再配達を減らすために意識したいこと
ネット通販の普及で宅配業者の負担が大きくなっていることが問題になっています。国土交通省の発表によると、日本国内の宅配便取扱量は年々増加し、1997年から2016年までの19年間で約2.4倍になっていますが、取扱量の増加に追い付けず配送業者ではドライバーが不足し疲弊しているという現状があります。また、大手ネット通販業者など大口顧客の値下げ交渉で単価が下がり、取扱量が増えても宅配業者の利益はそれほど増えていないという実態もあります。私たちが少し意識することで再配達を減らせる可能性があります
ネット通販のインフラとも言える宅配便がなくては、ここまでネット通販が普及することはなかったでしょう。これまで、不在で荷物を受け取れなくても再配達を依頼すればいいと、配送業者の負担をあまり気にしていなかった人も多いのではないでしょうか。私たちが少し気を付けて意識を変えることで、配送業者の負担が大きく変わるかもしれません。ネット通販の宅配を確実に受け取るために、私たちができることを考えてみたいと思います。
1. 確実に受け取れる場所や日時を指定して注文する
ネットショップで注文する際、配送希望日時が指定できる場合には、指定しておくとその日時に合わせてショップが発送してくれます。平日お仕事をされていて不在がちな方は、週末など確実に受け取りが可能な日時に予め指定しておくことで、無駄な再配達を減らすことができるのではないでしょうか。また、複数のショップで注文した場合などでも、同じ日時で指定しておくことで、何度も足を運ぶ必要がなく、配送業者の負担軽減につながります。配送日時を指定したら、忘れてしまわないようにスマホの予定表に入れておくといった工夫をしてもいいですね。
2. 自宅以外の場所で受け取る
最近ではコンビニや配送業者の営業所、駅などに設置された通販専用の宅配ロッカーなど、自宅以外で宅配便が受け取れる場所が増えています。24時間いつでも受け取れるコンビニや宅配ロッカーなら、自宅に不在がちな人でも便利ですし、複数の荷物を一か所にまとめて配送することで、配送業者の負担も軽減されます。駅や商業施設などに宅配ロッカーを設置した事業者に対して、国がその費用の50%を補助する制度が平成29年度から始まることが発表されているため、今後、色々な場所に宅配ロッカーが設置されるようになるでしょう。
3. 配送業者のシステムに登録する
ヤマト運輸の「クロネコメンバーズ」など、大手の宅配業者では無料の会員登録をすることで、荷物の配送を事前にお知らせしてくれるシステムがあります。配達前に連絡が来るため、受取日時や場所の指定ができて便利ですし、再配達の削減にもつながります。「クロネコメンバーズ」では、LINEアカウントと連携すると荷物の配達予定や不在連絡の通知がLINEで受け取れるほか、荷物を送ったり受け取ったりすることでポイントが貯められたり、宅急便運賃が最大15%引きになる「クロネコメンバー割」もあってお得ですので、ぜひ登録してみてください。
4. 宅配ボックスを設置する
再配達を減らす一つの方法として、不在時でも宅配便を受け取れる宅配ボックスの設置が有効だということが分かっています。マンションなどの集合住宅では設置されている割合が比較的高いですが、戸建ての場合にはまだまだ普及は進んでいません。戸建て用に後付けで簡単に設置できる宅配ボックスが販売されていますので、再配達を頼むことが多い方は、設置を検討してみてください。
5. 「送料無料はありえない」という認識を持つ
配送業者が疲弊してしまった大きな要因のひとつとして、送料無料という意識が当たり前になってしまったことがあると考えられます。ネット通販で購入したものを届けてもらうためには必ず送料がかかるという認識を持ち、必要な対価を支払うことで健全な宅配便サービスを維持できるのではないでしょうか。現時点で、宅配業界最大手のヤマト運輸は、値上げや荷受けの総量抑制、配達指定時間帯の見直しなどを行うと発表しています。日本の宅配便や郵便のサービスは、そのスピードや正確さ、2時間刻みでの時間指定などのきめ細やかさなどから見て、世界一だと言っても過言でないくらい高い質を誇っています。世界に誇る日本の宅配便サービスを守るためには、まずは私たち利用者が少し意識をして、できることから始めることが重要なのではないでしょうか。