人気のノートe-POWERとはどんなクルマなのか?
軽自動車とセレナを除くと、国内で売れるクルマが少ないと揶揄されてきた日産自動車。
マイナーチェンジを機に追加されたe-POWERを強力な推進力として、日産としては2016年11月の新車販売ランキング(登録車、軽自動車の両方を含む)で約30年ぶりに1位を獲得。2017年1月にも1位、2月は2位、3月にも1位を獲得し、2016年下半期において最も売れたコンパクトカーとなっている。
フルモデルチェンジではなくマイナーチェンジで1位を獲得できたのか。さらに、ノートe-POWERには、「電気自動車のまったく新しいカタチ」というコピーが付けられていて、「昔からあるシリーズハイブリッドじゃないの?」という声も聞こえてきます。
「シリーズ(直列)ハイブリッド」といえば、諸説あるものの、あのフェルディナント ポルシェ博士が試作したことでも知られている。少なくても100年以上前からチャレンジされてきた技術であり、「新しい」ものではない。さらにトヨタが1997年に「コースター ハイブリッド」というシリーズハイブリッドの小型バスを市販している。
ノートe-POWERは何が新しいのか?
では、ノートe-POWERは何が「新しい」のか? ハイブリッドとは2つ以上の動力源をもつ(駆動に使う)ものと一般的に定義されていて、クルマで言えばエンジンなどの内燃機関とモーターなどの電動機ということになる。
ご存じのとおり、ノートe-POWERは、エンジンを発電に特化させ、モーターのみで駆動する。エンジンを駆動に使わず、100%モーター駆動となるため、「電気自動車のまったく新しいカタチ」と表現できたわけだ。
そこに、リーフで培われた制御や制振対策が盛り込まれている。ノートe-POWERは、車両重量がリーフよりも200kg以上軽いにもかかわらず、最高出力をリーフと同じ80kWとして動力性能に余裕を持たせた上に、アクセルペダルのみで加減速を調整できる「ワンペダル」ドライブという減速(回生)制御も人気の理由だという。
しかもノートe-POWERは、かさばるバッテリーを前席下に配置し、居住性、積載性を犠牲にしていないのも美点で、ノートはコンパクトカーとしては全長が長めだから広さを享受できる。この点も売れている理由のひとつだろう。
「枯れた技術」と呼ばれることも多いシリーズハイブリッドに、日産が得てきたEVの技術を加味し、新しい商品性を付け加えたのがノートe-POWERの成功の秘訣で、ほかの車種への拡大も可能だし、期待されるところだ。