70歳以上も所得の多い人は負担増、少ない人は負担が軽減

70歳以上の高額療養費が改正

70歳以上の高額療養費が改正

病気やケガで入院や手術をした際に、医療費の負担を軽減できるのは「高額療養費制度」があるためです。公的医療保険制度の代表とも言える制度ですが、医療費負担が増加していることから、2017年1月に改正されました。

改定により所得の多い人は負担を増やし、少ない人は負担を軽減されるかたちになりました。

これは現役世代に関係する改正ですが、70歳以上の人の高額療養費制度が2017年8月に改定されました。さらに続けて2018年8月に改定されます。医療費負担を考える際のベースになる70歳以上の高額療養費制度の改定について解説します。

高額療養費制度とは?

高額療養費制度の基本的なところを確認しましょう。病気やケガで入院したり手術をした際、健康保険の現役世代の人は通常3割負担です(義務教育就学前2割)。70歳以上は2割、75歳以上は1割負担になります。

但し70歳以上でも現役並みの所得がある場合は、3割負担となります。特例措置などが設けられていましたが、実態(所得による負担能力)に合わせたかたちになりました。これをベースにさらに高額療養費制度があります。

仮に医療費が100万円かかったら3割負担なら30万円、2割負担なら20万円、1割なら10万円となります。しかし高額療養費制度によって、医療機関などで支払う医療費が1ヶ月(月の1日から末日)で一定の上限を超えた場合には、上限額を超えた分はお金が支給されて負担が軽減されます。

なお、高額療養費制度による負担軽減には、入院中の食費や差額ベッド代などは原則として含みません。食費についてもここ数年改定による引上げが続いています。2018年4月も引上げられており、1食数百円の引上げながら入院中は毎食のことなので決して小さくない負担増です。

現状の高額療養費制度の内容(69歳以下)

2015年1月に改定された69歳以下の高額療養費制度は、下記のように改正されています。現役世代や69歳以下の人はこれが医療費のベースになります。なおこの世代については2017・2018年の改定はありません。各表はクリックで拡大します。69歳以下の高額療養費制度

69歳以下の高額療養費制度

改定前は3区分だったものが5区分になりました。簡単に内容をまとめると所得の高い人の負担を増やし、低い人の負担が軽くなっています。表の真ん中の区分の人は変更されていません。

現状の高額療養費制度の内容(70歳以上・~2017年7月)

2018年の改定内容の前に従来の制度の内容を確認しておきましょう。70歳以上の人の高額療養費制度は、2017年7月診療分までは次のとおりです(2017年の改定前)。70歳以上の高額療養費制度(~2017年7月)

70歳以上の高額療養費制度(~2017年7月)

70歳以上の高額療養費制度改定の主旨

現行の制度をみるとわかりますが、仮に年収が同じであった場合には若い世代の人よりも高齢者の方が負担は軽くなっていました。しかし例えば70歳以上でも会社経営などに携わっていれば年収はそれなりに高いでしょうし、若い世代でも収入が低い人もいます。

個々の実態に合せて公正性を図るというのが、2年続けて改正される70歳以上の高額療養費制度改正のポイントです。

高額療養費制度の改定内容(70歳以上・2017年8月~)

2017年8月以降の診療分から、70歳以上の高額療養費制度は下記のように改正されました。健康保険のように現役並の所得がある人の負担増としています。
70歳以上の高額療養費制度(2017年8月~)

70歳以上の高額療養費制度(2017年8月~)

高額療養費制度の改定内容(70歳以上・2018年8月~)

2017年の70歳以上の高額療養費の改定を踏まえて、2回目は2018年8月以降の診療分より、さらに下記の改定が実施されます(70歳以上)。
70歳以上の高額療養費制度(2018年8月~)

70歳以上の高額療養費制度(2018年8月~)

改定内容を見るとわかりますが、高齢者であっても所得のある人については一気に負担が引き上げられます。健康保険の負担割合もそうですが、高齢者だから現役世代だからというのは関係なく、所得の実態に応じた負担能力を実態に反映させる内容になります。

人口の中に高齢者の割合がどんどん増えていく中で、2025年までには人口構成比の高い団塊世代の方が75歳以上になります。社会保障については年金・医療・介護などが大きな改正の柱です。

特に年金は社会保障給付の割合が高いため、最近公的年金の繰下げ受給についての話題がよく出てくるようになりました。比較的、公的医療保険制度については手を付けやすいようで、ここ数年色々変わってきています。

公的な支援制度は、今後も少しずつかたちを変えていくでしょう。いずれにしても自助努力が求められる割合が増えていく方向ではあることは再認識しておかなければなりません。

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