年金

すぐわかる!年金額の計算方法 平成29年度版(2ページ目)

公的年金の額は、物価の変動や現役世代の賃金水準の変動に連動する仕組みとなっており、毎年4月に改定されます。2017年度の年金額はどうなったのか、年金額の改定の仕組みと年金額の計算方法を解説します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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計算式をみてみよう――厚生年金編

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計算が少し複雑な厚生年金の年金額計算法です

会社員や公務員の人が加入する厚生年金からは、年金制度の2階部分にあたる老齢厚生年金が支給されます。受給資格を満たし、厚生年金保険に加入したことがある人は、65歳から受け取ることができます(生年月日によっては、一定要件を満たせば、60歳から64歳の間でも部分的に受け取ることができます)。

老齢厚生年金は現役時代の収入によって年金額が異なる「報酬比例」の年金です。つまり、入社したときから、退社するときまで(転職した場合は通算)の全期間の給与や賞与(標準報酬月額・標準賞与額)の平均額をもとにして、厚生年金加入期間と給付乗率を掛け合わせて年金額を計算します。

なお、2003年4月に導入された総報酬制により、それまで年金額には反映されなかった賞与が報酬比例の年金額に反映されるようになりました。したがって、老齢厚生年金の年金額を求める計算式は、2003年3月までの加入期間をもとにした年金額と、2003年4月以後の加入期間をもとにした年金額を別々に計算し、合計した額となり、以下のような計算式になります。
 
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 2017年度の老齢厚生年金の計算式

式の中にある「平均標準報酬月額」とは、簡単に言うと現役時代の給与の平均です。会社に入社し、厚生年金保険に加入してから会社勤めを辞めて厚生年金保険の被保険者資格を失うまでの全期間の給与の平均額です。

また、「平均標準報酬額」とは、2003年4月以後の総報酬制が導入された後の期間についての賞与も含めた平均です。つまり、給与と賞与を合わせた平均額ということになります。

なお、給与や賞与をそのまま平均してしまうと、平均額は現在価値に比べて低いものとなってしまいますので、過去の給与や賞与にその後の賃金の上昇などを考慮した「再評価率」という率を掛けて、現在の賃金水準に再評価した上で平均額を算出します。この再評価率は年代によって細かく設定されています。

 

事例でみてみよう――2017年度の年金額

それでは、今年65歳になったSさんの例を使って、今年度の年金額の計算の仕組みをみていきましょう。ここでは、Sさんの本来水準の老齢厚生年金(報酬比例部分)と老齢基礎年金についてみてみましょう。

例)Sさん:1952年4月生まれの男性65歳(無職)
○厚生年金加入(会社員)期間
2003年3月(総報酬制導入)以前:336月
平均標準報酬月額:30万円
2003年4月(総報酬制導入)以後60歳まで:108月
平均標準報酬額:40万円

○国民年金任意加入期間
学生であった20歳からの3年間(36月)については、国民年金は未加入。
○国民年金保険料免除期間:なし

《老齢基礎年金の額》
77万9,300円×444月/480月=72万853円(円未満四捨五入)


※前ページの計算式により上記のように計算されます。なお、20歳から60歳までの厚生年金加入期間444月(336月+108月)は、同時に国民年金にも加入しているため、この期間が老齢基礎年金額に反映される保険料納付済期間となりますが、国民年金未加入期間(36月:3年)は計算式に参入されません。


《老齢厚生年金の額》
(1)(総報酬前)30万円×7.125/1000×336月=71万8,200円
(2)(総報酬後)40万円×5.481/1000×108月=23万6,779円
(1)+(2)=95万4,979円(円未満四捨五入)

※計算式により上記のように計算されます。このほか、Sさんの家族構成等によっては各種加算が行われます。


2017年度の年金額の改定についても見てみましょう

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