私たちは混沌の中に生きている
投資は信仰ではありませんが、意外に重要なのが「信じる力」です。あるいは、信念を強く持つことです。世の中には、色々な投資手法やテクニックがあります。私たちは、混沌の中に生きています。あんな上手い方法がある、あんなに儲けている人がいる、こんなに美味しい銘柄があると、投資の成功美談は巷にあふれています。情報洪水の中で、自分の軸を持っていない投資初心者は流されてしまいます。あっち行ったり、こっち行ったりと。そして、耳障りのよい所だけを取り入れて、自分なりのフリースタイルで投資を始めようとします。しかし、一つ一つは完成された手法でも、あちこちからパーツだけを寄せ集めると、それはとんでもない方法となってしまいます。
バフェットのような長期投資家の手法と、デイトレーダーのようなテクニカルな手法とは、水と油ほど異なるものです。同じ銘柄選択でも、ファンドマネージャーのそれと、スイングトレーダーのそれも、まったく異質です。美味しそうな部分だけを断片的に組み合わせてみても、美味しい結果とはならないのが、投資なのです。我流の投資では、絶対に勝てません。
自分なりのスタイルやモデルを持つ
やはり、自分の投資スタイルを決めて、手本となるモデルを持ち、ルールを確立することが、必要です。そして、自分のスタイルと合致しないことには手を染めないように、禁止事項を決めておくことも有効です(たとえば、個別銘柄は見ない、短期売買はしない、信用取引はしないなど)。投資情報でも、スタイルの違うものだったら、無視することも賢明な対策です。何でも吸収する、何でも参考にする、全てのことに精通しようとすることは、実は愚かなことなのです。信じるに足るものであることを検証する
いったん、自分の投資スタイルを決めたのなら、それを少なくても数年間は維持しなければ、公平な成果は出ません。新興国株が儲かると聞いては新興国株を買い、FXが効率が良いと聞いてはFXに手を出し、オフショア・ファンドが好成績と聞いてはオフショア・ファンドに食指を伸ばす。そんなめまぐるしいことをしていたら、だいたいが相場の後追いになって、損失の山を築くこととなるでしょう。また限定的な短期間だけで、投資手法の良し悪しを判断するのも正当な評価となりません。相場が悪いときには何もやってもダメですが、結果が悪いことを、相場ではなく、手法や銘柄のせいしたらそれは不公平です。逆に、相場が良くてうまくいったときに、好成績の原因を相場ではなく、そのときの手法や銘柄に求めたとしたら、間違った結論に至る可能性が高くなります。
自分の投資スタイルを生涯のものとするために、良いときも悪いときも、少なくても数年は、スタイルを維持して継続してください。上げ相場も下げ相場も経験して、ダメなものや合わないものは止めればいいし、調整や修正が必要なものは、数年の体験をもとに変更を加えればいいのです。
投資で大切なのは「信じる力」。信じたものを、風雪に耐えながら貫徹する意志力。そして、変えるべきを変える英知があれば、なお最高です。
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