自分が成長するような機会を作り、そこに飛び込む
リクルートの創業者である江副浩正氏がかつて、「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」と言ったように、自分の意志で自分を変えようとするより、機会を通じたほうが変えやすいと言えます。たとえばダイエットしようとしたとき、意志に頼ると挫折しやすいけれども、刑務所に服役すれば自然に痩せられるというのはわかりやすいでしょう。規則正しい生活、適度な運動、十分な睡眠時間、バランスが良く腹八分の食事という健康的な生活を強制されるからです。
実際、糖尿病患者だった人が犯罪を犯し、刑務所暮らしから出てきたら、血糖値は健康な状態に戻り糖尿病が治っていたという医師の話もあるくらいです。もちろん刑務所の話は参考にはなりませんが、これを私たちの生き方に当てはめると、「自分が成長するような機会を作り、そこに飛び込む」ということになります。
それは、今の自分の能力ではできるかどうかわからない難易度が高い仕事に取り組むことや、新しい挑戦をすることと言えます。
たとえば毎年富士山に登っているだけでは登山力は上がらない。世界の様々な山に登ってこそ、経験やノウハウが蓄積され、応用が利くようになる。同様に、ルーチンワークだけでは、いつもの日常、いつもの自分であり、変化も成長も期待できない。
そこで、新しいプロジェクトに手を挙げる、部署の移動を申し出る、あるいは転職することで、今まで自分がやってきた方法だけでは通用しない世界に飛び込めば、自分が変わらざるを得ないというわけです。
仮にそういう機会が作れなかったとしても、より高い目標設定を自分に課すことです。それも、従来の延長線上では達成できないような目標を。たとえば今までの10倍の仕事を引き受ける。すると、今までかけていた時間の10分の1で仕事をこなさないといけない。それにはやり方をガラリと変えなければならない。脳が猛然と動き出し、ゼロベースでの発想につながるかもしれない。
そうやって挑戦し試行錯誤を続ければ、仕事の地力が上がっていく。すなわちそれは「成長」に他なりません。
「機会は待つものではなく創るもの」とは言い古された言葉ではありますが、実践している人は多くありません。なぜなら、いつもの日常の方が快適で安心でラクだからです。
しかし水も澱めば腐るように、人も同じところに留まれば退化していく恐れがあります。退化とはいかないまでも、周囲が努力し前進していれば、相対的に自分が後退することになかねません。昔取った杵柄、昔の栄光は必ず錆びていきます。
自分は自分の成長のためにどういう機会を作るべきか、都度振り返ってみるようにしたいものです。もちろん、私自身の自戒の意味も込めています。