おりものの大切な役割……自浄作用・妊娠しやすい環境づくり
おりものには女性の健康状態を写し出す鏡のような側面も
そもそもおりものとは、子宮や膣などから出る、さまざまな分泌物が混ざり合ったものです。唾液が口の中を潤すのと同じように、膣の中はおりものによって潤いが保たれています。
おりものの重要な役割のひとつが「自浄作用」。膣は肛門や尿道のすぐ近くにあるため、大腸菌などの雑菌が入りやすい環境にありますが、おりものにはそれらの雑菌を洗い流す作用があります。さらに、おりものには膣の中を弱酸性に保つはたらきがあり、それによって雑菌の増殖を防いでくれているのです。
もうひとつ、おりものには「受精を助ける」という、大切なはたらきがあります。通常は弱酸性に保たれている膣の中ですが、排卵のときだけはアルカリ性に保つように、おりものがはたらきます。これは、精子の移動をスムーズにするため。つまり、おりものは妊娠しやすい環境づくりにも一役買っているのです。
正常なおりものの色・粘り気・におい・量の目安
おりものには、女性の健康状態を映し出す鏡のような側面もあります。そのため、ふだんと異なるおりものがあったとき、それが病気のシグナルになっていることもあるのです。そもそも、正常なおりものとは、どのような状態なのでしょうか。通常、おりものは無色透明、もしくはやや白っぽく、少し粘り気があります。基本的にはほとんど無臭ですが、酸性のため若干すっぱいにおいがすることもあります。
量や状態は一定ではなく、生理の周期によって変化します。量がもっとも増えるのは、排卵の時期。これは精子を包み込んで、卵子に達するのをサポートするためです。この時期のおりものは透明なゼリー状で、その後は量が減少し、色もやや白っぽくなっていきます。そして、生理前の時期になると、再び量が増えていき、においが強くなることもあります。生理の直後は、残った血液と混じり合った茶色いおりものが出ることがあります。
また、年齢によっても変化します。20~30代の妊娠可能な年齢ではおりものの量は多く、年齢が上がるにつれて次第に減っていきます。これは、おりものが女性ホルモンと深いかかわりがあるためです。
黄緑色、茶色・ピンク、血が混じるおりものが出る病気
「鼻水のような黄緑色のおりものが出る」場合、淋菌感染症、あるいは大腸菌などによる、細菌性膣炎の可能性があります。細菌性膣炎は自然に治癒することもありますが、淋菌感染症は抗生物質できちんと治療する必要があります。このほか、「ヨーグルト状のポソポソしたおりものが出る」という場合にはカンジダ膣炎が、「クリーム状の泡立ったようなおりものが出て、強いかゆみがある」という場合にはトリコモナス膣炎が疑われます。さらに、「魚が腐ったような強いにおいを発する」という場合には、雑菌が繁殖している可能性があります。
最も注意が必要なのは、茶色やピンク色のおりもの、または明らかな血液が混ざったおりものです。これらはすべておりものの中に血液が混ざっている、つまり不正出血しているというサインです。不正出血の原因は、月経不順や子宮頸管炎などのほかに、子宮頸がん・子宮体がんといった放置してはいけない病気も含まれます。
ここに挙げたような状態のおりものは、いずれも健康な状態ではみられません。下着のチェックをしたときに気づいたら、必ず婦人科を受診して、必要な検査を受けるようにしてください。
【関連記事】