切手のはがし方「水はがし」とは?
使用済切手が販売されているのを見たことはありませんか? 封筒や郵便はがきに貼られた切手は、ぬるま湯につけてはがすと、きれいな使用済切手にすることができます。かつては、わざと水につけるとやぶれやすい用紙を使用した場合もありますが、現在では切手の貼り間違いや切手収集家のことも意識して、容易に水ではがせるように糊引きした切手が主流です。
切手収集や郵趣活動の基本ですので、ぜひ正しい水はがしの方法をマスターしておきたいものです。
<目次>
切手の水はがしの手順1:紙付き切手の準備をしよう
紙付き切手のうち、速達や書留などの赤インクが付いていたら、あらかじめハサミで除いておきます。水の中に溶けて、切手に悪い影響をもたらしてしまう場合があるのです。また、特殊扱いの郵便や古い封筒の中には、そのままの状態で保管しておいたほうが価値のあるものもあるので、わからなければ専門家の意見を聞きましょう。家庭や職場の郵便物だけで足りなければ、切手ショップや切手収集家の方に譲ってもらうのも手です。
切手の水はがしの手順2:切手をぬるま湯に投入する時の注意点
まずは洗面器や食器用のバットなどにぬるま湯をはり、紙付きの切手を投入します。ぬるま湯は切手のインクが変質しないように、せいぜい35度くらいまでの温度にしたいものです。5分から10分ほどで、切手と紙が自然と離れていきますので、直ちにはがれた紙を回収していきます。時おり20分を過ぎてもはがれない切手がありますが、その場合はもう少し気長に構えてみてください。無理なくはがせればよいのですが、あせってしまうと、切手がやぶれてしまいます。
切手の水はがしの手順3:白くにごったらぬるま湯を替えよう
ぬるま湯が白くにごってきたら、適宜ぬるま湯を替えます。一度に全部替えてしまう人もいるようですが、少しだけ残しておいたほうが切手を傷つけるリスクは少ないです。また、洗面器の中で切手の裏糊を指でこすってよく落としてから、ぬるま湯からあげるように説明されることも多いのですが、必須ではありません。
切手の水はがしの手順4:タオルで濡れた切手の水切りを
一般的には紹介されることが少ないのですが、個人的にはタオルで切手をプレスして、水気を切ってしまうやり方を薦めています。一気に水分を落とせるので、多少裏糊が残っていても、切手が紙にくっついてしまうことが少なくなりますし、大量の切手を水はがしするときに有効です。ただし新品のタオルは吸水性がよくないので、何度か使ったタオルにしたいところです。
切手の水はがしの手順5:使用済み切手を紙の上に載せて生乾きに
タオルから切手を取り出したら、切手を紙の上に置いて生乾きになるまで乾燥させます。水をよく切ってあれば、小一時間で充分です。短時間とはいえ、直射日光を避けて、陰干しにしましょう。よく新聞紙の上にのせる方法が紹介されていますが、新聞紙のインクが将来シミになって現れる場合があるので、避けたいところです。昔の切手の入門書を見ると、わら半紙の上で乾かすことを薦めていて、実際に水分の吸収力のあるわら半紙がもっともピッタリなようですが、私個人は市販のコピー用紙の新品を出して、その上で乾かすようにしています。
切手の水はがしの手順6:電話帳に挟み込もう
切手が生乾きになったところで、電話帳などに挟んでいきます。不用意に挟み込んでいくと、どのページに挟んだのかが分からなくなるので、5の倍数のページに挟むなど規則性をつけていくと良いと思います。挟み込んでから2~3時間ほどでピンとまっすぐになった使用済切手が完成します。欧米では「スタンプ・ドライング・ブック」という吸水性に優れた専用品もあります。日常的に水はがしを行うようになったら、購入を検討してもよいと思います。
水はがしが困難な切手もある
日本切手のうち注意したいのは手彫切手で、特に和紙で製造されたものは水はがしに一定の経験と知識が必要です。また2011年の「星座シリーズ」や、2012年発行の「冬のグリーティング」など、日本の新切手の一部に水はがしが極めて困難と思われるものがあります。アメリカでは再使用を防ぐために水はがしできなくしている切手があり、スコットカタログ専門版では2014年版から「水はがし禁止マーク」をつけて注意を呼びかけています。
切手の水はがし情報には、誤ったものもあるので注意
現在、インターネット上で検索すると、首をかしげるような切手のはがし方が紹介されているので注意が必要です。「ハンカチなどをあてて、その上からアイロンをかける」「冷蔵庫内に10分から20分入れておく」「切手を濡らして電子レンジにかける」「手の体温で水分を飛ばす」などのやり方がそれに当たります。おそらく切手の水はがしを値札やシールはがしと同じように考えたのでしょう。明らかに誤った情報ですので、決して参考にされないようにお願いします。
【関連記事】