ツケ払いがちょっとした問題になっていますが
とあるショッピングサイトがスタートしたサービス「ツケ払い」を無計画に利用し、支払い期限にパニックになる若者の姿がネットで話題となっています。ショッピングサイトの運営が悪いような書き方もあるようですが、私はちょっと違うと考えています。このツケ払いシステム、簡単にまとめると
・利用できる金額は54000円までに限られている
・手数料が324円かかる
・購入をして2カ月後までに支払う
というものです。これはクレジットカード会社を使わずにお金のやりとりをしているにすぎません(収納代行業者をはさむ)。
クレカでの買い物の場合は後から請求されても仕方ないのに、ツケ払いで後から請求が来て文句を言うのはおかしな話です。
(ツケ払いが割賦販売法の適用を免れている、といった法的問題については別に論じられていますので、ここでは触れません。ただし違法ではありません)
私たちはむしろこの問題をきっかけに、私たちの買い物の多くは本質的に「ツケ払い」であることを認識すべきだと思います。
実はクレジットカードの支払いもマネーハック的にいえば「ツケ払い」なのです。
カード払いはすべて「ツケ払い」である
買い物をして、その場で現金を払わない方法はいくつかあります。クレジットカードはその代表的なものですし、電子マネーで決済し、後日クレジットカードで支払う人もいます。これと当該サイトの「ツケ払い」は構造的には同じです。
先ほどのツケ払いシステムの特徴と同じ整理をしてみると、クレジットカードは、
・利用上限はもっと高い(数十万円)
・手数料は取られない(ただし支払い方法によって金利を取り、324円を上回ることが多い)
・購入の翌月もしくは翌々月に支払う(分割払、リボ払いの場合は複数回に分けて支払う)
という仕組みです。支払いの流れを確認すれば、
(購入日)クレジットカードを提示するが、そのときはお金を払わない
(後日)クレジットカードの支払い明細が届く
(後日)クレジットカード会社に利用金額を払う
ということになります。
クレジットカードの支払いには手数料は引かれないものの、3回以上の分割払いもしくはリボ払いを選択すると、利用残高に対して一定の金利が上乗せされます。
リボ払いのほうがつけ払いより危ないかも
この利率、カード会社はわかりにくく表記するため理解しにくいのですが、結構な利率です。分割払いを選択、6回に分けて支払えば年利12%くらいがかかりますし、リボ払いは年利15%くらいはかかります(取引条件は個々に異なる)。仮に年利12%、6回払いで10万円の買い物をすると、合計支払額は103529円になります。つまり3500円も割高な買い物をしてしまった、ということです。
仮に年利15%で10万円の買い物をし、リボ払いを選択、毎月1万円ずつ返済すると合計支払額は107503円になります。こちらはもっと割高な買い物です。
カードを使ったメリットとしてポイントをもらえることがあります。しかし還元率は一般的には0.5%なので、金利を上回ることはありません。
分割払いは、ひとつひとつの買い物について金利が固定されていますが、リボ払いはもっと危険です。
リボ払いはいくつもの買い物の借り入れ残高をひとまとめにしてそこから金利をとる仕組みです。4月に3万円、5月に2万円、6月にはゼロ円……というようにリボ払いをしていき、気がつけば残高が50万円まで積み上がったとします。
年利15%とすれば1カ月後には6250円の金利が乗り、月1万円を返したところで実質的には3750円しか返せていない状態になります。
「クレジットカード会社の言うとおりに返していれば、返し終わる」のではなく、金利をどんどん乗せられていくことになるわけです。
利用残高が多いと、返済を月2万円にされることもありますが、こういう人は2万円返し、また1万円買い物してしまうので、永遠に金利を払うことになります。
リボ払いと比べると、はっきりいってショッピングサイトのツケ払いのほうが条件はかわいいくらいです。54000円の上限であれば、学生なら短期バイトをしたり、会社員ならボーナスで返せなくもないからです。
金利を払わない人生に変わろう
ここまで読んでピンときた人も多いと思いますが、クレジットカードは「1回払い」にすれば金利を引かれずにすみます。一部のカード会社は2回払いに対応しており、これも無金利です。金利ゼロでポイントは貯まりますから、実質的には現金よりも割安な買い物になります。
実際の利用額より割高な費用を払う人生、最悪の場合、利息を返すために返済をし続けるゾンビ状態になるのと、現金払いや一括払いで割安の買い物とする人生のどちらがマシかは明らかです。
ツケ払いで懲りた人は、今後は一切利用せず、またクレジットカードの支払いにおいてもリボ払いや分割払いを行わないことが大切です。
金利を払わない人生に切り替えていきましょう。