朝の「だるさ」の原因はいろいろ
いつまでたっても目覚めない。そんな日が続いていませんか?
「だるさ」の原因としてもっとも多いのは、単純ですが「睡眠不足」です。睡眠中には疲労が回復し、体力や気力が充実します。しかし、仕事やプライベートで睡眠時間が削られる日がつづけば、疲労が十分に回復しないため体に疲労が蓄積されて、朝から「だるさ」が抜けないのは当たり前のこと。十分な睡眠がとれるように、夜は早めの就寝を心がけましょう。
また、生活習慣の乱れも大きな原因の一つです。生活が夜型になっていたり、夜中に消化の悪いものを食べたり、深酒をしたりすることが多いと、体内時計が狂って、生体リズムが崩れてしまいます。そのため、朝起きたときも脳はまだ睡眠状態にあり、スッキリ目覚めることができず、「だるさ」を抱えたまま1日を過ごすことになります。不規則な勤務体系の人も、やはり生体リズムが崩れがちなので要注意です。
生体リズムが崩れる原因には、強いストレスによる自律神経(交感神経と副交感神経)の乱れもあります。ぐっすり眠るためには、交感神経が鎮まって副交感神経が優位にならなければなりません。しかし、ストレスにさらされ続けると、体は常に緊張して、交感神経ばかりが働いている状態になります。そのため、 熟睡できない、あるいは就寝中に何度も目覚めてしまうなど、心身を休めることができなくなっているのです。さらに、この状態が長く続いている人は、うつ病になりやすいことも知られています。
太陽の光を浴びて体内時計をリセット
生体リズムは、人間がもっている「体内時計」というメカニズムが調整しています。生体リズムの乱れを整えるには、朝起きたときに体内時計をリセットして、体を目覚めさせればよいのです。まずは起きたときに、太陽の光をしっかり浴びましょう。睡眠モードから目覚めモードになるには、この体内時計をいったんリセットする必要があり、そのスイッチになるのが太陽の光なのです。「光なら部屋の照明でもいいのでは?」と、思うかもしれません。もちらん、目覚めたらまず部屋の照明をつけましょう。しかし、自然の太陽光は、晴れた日の日中で 10万ルクス以上、曇りの日でも1万~3万ルクスもあります。一般的な住宅のリビングの照明が150~300ルクス程度ですから、明るさのけたが違います。また、生体リズムを調整する高照度光療法でも、2,500~1万ルクスの光を浴びるので、やはり自然の太陽光をたっぷり浴びることが大切です。
なかなか布団から出られないときは、布団の中で深呼吸をして、脳と体に酸素を取り込みましょう。そして、横になったままで体をほぐします。手のひらをグッと握ったりパッと開いたりする、手足をいっぱいに伸ばしてみる、あるいは膝を立てて左右にゆっくり倒したりなど、軽く体を動かしましょう。こうすることで血流がよくなり、体が活動モードになってきます。
寝起きのけだるさ解消法
では、起き上がってから手軽にできる「だるさ」解消法を、いくつか紹介しましょう。・コップ1杯の水を飲む
眠っているあいだに体の水分が失われているので、それを補って体を目覚めさせます。冷たい水は胃腸に負担がかかるので、常温の水を飲みましょう。
・熱めのシャワーを浴びる
少し熱めの41度くらいのシャワーを5分ほど浴びると、交感神経がはたらきだして心身がシャキッとします。足湯でも同様の効果があります。
・熱いお茶やコーヒーを飲む
熱い飲み物は、体の中から体温を上げてくれます。ただし、カフェインは血圧を上げる一方で、胃腸の負担にもなるので、朝食を食べながら飲むとよいでしよう。カフェインの覚醒効果は、飲んでから20~30分ほどで現れます。
・朝食をしっかり食べる
朝食は、朝から活動するための大切なエネルギー源であり、食生活のリズムを整える大切な役割もあります。生活習慣が乱れている人は、バランスのよい朝食をとることから、生活改善を始めるとよいでしょう。
朝食には、必須アミノ酸の「トリプトファン」をとることがお勧めです。トリプトファンは、覚醒神経系の伝達物質である「セロトニン」の原料です。トリプトファンは豆や豆製品、牛乳や乳製品、肉類、バナナ、アボカドなどに多く含まれています。
・目覚ましのツボを押す
人差し指と親指の骨が合流する場所の、やや人差し指よりにあるくぼみ「合谷(ごうこく)」 は、「目を覚ますツボ」といわれます。また、中指の爪のつけ根の「中衝」を刺激すると血行がよくなり、目覚めに効くとされています。
毎朝、寝起きがスッキリしない人は、まず生活習慣を整えることが大切です。そして、ここに挙げた「だるさ解消法」を実践して、気持ちのいい朝を手に入れてください。