対処方法は? 体臭が発生するメカニズムを知って、体臭対策につなげましょう。そもそも体臭って何?
体臭というと、それだけで悪いものと思われがちですが、実はそうではありません。植物も動物も生き物は全部、種に固有の体臭を持っています。犬は犬臭いですし、猫は猫臭いです。実は他の動物からすれば人間は人間臭いと感じます。また、その種の中でもニオイの個性がそれぞれあり、犬などは臭いだけで個を特定できます。人間は視力が発達し、パターン認識力を発達させましたので、顔で個を見分けます。
また、時々のシーンによっても独特の体臭を発することも知られています。緊張した時のニオイ、リラックスした時のニオイなどがあります。発情した時のニオイはフェロモンと呼ばれ、求愛に必要な体臭です。
このようにもともと体臭というものは、あるのが当たり前なのですが、衛生概念が発達した先進国では、体臭が強いことを嫌う傾向にありあす。それでも肉食が多い西欧ではかなり体臭が強い人も多く、強い香水などでカバーしています。
それに比べて東洋人、特に日本人は体臭がもともと少なく、衛生概念も強いので体臭を特に嫌う傾向が強いのです。
では、どうすればいいのか。ここでは「ホップ、ステップ、ジャンプ」の三段階で紹介していきます。
ホップ~臭いニオイはもとから断たなきゃダメ!~
人間なら誰でもある正常な体臭のことを「生理的体臭」といいます。これを無くすことはできませんし、それほど人に不快感を与えるものでもありません。生理的体臭は一般的にいう良い匂いではありませんが、フェロモンも含まれており、その人を忘れられない魅惑の香りともなります。問題はこれを超えた悪臭です。生理的体臭を超えて悪臭となる体臭の発生原因は、毎日食べている食事と深い関係があります。ニンニクやニラなどを食べると、それが口臭や体臭の原因になることは良く知られていますが、それ以外にも多くの悪臭の原因になる食品があります。
代表的なものは2つあり、その一つは肉類です。肉などの動物性たんぱく質には硫黄を含んだアミノ酸が多く含まれており、悪臭の原因物質である硫化水素やメルカプタンの原料になるからです。 もう一つの代表は肉や乳製品に含まれる動物性脂肪です。動物性脂肪には脂肪酸が多く含まれます。動物性の脂肪酸は酸化しやすく、いわゆる脂臭い体臭のもとになるのです。
同じ動物性のたんぱく質や脂肪でも、牛肉や豚肉に比べて魚や鶏肉は悪臭の原因物質が少ないので、こちらがおすすめです。また、たんぱく質の種類を選ぶだけではなく、食べ過ぎないことと、野菜などとともにバランスの良い食事をすることが、夏の体臭予防の一歩目です。
ステップ~腸内ドロドロ、血液ドロドロが体臭の原因~
体臭予防には、悪臭の原因物質となるものをなるべく食べないで、野菜や海藻中心のバランスの良い食事が良いですが、それだけでは足りません。ニンニクやニラなどの元々ニオイのきつい食品以外であれば、体臭の原因物質を含んだ食品を食べても、それが直接体臭になることはありません。それが体臭になるのは、腸内環境と深い関係があります。
腸内環境が悪化して、いわゆる悪玉菌が増えると、食品中の悪臭原因物質を餌にし、悪臭物質が増加してしまいます。肉ばかり食べてバランスを欠いた食生活をしていると、腸内には悪玉菌がますます増えていきます。
こうなると食べたものは消化されるというより、腸内で腐敗したような状態になってしまいます。そして、これが血液に漏れ出すと、血液中の悪臭原因物質が汗や皮脂に混ざって皮膚表面に露出し、いよいよ体臭になるのです。 お酒の飲み過ぎや、喫煙なども体臭を強くする原因の一つです。アルコールを摂取すると、血中に入ったアルコールやその分解物であるアルデヒド類が、息から出たり、汗や皮脂などから体外に出たりして体臭となります。
また、タバコを吸うと口がヤニ臭くなるのはもちろんですが、ニコチンやタールが口腔粘膜や肺から血液に入り、それがまた息から出たり、汗や皮脂に溶けて体外に出たりして体臭になります。
お酒の飲み過ぎや喫煙は肝臓の働きも低下させてしまいます。こうなると、食べたものや血液中の悪臭原因物質の分解ができず、血液がドロドロの状態になり、その結果として体臭がきつくなります。
腸の状態、血液の状態、肝臓の状態を良い状態に保つことが、夏の体臭予防の二歩目です。
ジャンプ!~体臭を空中に発散させる皮膚常在菌~
このようなメカニズムで、体臭の元になる物質は、腸、肝臓、血液を経由して皮膚表面に分泌されます。そして、これを待ち受けているのが、「皮膚常在菌」です。皮膚常在菌は腸内菌と同様に誰でも持っており、皮膚の健康に不可欠なものです。しかし、これも腸内菌に善玉菌と悪玉菌がいるように、善玉菌と悪玉菌があります。悪玉菌が増えると皮膚に炎症などのトラブルが起きやすくなります。汗や皮脂から出てきた悪臭物質を好んで食べ、それをさらに揮発性の高い悪臭物質に変化させて排出します。もうこうなると、1m以内には絶対近づきたくないような体臭の持ち主になってしまいます。
この皮膚常在菌をコントロールするには、入浴したり、シャワーをこまめに浴びたりするなど、皮膚や頭皮の清潔を保つことが重要です。デオドラントソープや、様々な体臭対策製品も良いですが、まずはシャワーと入浴です。
日中に体臭が気になる人は、朝シャワーを浴び、夜も風呂に入るなどすると良いでしょう。そして、普通の石鹸でも構わないので、体臭原因物質が分泌されやすいアポクリン腺(大汗腺)が多い、四肢の付け根や頭や体の中心線を意識してしっかり洗います。 皮膚常在菌は剥落した皮膚の角質や汗や皮脂などの分泌物を食べて増えます。悪玉菌が大好きな悪臭原因物質の元になる食事や生活をしていては、いくら皮膚を洗っても皮膚常在菌の状態は改善しません。先ずは食生活などの生活習慣の改善があって、皮膚の善玉菌も増えるのです。
むやみに体臭対策製品を使っても、基本ができていないとほとんど効果は出ません。基本的な対策をしっかり行った後の仕上げに使えば、それなりの効果も期待できます。
このように皮膚に分泌された悪臭物質を更に強力な揮発性物質に分解する皮膚常在菌のコントロールが夏の体臭予防の三歩目です。
汗をかくことが多いと誰でも体臭が気になりますが、今回の三段階の対策をしっかり行えば、心配することはあまりありません。逆にあまり気にし過ぎると、ストレスで体臭が出やすくなります。今回お伝えした体臭が発生するメカニズムをしっかりと把握し、生活習慣の改善につなげ、爽やかに過ごしましょう!
【関連記事】