アドバイス1 「恩返し」は家族が元気で過ごすこと
相談文、拝見しました。その中に「これ以上、周りの方に迷惑を掛けず、恩返しをしたい」とあります。ここで言う「恩返し」が、借りたお金の返済だとお考えなら、それは少し違うと思います。現状を考えれば、返済は容易ではありません。
今目指すべきは、ハナボウさんの家族3人が元気で過ごすことです。そうすれば、これ以上借り入れを増やさず暮らせるはずです。少しずつ将来の蓄えもできるかもしれません。それこそが今できる「恩返し」です。お金を工面してくれた周囲の人たちもそう思っているのではないでしょうか。
ハナボウさんは、家族を支えるためにこれまでよく頑張ってこられたと思います。そして今後も支え続けなくてはいけません。したがって、返済のために無理をして倒れでもしたら、それこそ元も子もありません。お子さんもご主人も経済的に立ち行かなくなります。そして、それこそがもっとも避けたいリスクなのです。
支出を抑える意識も必要ですが、しっかり食べることが最優先です。そして家族の健康に気を配る。健康という前提があってこその、家計の見直しや再建なのです。
そして、家計の再建が落ち着き、余裕ができたときにハナボウさんが考えている恩返しを行うようにしてください。何も恩返しを行わないとハナボウさん自身も落ち着かない、あるいは納得がいかない面があるでしょうから・・・。
アドバイス2 「貯蓄ゼロ」が今抱えている最大のリスク
とは言え、データにある家計支出については見直す部分はほぼありません。ここから何かを削るのは難しいでしょう。しいて言えば、自動車ローンの返済が終わればその分、家計がラクになりますが、繰上返済は資金的に不可能ですから、完済まであと2年待つしかありません。ローンは何が優先かという質問がありましたが、ルールに従って返済できるものから順次返済していく。そういう考えで構いません。
家計改善に可能性があるとすれば、不定期支出です。収支だけを見れば、月5万円は黒字になります。このうち、どれだけ支出に回ってしまうのか。年間で見れば、自動車税や車検、自動車保険の保険料、さらには医療費等の不定期な支出もあるはずです。ボーナスが少額ですから、結果的に毎月の生活費の負担になるでしょう。しかし、中には無駄な支出、使途不明金があるかもしれません。そこを削っていくことになります。
今抱えている家計リスクは、貯蓄がまったくないということ。まとまった支出に対しては、また借り入れをするしか対処法がないですが、これ以上キャッシングや銀行ローンを利用することは避けなくてはいけません。予期せぬ支出の備えとして、少額でも余れば貯めていくという意識は持ってください。
アドバイス3 ご主人の社会復帰は焦らず慎重に
支出を削れないなら、収入アップということになります。ですが、ハナボウさんの副業も月2回が限界ではないでしょうか。先ほども述べましたが、無理をして体を壊すことがあってはなりません。また、ご主人の職場復帰は今後の家計改善の大きなポイント。ハナボウさんが書かれているように「月5万円」でも稼ぐことができれば、毎月確実に貯蓄することも可能です。ですが、個人的には焦るべきではないと思います。
もしも職場復帰に失敗したら、今以上に症状を悪化させてしまうのではないでしょうか。主治医の方は「まずは半日くらいから」と言われているようですが、私は、職場環境が許すなら日に2時間程度の就業から始めてほしいと考えます。
収入アップという意味では、公的なセーフティネットを積極的に利用していくことです。確かに、障害基礎年金の場合は障害等級で1級および2級のみが支給となり、3級程度は対象外です。ただし、もし市区町村での確認であれば、福祉事務所などにも足を運んでみてください。有効なアドバイスが得られるかもしれません。そして今後、本当に生活が苦しくなった場合は、悩まずすべての公的支援に対してアプローチをすべきです。
今後の目標としては、お子さんが中学するまでに家計が黒字で回り、貯蓄できる家計にしていく。不確定要素もありますが、各種ローンの返済が終わり、ご主人が職場復帰を果たせば光は見えてきます。それまでは少なくとも現状維持に努め、これ以上借り入れをしないこと。家族で協力をし合いながら、ぜひ頑張ってください。
相談者「ハナボウ」さんより寄せられた感想
この度は、選んで頂き有り難うございました。自分の行っている状態・家計が間違っていないのだと安心しました。車のローンが終わるのが、来年で、見通しは見えているのですが、より明確にわかって本当によかったです。アドバイスを元に頑張っていきます。誠に有り難うございました。また、アドバイスをくださった深野様にも感謝しています教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
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