環境の変化になじめず心身に不調を感じたら……
期待と不安で始まる新生活。ストレスを溜め込まないようにしましょう
五月病とは、新しい環境や人間関係になじめずに緊張状態がつづき、それがストレスとなって抑うつ状態になってしまうこと。五月病は正式な病名ではなく、医師の診察を受けると、「適応障害」や「軽度のうつ病」と診断されるかもしれません。
もしも、自分や周囲の人が五月病かもしれないと思ったら、以下のような症状があるかどうか、チェックしてみましょう。チェックが多いほど、五月病の可能性が高いといえます。
□ 気持ちが冴えない
□ やる気が起きない
□ 体がだるい
□ 疲労感がとれない
□ 寝つきが悪くなった
□ 朝、起きたときにぐったり疲れている
□ 思考力、集中力が低下した
□ 自信がなくなる
□ 不安だ
□ ネガティブな考えが浮かびやすい
□ 頭痛、腹痛などの身体症状がある
□ 食欲が低下した
□ ちょっとした事で怒りだしたり、飲酒時の悪酔いなど、問題行動の出現
このチェックリストにある症状は、軽いものなら誰でも経験したことがあるようなものです。ストレスや疲労が積み重なることで一時的に抑うつ的な気持ちになっても、休養をとれば自然と元に戻ることが多いでしょう。しかし、人によっては症状が悪化して、朝、起きられなくなり、出勤や登校ができなくなってしまうこともあるのです。こうなると、精神疾患である「適応障害」や「うつ病」を発症してしまうおそれもあります。
真面目な性格の人ほどハイリスク? 五月病になる危険性
五月病は、かつては新入社員に多くみられる症状でした。しかし、近年は中高年にも増加しており、人事異動や転職、転居、子どもの独立、離婚、失業などによる環境の変化も原因になっているようです。そのため5月に発症するとは限りません。新入社員にしても、正式配属になった6月頃や、夏休みが終わった8月頃に発症するケースもあります。五月病になりやすい人の性格には、ある程度の傾向があります。「真面目で計画的」「几帳面」「おとなしくて内向的」「完璧主義」「がまん強い」「責任感が強い」といった、多くは他人から高い評価を受けるタイプです。しかし見方を変えれば、「融通が利かない」「弱音を吐けない」「周囲の期待を過剰に受け止める」など、ストレスをため込みやすいタイプといえます。
もちろん、このタイプの人がすべて五月病になるわけではありませんが、誰でもストレスの耐性の限界を超えたとき、五月病の状態になってしまうのです。こうした事態にならないようにも、五月病にならないためのポイントを覚えておきましょう。
五月病対策……体を休めて疲労とストレスを解消!
五月病の大きな要因は疲労です。新しい環境に早くなじもうと、疲れているのに無理をして疲労をため込んでしまうと、それが原因で仕事の能率が落ち、さらに疲れが増して……という悪循環におちいってしまいます。そうなる前に、疲労を感じたら、無理をせずに休養をとることです。たっぷり睡眠をとり、体を休めるだけでストレスは軽減できます。軽い運動や趣味に楽しむことも、ストレス解消に効果的です。
そして、完璧主義的な思考は少しお休みしてみましょう。このようなタイプの人は、仕事を頼まれると断れず、無理してこなそうとすることが多いようです。先はまだ長いのですから、がんばりすぎないことです。「今できなくてもしかたがない」と、断る勇気をもち、自分の気持ちに余裕をもたせることも大切です。また、悩みや不満をひとりで抱え込まないようにしましょう。家族や友達に話すだけでも心は軽くなるものです。
環境の変化は誰にでも起こることです。そのとき、重い疲労感や気持ちの落ち込み、イライラや焦燥感を感じ、さらにそれが数週間もつづくようであれば、早めの対処が必要です。もしかしたら治療が必要な状態かもしれないので、精神科や心療内科の受診を考えてください。
(監修:メンタルヘルスガイド:中嶋 泰憲)