不確定要素が多い中、どうやって老後資金を考えれば……?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、実家で暮らす50代の会社員女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
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貯金はあるものの親との同居で老後が心配

貯金はあるものの親との同居で老後が心配



■相談者
チャコさん(仮名)
女性/会社員/58歳
東京都/実家

■家族構成
両親(ともに80代)

■相談内容
2018年3月で定年になり再就職しないつもりです。実家のリフォームと保険の見直し、老後の生活資金について現在の貯蓄でまかなえるか心配です。株・投資信託もあまり利益がないので今後、少しずつ処分したいと思っています。

■家計収支データ
「チャコ」さんの家計収支データ

「チャコ」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)実家について
自宅は一戸建(築37年、木造2階建、約18坪)。当面は親と同居予定。一人になったときはもっとコンパクトな家に移りたいので、UR高齢者向け賃貸でもいいと考えている。実家でリフォームが必要になるとすれば、水回りがメイン。コストは上限1000万円、理想は500万円と考えている。また、兄と妹がいるので将来的には相続のことも考えなくてはならない。 

(2)加入保険の保険料について
・本人/終身保険(60歳払込終了、死亡保障1500万円)=保険料1万7500円
・本人/医療保険(終身保障払込終了)
・本人/がん保険(終身保障払込終了)

(3)ボーナスの使いみちについて
財形貯蓄に40万円。それ以外はその年によって異なる。

(4)公的年金と退職金について
公的年金の受給予定額は月16万円、退職金額は1000万円。

■FP深野康彦からの2つのアドバイス
アドバイス1 用意できる老後資金で足りると考えていい
アドバイス2 リフォームの前に相続について明確に

アドバイス1 用意できる老後資金で足りると考えていい

定年退職後、再就職はせずに老後資金は大丈夫かというご相談ですが、おそらく問題ないと思います。安心されていいのではないでしょうか。

まず、定年退職時にどの程度資産があるかですが、投資商品の評価額が変わらないとして現在ある金融資産は6200万円。さらに、定年までの2年間の貯蓄額が約270万円、退職金が1000万円ですから、トータルで7470万円となります。

定年後の生活費については、ご両親との同居を続けるかあるいは別居か、また実家をどうするかなど不確定要素はありますが、仮に今と変わらない(ただし、終身保険の保険料は払込終了となるので差し引く)とすると、月16万円ほど。

それ以外の支出ですが、現在、ボーナスから貯蓄に回っているのが40万円。つまり、残りは全額支出している年もあるわけですが、車検費用や固定資産税、保険料の年払い等、ボーナスから捻出する固定支出はなさそうですので、原則、この月16万円で年間を通して生活できるとします。

そうすると、公的年金の支給が始まる65歳までの5年間で960万円、生活費として貯蓄を取り崩すことになります。結果、残りはおよそ6500万円。

次に、チャコさんが受け取る公的年金は16万円ですから、65歳以降は年金だけで生活できることになります。今後、予定されているまとまった支出は自宅のリフォームですが、これが言われるとおり1000万円かかったとしても、まだ手元に5500万円残ります。

また、仮に実家を出られて、賃貸住宅を借りるとした場合、それが定年時からとすれば90歳まで生きるとして30年。家賃は諸条件で大きく変わりますが、都内で1LDK、月10万円とすれば30年間で3600万円。予備の資金(医療費、旅行費用、その等)を1000万円程度考慮しても、資金が底をつくことはないと考えられるわけです。

アドバイス2 リフォームの前に相続について明確に

老後資金の心配は要らないとして、今後、明確にしておくべきことがあります。

それは実家について。浴室、トイレ、キッチン等の水回りがメインのリフォームを予定されていますが、費用がかなりの額です。親御さんのためにそのくらいはしてあげたいという気持ちであれば、それも理解できますが、チャコさん自身はそこに住み続けるがどうかは不確定ということが気になります。

ましてや、ご実家そのものをどのように相続されるのか。もしお兄さんが相続されるなら、リフォーム費用はお兄さんがご両親とともに負担するのが自然です。チャコさんが今後も住むということでも、もし相続されないのなら、全額負担は一般的には不合理ではないでしょうか。また、仮にチャコさんが実家を受け継ぐとしても、リフォーム費用は親と折半する(あるいは親の資金状況に合わせた配分)という考えがあってしかるべきだと思います。

ともあれ、相続はデリケートな部分もありますが、妹さんも含め、事前に十分話し合い、兄弟間で納得しておくこと。これが、リフォームどうするかの前提としてあると考えます。

また、リフォームについては安易に業者を選定せず、できれば数社から見積もりを取ることもおススメします。もちろん、低価格だからいいとは限りませんが、額が小さくないだけに時間をかけて行ってください。

最後に、加入されている終身保険ですが、継続して保険料を払い続ける必要性はほぼありません。十分、手元に資金はありますので、死亡保障を確保する意味はないわけです。貯蓄のつもりでされているなら、払済保険にして、その分浮いた保険料は貯蓄すればいいでしょう。また、タイミングを見て解約し、解約返戻金を老後資金に加えてください。

相談者「チャコ」さんから寄せられた感想

診断、ありがとうございました。資金的に大丈夫であることがわかってホッとしました。自身でも思っていましたがリフォームについてよく考えることが必要ですね相続についてよく相談してからというアドバイスに納得しつつ難しーなあ……というのが本音です。ですが何事もよく考えてから決めたいと思います。本当にありがとうございました、今後の参考にさせていただきます。

教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん 

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マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ



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