インフルエンザワクチンの副反応はなぜ起こる? いわゆる副作用の原因
接種した日は激しい運動や大量の飲酒は避け、できるだけ安静に過ごしましょう
インフルエンザワクチンの場合、接種後に副反応が出る原因のひとつに、卵アレルギーが挙げられます。
インフルエンザワクチンは、生ワクチンと不活化ワクチンがあり、日本で承認されて主に使われるのは不活化ワクチンです。これは、ワクチンを接種してもその病気にならないように、病原性をなくして不活化したウイルスの一部を使ったものです。一方の生ワクチンは毒性を弱めたものなので、接種後にその病気の症状が軽く出ることがあります。不活化ワクチンでは、免疫を高めるためにアジュバントと呼ばれる物質が入っています。これによって免疫を高めるのですが、免疫を高めると、副反応が出てしまうこともあり、免疫を高めないとワクチンの効果がなくなりますので、バランスが重要になっています。
生ワクチンも不活化ワクチンも、作り方はほぼ同じです。例えば生ワクチンの場合、麻疹ワクチンはニワトリ胚培養細胞で、風疹ウイルスはウズラ胚培養細胞で、それぞれ増殖させます。これによって得られたウイルスを含む液に安定剤などを加えて混ぜ、凍結乾燥したワクチンが「MRワクチン」です。不活化ワクチンであるインフルエンザワクチンの場合、インフルエンザウイルスをニワトリの卵に入れ、増えたインフルエンザだけを精製し、卵の成分をできるだけ除いて使用します。不活化ワクチンは卵の成分の混入が少ないため、卵アレルギーがある人でも、アレルギーが比較的軽く、卵加工品などを食べても問題がない人であれば、接種可能と考えられています。とはいえ、医師に相談するなど、接種する場合は注意が必要です。
なお、インフルエンザの生ワクチンであるフルミストは、鶏卵を使ってインフルエンザウイルスを増やして作られています。ワクチンに鶏卵の成分が含まれているため、重篤な卵アレルギーがある場合は、鶏卵の成分による副反応が起きるリスクもあり、注意が必要です。
インフルエンザワクチンの主な副反応…腫れ・痛み・かゆみ・発熱など
季節性のインフルエンザワクチンを接種した際に起こる副反応には、以下のようなものがあります。- 注射部位の赤み(発赤)・腫れ・痛み
- 全身症状(発熱・頭痛・悪寒・倦怠感・嘔吐・吐き気・下痢・関節痛・筋肉痛)
- 湿疹・じんましん・かゆみなど
- アナフィラキシー
- 急性散在性脳脊髄炎(脳と脊髄に炎症が起こり、重症な場合は呼吸ができなくなる病気)
- ギラン・バレー症候群(末梢神経の病気で手足が麻痺する)
- けいれん
- 肝機能異常
- 喘息発作
接種当日は、ふだん通りの生活をしても大丈夫ですが、やはり激しい運動や大量の飲酒は避けたほうがよいでしょう。入浴もかまいませんが、注射した部位をこすったりしないようにしてください。
副反応の多くは2~3日で自然に改善! 必要に応じてケアを
季節性インフルエンザワクチンの副反応には、接種した場所の赤みや腫れ、痛みなどがあります。これらの副反応は接種を受けた人の10~20%に起こります。また発熱やかゆみなども含めた副反応は、たいてい2~3日で落ち着きますが、それ以上長引いたり、症状がひどくなってきたりしたら、必ず予防接種を受けた医療機関を受診してください。注射をした部分の皮膚が赤くなったり腫れたりするのは、体の健全な防御反応でもあります。腫れた場合は、念のため入浴は避けてください。副反応に対しては、自己判断で余計な刺激を与えない方が安全です。症状がつらい場合は、保冷剤や湿布などで軽く冷やすと、比較的楽になります。ワクチンについて不安がある方は、「インフルエンザワクチンの水銀・チメロサールの影響」「「ワクチンは危険」の真偽…予防接種のメリット・デメリット」もあわせてご覧ください。
また、赤みや腫れ、痛み、しこりなどの副反応が出ている間は、飲酒や激しい運動、長時間の入浴は症状を悪化させることがあるため、控えたほうがよいでしょう。高熱やけいれんなどの異常な症状が出た場合は、速やかに医師の診療を受けてください。