既に述べましたように、デザイナーズ住宅は都市型住宅を表すことが多いようです。これは、建築家や設計士の活躍の場が、郊外の住宅よりも都市部に多いためと思われます。まあ、郊外タイプの建物でもそう呼ばれるものもありますが。

見た目では判断できない住宅のデザイン

グッドデザイン賞にノミネートされた仏壇。現代の暮らしにもフィットするモダンなデザインが採用されている

グッドデザイン賞にノミネートされた仏壇。現代の暮らしにもフィットするモダンなデザインが採用されている

しかし、これも先ほどご紹介したように、ちょっとデザイン的に凝った建売住宅でも、デザイナーズ住宅と冠が付けられる事例もあります。それは、おそらくこのネーミングを用いると、イメージが良くなり売りやすいと考えられるからでしょう。

ただ、ここで考えていただきたいのは、住宅のデザインというのは決して見た目だけでは判断できないということです。住み心地や使い勝手、安全性などを備えているからこそ、デザイン的に優れているといえるのです。

これは、グッドデザイン賞を受賞するような製品にも共通しています。それらは見た目はもちろんのこと、使いやすく、そして長く使えるよう飽きのこないデザインになっています。加えて、誰にでも使いやすいという、ユニバーサルデザインの思想も盛り込まれていることが多いですね。

高度な提案と工夫が求められる都市型住宅

住宅のデザインも同様。都市型住宅を例に取ると、郊外型の住宅に比べて大変高度な提案や工夫が求められます。狭小な敷地に建てられることが多く、どうしても縦方向に居住空間を確保する必要があるため。居住空間を広く取るには収納や階段スペースなど様々な箇所にツケが回ってきます。

一般的にイメージされるデザイナーズ住宅の事例。これは賃貸住宅の内部空間。機能的ではあるが、冬季に取材したときは寒くてしょうがなかった

一般的にイメージされるデザイナーズ住宅の事例。これは賃貸住宅の内部空間。機能的ではあるが、冬季に取材したときは寒くてしょうがなかった

ですから、住宅の場合は、見た目と同時に無理のない住空間を実現しているのが、本当に良い住宅デザインといえそうです。決して、デザイン性が先立った住宅を良いデザインと呼ぶのではないと私は考えています。

よくあるケースですが、「10坪の敷地に建てたけど、デザイン性に優れている」なんていうのを、良いデザインの住宅とは評価できないというのが私の立場。狭いというのは、それだけ制約が多いのです。それをよく分からない「デザイナーズ住宅」という言葉でお茶を濁すというのは、あまり感心したものではありません。

この風潮、結構、住宅の世界では幅を利かせているように思います。もっとも、超狭小住宅だからといって、全てがダメだというつもりはありません。中には無理なく居住性をデザインに落とし込むことができる、優れた設計者も数多く存在します。

住宅のデザインというのはそれほど難しく、特に狭小住宅になると求められる要素がより高度になるということです。「デザイナーズ住宅」という言葉はすごく聞こえはいいですが、機能性や安全性の観点、長く住み続けられること、資産価値の側面など、様々な点で理にかなっているか、しっかりと判断しましょう。



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