秋刀魚はDHAとEPAを含む代表的な魚
秋刀魚と言えば……「塩焼き」ですね!
秋刀魚に含まれる栄養素でよく知られているのは、DHA(ドコサへキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)です。どちらも体内ではつくりにくいため広義では必須脂肪酸で、秋刀魚や鰯、鯖などのいわゆる青魚の脂肪に多く含まれています。中性脂肪を減らし、血圧やコレステロール値を正常に保ち、血栓ができるのを防ぐはたらきあるため、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞、高血圧など、生活習慣病の予防や改善が期待されます。
またDHAは、脳や神経の発達や機能維持には不可欠な栄養素。細胞やホルモンのはたらきを高める機能があります。DHAを積極に取り入れることで、記憶力や認知機能の向上に効果があると考えられています。
そのほかにも秋刀魚には、さまざまな栄養素が含まれています。必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質のタンパク質、貧血防止に効果がある鉄分、骨や歯をつくるカルシウム、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなどです。また、秋刀魚のわた(内臓)には美肌効果があるといわれるレチノールが豊富に含まれます。
新鮮で脂がのった秋刀魚を見分けるポイント
秋刀魚に含まれる栄養をしっかりとるためには、新鮮なものを選ぶことが大切です。良質な秋刀魚を選ぶポイントは以下の5つ。□尻尾を持って頭を上に向けたとき、刀のようにまっすぐ立つものが新鮮です
□魚は内臓から悪くなるので、お腹がかたく、張りのあるものが新鮮です
□形はスマートなものよりも、頭から背中にかけて盛り上がり厚みのある秋刀魚ほうが脂ののりがよいようです
□黒目の周りが透明で澄んでいること。赤っぽく濁りがあるものは鮮度が落ちています
□スーパーなどで売られているパック入りの秋刀魚の場合、トレイの中に赤い汁がたまっているものは鮮度が落ちています
※口と尾が黄色いものは脂がのっておいしいといわれますが、最近はそうではないという説もあります。
なお、大量に生の秋刀魚が手に入って保存したい場合は、内臓を取り除いてきれいに洗い、水気をしっかりふき取ります。1匹ずつラップに包み、冷凍保存用袋に入れて冷凍します。1匹では大きすぎて冷凍庫に入れにくいなら、半分に切ったり、3枚に下ろしたりなど、料理に合わせて切っておいてもよいでしょう。冷凍保存で2~3日はもちますが、食べるときには必ず加熱してください。
体によい脂を逃さないで秋刀魚を焼くコツ
揚げ物や刺身、押し寿司などさまざまな調理法で食べられる秋刀魚ですが、もっともポピュラーなのは塩焼きでしょう。自宅のグリルでおいしく焼くコツは、秋刀魚の両面に均等に塩をふって10分ほどおき、網にサラダ油を塗って身がくっつかないようにします。グリルは先に火をつけて温めておくと焼きムラが少なくなります。グリルの機能によりますが、強火の遠火で両面合わせて12~14分程度焼きます。グリル庫内は中心よりも端のほうが熱くなるので、魚は少し端のほうにおいて焼くのがよいようです。また、長時間焼いてしまうと、DHAやEPAが入っている脂が流れ出てしまうので焼き過ぎは禁物です。塩焼きで脂の流出を抑える焼き方として、NHK『ためしてガッテン』(2015年10月7日放送)で紹介された方法が注目されています。ポイントは、10倍希釈したみりんを秋刀魚全体に塗ってから塩をふり、強火で表5分、裏4分(両面焼きグリルなら7分)加熱したら取り出し、皿の上で2分余熱を入れるということ。みりんを塗ることで表面にしっかり焼き目が入り、焼く時間を短くできるので、脂を閉じ込めることができるというわけです。
少量の秋刀魚なら、フライパンにクッキングシートを敷いて焼いたり、ホイル焼きにしたりして、出た脂をソースにからめて一緒に食べるのもよいでしょう。なお、秋刀魚の皮の部分にもEPAやDHAが多く含まれています。皮も残さず食べるようにしましょう。(監修:管理栄養士・一政 晶子)