アドバイス1 まずは月5万円の貯蓄を目指す
ご相談者のあおいさんが心配されているように、今後お子さんが成長するにしたがって、教育費やその他の生活費が上がってくることは確かでしょう。しかもお子さんは4人ですから、平均よりも長くピークが続くはず。したがって、現状で貯蓄ができないとなると、それに備えて早めに対応していく、つまり貯蓄体質にしていくことが最優先課題となります。では、どのくらい貯蓄すべきか。教育費で具体的に試算してみましょう。前提として、お子さん4人とも高校までは公立とします。その場合、原則として教育費は家計から捻出し、事前に準備すべきは大学費用となります。
ご希望は1番上のお子さんと3番目のお子さんのお2人が国立大学、その他のお2人が私立短大。ともに大学にかかる費用は国立大学が4年間で平均250万円、私立短大が平均200万円ですから、4人で計900万円。通学費等、これ以外にかかる費用もありますが、仮に自宅から通える大学とすれば、少なくともこの金額が用意できれば学費は概ね足りることになります。
ただし、教育資金で貯蓄のすべてがなくなっていけません。今ある貯蓄は基本的には手を付けず、新たに今から教育資金900万円を貯めるという意識でいいかと思います。1番の下のお子さんが高校卒業までに順次用意するとすれば、15年後ですから年間60万円。月5万円の貯蓄ペースとなります。
実はこの金額、受給されている児童手当と同額です。つまりご夫婦の収入は貯蓄に回さなくても達成できる額ということ。ここは認識しておく必要があります。
アドバイス2 計画的に考えたい、4人分の子育て費用
さて、なぜ貯蓄ができないのでしょうか。毎月の収支はほぼトントンですから、毎月2万円積み立てているものの、実質、貯蓄はできていません。頼みのボーナスも、行き先がすでに決まっている固定支出が54万円ほど(車検費用を年割り換算)になりますから、残るのは26万円。生活費の補てんや不定期支出を考慮すれば、ここからある程度貯蓄に回すのも難しいということになります。改善方法としては収入アップと支出削減の2つがありますが、あおいさんの場合、基本的には両方を目指すべきです。そのうち、すぐに着手できるのは支出削減ですから、まずはそれから考えてみましょう。
先に触れたように目標額は最低でも月5万円。そのために、今の家計から何を削減するかですが、突出した高い支出費目がないかわりに、少ないという費目もありません。要は、あるだけ支出に回っているという印象です。もちろん、大きな赤字にはならないようセーブはしているでしょうが、結果的には支出優先の家計になっていると思います。
こうなると、細かく、かつ思い切った削減が必要になります。例えば、雑費と小遣いと娯楽費で9万円。これはご夫婦の手取り収入の約25%に相当します。ここから2万円削り、通信費から5000円削り、食費も本来は削りたくありませんが5000~1万円を削るといった作業になります。お子さんへのプレゼントを優先するなら、同額の何かを削ることも考えるべき。また、車検費用から考えて、クルマ2台はともに普通自動車と思われます。もしそうなら、1台は軽自動車に買い替えることも削減候補のひとつになるでしょう。
また少し気になるのが、1番上のお子さんにかかる費用が多いこと。月3万4000円の塾の費用もそうですが、クラブ活動のサッカーにもそれなりにかかっています。ちょうどお金のかかり始める時期だということ、そしてもちろん親としてこのくらいしてあげたいという気持ちも理解できます。
しかし、下のお子さん3人にも同程度の資金を掛けるとなると、今ある貯蓄もやがて底をつく可能性があります。ですが、1番上のお子さんだけ特別というわけにもいかないはず。そこは親としてお子さん全員に目を配り、計画的かつ平等にお子さんたちにどう使うかを随時考えておかなくてはなりません。
アドバイス3 ボーナス依存も改善すべき課題
もうひとつ、家計で改善すべきはボーナス依存の現状です。データにもあるように、住宅ローンやクルマの維持費、固定資産税等々、ボーナスに頼っています。もしもボーナスが減額されたら、それこそ毎月赤字に陥ってしまいます。それでも対応できるよう、毎月貯蓄ができるようにします。
そしてボーナスから捻出している費目のうち、いくつかは予算を組んで月の支出として支払えるようにして、ボーナスへの依存度を下げます。そして、支給額の半分は確実に貯蓄できるようにしていきたいところです。
住宅ローンの借り換えも検討していいと思います。現在、金利2%で、ローン残高は1500万円ほど。これを仮に1%固定に借り換えると、毎月の支払額はボーナス払いなしで7万4000円ほど、ボーナス月に今と同額の支払いを設定すれば、毎月の返済額は約5万2000円に下がります。どちらにしても、総支払額では約160万円低くなりますので、借り換えの諸費用(目安は40万~60万円)を支払っても結果的に住宅コストを抑えることができます。
保険については保険料が割高な終身保険に入る必要性は低いと言えます。しかも、死亡保障は夫婦とも200万円ずつ。持ち家ですが、それでも必要な保障額には達していません。少なくとも、夫婦とも死亡保障1000万~1500万円は確保したいところ。割安な定期タイプで保険期間20年、死亡保障1000万円なら保険料は夫婦で計6000円ほど。今支払っている保険料とさほど変わらない額に収めることができます。
ともあれ、貯蓄は急務です。お子さんが私立大に進む、あるいは、別途生活費が発生する東京や関西の大学に進学する可能性もゼロではないはずです。また、老後資金もいずれ準備していかなくてはなりません。できれば月6~7万円は貯金にまわしたいもの。これをいい機会と考え、家計と向き合ってみてください。そして、あおいさん自身、フルタイム勤務を実現させることが大切です。
相談者「あおいえり」さんから寄せられたご感想
アドバイスありがとうございました。やはりこれからもっともっとお金が必要になってきますね。今、ギリギリの生活をしていては将来とても生活できないと実感しました。できるだけ節約をして貯蓄をがんばりたいと思います。貯蓄の仕方もまた、どのような方法が良いのか考えてしまうのですが…また、何かありましたらご相談させてください。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
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