能天気な夫に頼らず、教育資金を用意するには?

子どもへの仕送りが高額になりそう

子どもへの仕送りが高額になりそう

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、ご主人に振り回され、家計がきびしい40代の奥様です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)


■相談者
みねっとさん(仮名)
女性/パート/40歳
長野県/賃貸住宅

■家族構成
夫(団体職員/47歳)、子ども3人(15歳、10歳、7歳)

■相談内容
夫は、職業に対する自分なりの理想が強く、今回の転職も2年半がかかり、その間に貯蓄から生活費として300万円を切り崩しました。そのため、私は子育てをしながら、昼間にはパート、早朝には新聞配達を掛け持ちし、必死で働きましたが、長年かけてせっかく貯めた貯金を使われてしまったことを思うと、以前のように頑張って節約する気力が失せてしまいました。

しかも、夫の転職先の条件が、現在住んでいる山間の村に定住するということでした。夫の実家から近く(車で1時間ほど)家賃補助などの支援もありますが、クルマの維持費や冬の暖房費がかかります。そして何より、自宅から通える範囲に希望する学校がなく、来年高校進学の上の子は下宿を予定しています。そのコストを考えると、大学進学を希望しているもののその費用が足せるかどうか……。さらに下の子たちの教育費もあります。

そんな状態でありながら、今も就職活動をしています。夫が言うには、給料が良く、ボーナスも出て、昇給もあり、休みがきちん取れて残業もない。社長が尊敬できて、嫌な人間がいなく、友人からは「いいところに勤めているね」と言われる、そのすべてを満たす職場なのだとか……。しかも、そのためにガソリンを無駄に使い、家族の苦労も家計が火の車であることも知らず、能天気に人生を考えているのです。夫に頼らず、何とか家計を立て直すためのアドバイスをよろしくお願いいたします。また、こんな私のストレス解消にお付き合いいただき、また、相談を取り上げていただいたこと、ありがとうございました。


■家計収支データ
「みねっと」さんの家計収支データ

「みねっと」さんの家計収支データ



■家計収支データ追加質問
(1)加入保険の内訳
[夫]
・終身保健(死亡保障100万円、3大疾病一時金150万円、15年毎更新)=保険料3824円(※年払い/解約しようか迷っている)
・収入保障保険(保険期間60歳、毎月10万円)=保険料3450円(年払い)
・医療保険(終身保障60歳払い済み、入院5000円、がん診断一時金50万円、他に手術給付金、入院給付金)=保険料6500円(年払い)
・医療保険(終身保障終身払い、入院5000円)=保険料3115円(※職場関連のため解約は不可)
・個人年金保険(60歳から10年確定、年金額80万円)=保険料1万43円(年払い)
[妻]
・終身保険(死亡保障120万円、定期特約1200万円、3大疾病一時金200万円)=保険料4253円(※来年、保険料更新のため減額検討中)
・医療保険(終身保障60歳払込修了、入院5000円 手術給付金10万円)=保険料3110円(年払い)
・個人年金保険(60歳から10年確定、年金額60万円)=保険料7107円(年払い)
[子ども]
・真ん中の子/学資保険(10歳払込終了、18歳満期、満期金100万円、一時金15歳20万円)=保険料1万1994円。
・末っ子/学資保険(10歳払込終了、17歳から学資年金40万円×4回)=保険料2万2924円
(上記の個人年金保険を今年解約した場合)
夫/解約返戻金は約287万円、これまでに支払った保険料245万円
妻/解約返戻金は約183万円、これまでに支払った保険料173万円

(2)車両費の内訳
ガソリン代/夫2万5000円(普通自動車)、/妻5000円(軽自動車)
メンテナンス費用5000円

(3)教育費の内訳
一番上の子/寮費(村の中学校で寮生活)4000円、食費6000円、学校教材費3000円
二番目、三番目の子/給食費など1万3000円、学童保育2000円(ともに2人分)

(4)小遣いの内訳
夫2万円(昼食代込み)、妻5000円、上の子1500円、真ん中の子500円

(5)雑費の内訳
日用品費5000円、子ども被服費・学用品費など6000円、夫・職場交際費 5000円、医療費5000円、NHK・新聞4000円、その他雑貨、灯油代など1万円

(6)ボーナスの使いみち
年払い保険料37万2000円、自動車保険8万3500円、火災保険1万2000円、
タイヤ代/普通車6万円(夏用・冬用タイヤが必須、夏タイヤは1シーズンで買い替えが必要)、軽自動車2万円、他車検の年割分、税金など
夫職場の旅行費用/年間5万~10万円、上の子の研修旅行代/年間3~10万円

(7)妻の収入アップについて
現在の職場でパートから嘱託職員(年収200万円ほど)になることが可能だが、その場合住宅費が年収に応じての負担のため、10万円に上がってしまう。過疎の村のため、他に賃貸住宅を探すという選択肢がほぼない。また、体力的にも時間的にもフルタイムで働いて、育児、家事をこなす自信がないとのこと。夫の実家に子どもを預けることについては、妻自身があまり実家に頼りたくないという気持ちが強い。

(8)引っ越すという選択肢について
夫が今の職場にいる以上、現在済んでいる村から引っ越すことはできない。転職し、市街地での勤務先に決まれば引っ越しも可能だが、現実問題として夫の経歴、年齢では有利な就職はきびしく、また、今の仕事は比較的安定しているため、突然職を失うというリスクが少ない。また、引っ越しをすればその費用がまたかかるし、村の住民たちも自分たち出てしまうことで落胆する。そう思うと申し訳ない気持ちもあるとのこと。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 教育資金づくりを最優先にキャッシュフローを割り出す
アドバイス2 個人年金保険で教育資金の不足を補う
アドバイス3 ご主人と第三者を交えて話し合いを
 

アドバイス1 教育資金づくりを最優先にキャッシュフローを割り出す

ご相談者のみねっとさんのご苦労が、この相談文から十分伝わってきます。と同時に、家計状況はいろいろと複雑で、かつきびしい事態であることも間違いありません。

では、どうすべきか。何とはともあれ、最優先で取り組むべきはお子さん3人の教育資金の確保です。それを最優先に、今後の必要額や用意できる額を試算しながら、その上で現実的な対応を考えてみましょう。

詳細はわかりませんが、上のお子さんが来年高校に入学し、その際に下宿になるとのことですが、「上の子のために貯めた資金を高校で使い切る」とのことですから、高校3年間で300万円はかかると考えました。また、大学は進路によりますが、私立文系だと学費だけで400万円ほど。真ん中の子と一番下の子、それぞれに用意している貯蓄を充てても、現時点で230万円ほど足りません。

また、当然、自宅通学は無理ですから、一人暮しとなります。その平均の生活費は月額で約11万8000円(※)。そのうち約7万円が仕送りの平均額(残りは学生のアルバイト収入と奨学金でカバー)ですが、4年間であれば約340万円。これをどう負担していくかも大きな問題です。

一方、下の子2人は学資保険があり、それぞれ120万円と160万円の満期金を受け取れますが、大学進学の費用としては、当然足りません。もしも上の子と同じだけかかる(一人暮しで仕送りをする)とすれば、2人合計で1200万円ほど不足していることになります。

次に、学資保険以外に家計から今後どれだけ貯蓄ができるかですが、収入のうち、児童手当は中学3年までの支給ですから、お子さん3人が今後受け取る額は計270万円ほど(村の上乗せ分を加え、1人月1万5000円として)。まず、これは全額貯蓄できるとします。

逆に、収入から児童手当を除いてしまうと、家計収支は毎月1万5000円のマイナスとなります。現在、ボーナスからも貯蓄できないとすると、結局、今ある貯蓄を取り崩すしかありません。ただし、学資保険のうち、真ん中の子分の保険料1万2000円は、10歳で払込み満了のため、あと数カ月でその支払いが終わります。したがって、家計はすぐにほぼトントンで回ると考えていいでしょう。また、下の子の分の学資保険も同じく10歳で払込終了ですから、3年後には約3万円の保険料の支払いがなくなります。

結果、仮に夫婦の収入がずっとこのまま続くとすれば、下の子が高校卒業するまでに、家計から290万円ほど貯蓄できる計算になります。つまり、先の児童手当分と合わせた計560万円が、今後新たに上乗せできる貯蓄ということになるわけです。
 

アドバイス2 個人年金保険で教育資金の不足を補う

どの程度教育資金が必要で、どの程度足りないかがわかったところで、次に貯蓄率を高めることを考えてみます。方法としてまずは収入アップがありますが、ご主人の場合、それを求めること自体、ハイリスクだと思われますので、外します。一方、みねっとさんのフルタイム勤務は体力的にも時間的にもきびしいとのこと。今、もっとも避けたいのは、本人が無理をして倒れることです。そうなれば収入減もさることながら、家計管理そのものが立ち行かず、さらに貯蓄を大きく取り崩してしまうことにもなりかねません。

そう考えると、少なくとも現状では家計支出の削減が有効な方法となります。そこで手を付けたいのが保険です。まずご主人ですが、収入保障保険と勤務先の関係で解約不可の医療保険、この2本は継続し、解約しようか迷っているという終身保険は払済保険に、もう1本の医療保険は解約します。みねっとさんの加入分については、終身保険は同じく払済保険にして、代わりに死亡保障1000万円の10年定期に加入します。保険料はおそらく2000円前後です。あるいは医療保険も解約して、代わりに県民共済に加入しても構いません。ともあれ、これでトータル、月1万2000~1万5000円ほど、保険料コストが下がります。

個人年金保険については、現状では継続し、お子さんの教育資金が不足したときに解約するというスタンスがいいと思います。ご夫婦の老後資金ももちろん重要です。しかし、優先順位では教育資金が上。すでに払い込んだ保険料に対して、解約しても元本割れしないだけ掛けていますので、学資保険同様、教育資金を貯めている感覚で続けください。

それ以外の毎月の収支は、5人家族を考えれば、それなりに抑えられていると思います。みねっとさんは「節約する気力を失った」と言われていますが、十分やられています。

ただし、ボーナスについては見直しの余地があります。自動車のコストです。タイヤは夏用を1シーズンで交換するとのことですが、正味9ヵ月で3万km走行しているか、よほど粗悪なタイヤを装着しているか、あるいは少しでも減ったら交換してしまうのか。いずれにせよ、現状を考えれば無駄遣いに違いありません。
また、自動車保険の保険料も、とくに普通自動車、年間5万3000円は割高です。見直して8万円を下げたとのことですが、それでもまだ2万円前後は下げられるはずです。車両保険は、それだけで保険料が倍近くに跳ね上がります。もし付けているなら不要なので外しましょう。多少ぶつけても直さず使うくらいの気持ちが必要です。
 

アドバイス3 ご主人と第三者を交えて話し合いを

家計支出の見直しに触れましたが、それで節約をでき、さらに個人年金保険の解約返戻金を教育資金に回しても、お子さん3人が大学に進学し、しかも全員一人暮しをするとなると、その費用は不足します。

奨学金の利用も選択肢としてありますが、安易に利用すべきではありません。社会に出る前から400万円、500万円と子どもに負債を背負わせるのは、将来を考えればやはり酷です。利用するにしても親の負担を補う形で、利用額を最小限にとどめることがとても重要です。

もうひとつ、大学に通う意味や目的をお子さんたちに考えてもらうことも必要かと思います。いい大学に行けば将来は安泰という時代は遠い過去のことです。18歳での選択は難しいかもしれませんが、本当にしたいことを考えさせる機会にしてください。

その結果、高校卒業後に働く、専門学校に行くのもいいでしょう。大学進学を希望すれば、できる限り負担してあげるということになります。ただし、上の子の方同様、下の子どもさんも高校で下宿生活となると、負担したくてもできない状況になりかねません。

そうなると、結果的に3人に平等に教育資金が渡らないかもしれません。親としては辛い部分もあるでしょう。しかし、そのときそのときで可能な限りのことをしてあげる。その姿を見せれば、子供たちも理解してくれるのではないでしょうか。

最後に。みねっとさんが家計で苦しい思いをしているのは、半分は金銭的に苦しいから、あとの半分は非協力的なご主人の存在があるからです。とは言え、「夫はあてにしない」のも難しいのが現実です。ご主人の収入がなければそれこそ大変ですし、家族である以上、家計にはどうしても関わってきます。このままストレスが溜まれば、自分自身が精神的につぶれてしまいます。

したがって、お金の管理はすべてみねっとさんが握ることは大前提として、機会を見つけ、ご主人と本気で(あるいはそれなりの覚悟をもって)話し合ってみてはいかがでしょうか。腰を落ち着かせて働くこと、子どものために無駄遣いをしないこと。そして、その場には第三者が立会人として必要です。ご主人の親はいけません。ご自身の親族か、あるいは信頼できる知人の方がいればその方でもいいでしょう。

もしも話し合いが上手く運び、ご主人が協力的になったとしたら、市街地への引っ越しも検討していいのでは。山間部に住んでいることで補助金等の利点もあるでしょうが、高校および大学で下宿生活をせざるを得ないという状況を作っているのも事実。市街地に移り住み、何とか自宅通学ができるようになれば、教育コストは大きく削減できるはず。現実的にはきびしいというお話でしたが、下のお子さん2人については、まだ時間があります。その選択肢はあきらめずに残しておいていいのではないでしょうか。

(※)全国大学生活協同組合連合会「学生生活実態調査」(2015年調査)
 

相談者「みねっと」さんより寄せられたご感想を紹介

節約のカギは保険料と自動車関連費用ですね。深野先生からご指摘をいただいたタイヤ代について調べたところ、通常少なくとも3万キロは走れるところ、前回は2万キロで交換していました。深野先生の「少しでも減ったら交換してしまうのか」との読みの通りでした。オイルフィルターも1万キロで交換のはずなのに3000キロで交換していたことがありました。自動車の整備は夫にまかせっきりで、かかった金額は把握していましたが内容までは把握していませんでした。夫は少しのキズでも修理したがるので「整備費用は必要最低限しかかけられないよ」と常々話していたのですが…。自動車保険も、修理したがる夫なので車両保険は欠かせないと思っていましたが再考の余地ありです。

あとはやはり話し合いが必要ですね。夫とは何度も話をしていますが、どうも伝わりません。第三者の立ち会いがないからでしょうか… また、上の子にも家計の状況をきちんと話した上で、あらためて進路の話をしてみようと思います。
自分では見えていなかった部分が見えましたし、これからやるべきことも見えて、相談させていただけて本当によかったです。ありがとうございました。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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