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掃除のタイミングとは? 「汚れる前に掃除する」のウソ・ホント

汚れが溜まらないようにするには、汚れが目に見えるようになる前に掃除するべき? 知っているようで知らない「掃除を行うタイミング」について、詳らかにご説明致しましょう。「掃除」の位置づけを新たにしてみる参考になればいいと思っています。

藤原 千秋

執筆者:藤原 千秋

家事・掃除・子育てガイド

掃除をするタイミング! 汚れる前に掃除! とは言うものの……

掃除をするタイミングは?

意味が分からないんですけど!

“汚れが溜まらないようにするには、汚れが目に見えるようになる前に掃除する”ってやり方をどっかで聞いたんですけど、見えない汚れを取るとか意味が分からないんですけど、どういうことなんですか? 
 
あと、掃除をするタイミングがあるって言うじゃないですか。毎日とか、3日に一度とか、1週間に一度とか、気づいたら都度とか……みんなそんなにしょっちゅう掃除してるもんなんですか? さらによくわからないのが“こまめに”掃除するとかっていう言葉なんですけど、“こまめ”って1日に何度もやれとかそういう意味なんですか?

……という、怒濤の質問を先日受けました。

「ずっとモヤモヤ疑問に思っていたんですけど、誰に聞いたらいいか分からなくて」という編集者さん(余談ですが新婚)に軽く圧倒されながら(とはいえそれは取材の本旨とはちょっと違っていたのでボチボチそちらに立ち戻りながら)、その「個人的質問」にお答えした内容をここにまとめておこうと思います。

と言うのも、その問いに普遍的なものを感じたからです。

識者からの指南と、自分の中の実感にズレを抱くことは少なくないでしょう。揺るぎない自信が自分にあるならともかく、なかなかその違和感というのは表明できるものではありませんよね。でも腹落ちしない指南は折角教わっても、正しいものだとしても、やはり身には付かないものではないでしょうか。

ガイドからの回答も絶対の正答ではありませんが、個々の価値観の中で「掃除」の位置づけを新たにしてみる参考になればいいと思っています。
 

「汚れる前に掃除する」は正しい、でも……

結論から言えば、「汚れが溜まらないようにするには、汚れが目に見えるようになる前に掃除する」というのは正しいやりかたです。

洗濯物でイメージするとわかりやすいかもしれません。一度着ただけのシャツを洗濯すべきか否か、というのはたまに家事界隈で議論になるテーマ。実際、「汗」などは透明ですから一見汚れとは分からないものです。

ただ、その一見キレイなシャツを3ヶ月~1年と放置したらどうなるか? 首周りや脇の下にあぶりだしのように「汗シミ」が浮き上がってしまい、着られる状態ではなくなるでしょう。
シャツなどを「汚れが見えるまで洗わない」人はまずいません

シャツなどを「汚れが見えるまで洗わない」という人は、あまりいませんよね

同じように、住まいの見えない微細な汚れでも、時間の経過によって紫外線や酸素の影響を得て、容易に落とせない変色やシミとなるというのは、よくあることです。

改めて言いますが「汚れ(が溜ま)る前に掃除をしましょうね!」というセオリーは間違っていません。それが可能であるならばそうしたほうが住まいは汚れません。「新築然」とした状態を長く保つことも容易になることでしょう。「そうすること」が自分の生活、人生のなかで最優先すべきことであれば何もその掃除を妨げることはありません。

でも……生活をしていれば、家が汚れるのは自明の理であり、行く河の流れは絶えずして、しかも元の水に非ず。「ま、いいや」という気持ちになれるのであれば別に「こまめに」目を三角にして掃除をする必要などもありません。

掃除のために人は生きているのではありません。生きるのを少し楽にするために掃除をしているだけなのです。
掃除はあくまで、生活を楽にするために行なうもの。振り回されてしまうのは賢くありません

掃除はあくまで、生活を楽にするために行なうもの。振り回されてしまうのは賢くありません

 

では、「掃除をするタイミング」はどう測ればいいのか?

とは言え、あからさまに大きな汚れ――例えば、植木鉢を倒して泥が撒かれた、牛乳をこぼした、お漏らしした、嘔吐した場合などの汚れに関しては、「掃除のタイミングはいつがいいの?」などと悠長なことは言わず、たいてい「すぐに対処」していますよね。

難しいのは、極小サイズだが「蓄積」すると目に見える汚れになるものに対処するタイミングの測り方なのではないかと思います。基本的に私たちの住まいを汚す原因は大きいものから小さいモノまで、多くの家で共通しており、小さな汚れの代表例としては、以下のものが挙げられます。

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<住まいに存在する小さな汚れの代表例>
・ホコリ:衣類や寝具由来の繊維、砂、泥、もっと小さな煤煙や花粉などの粒子など得体の知れないもの

・水あか:水道水に含まれるミネラル分が蓄積したもの、白っぽい鱗状になって自覚されるもの

・油脂:人体由来の脂汚れ、皮脂汚れのほか、調理由来の油脂、たいていミスト化している、ベタベタするようになって気づくもの
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この3種は多くの場合、単独ではなく複合化して住まいを汚します。複合しやすい場所、しにくい場所もあり「キッチン(ホコリ+油脂)」「浴室(水あか+ホコリ)」など複合化しやすい場所ほど、掃除が面倒だと思われがちです。
 

「週1掃除」という絶妙な目安は本当に正しいのか?

また汚れの蓄積は、見た目の不潔さ(不快感)だけでなく、厄介な状態も呼びかねません。具体的には「カビ」「ダニ」「ゴキブリ」などの発生・繁殖。

幸い、この忌まわしい存在の発生・繁殖には、それなりに時間がかかるので、昨日汚れがついて今日大発生――ということはありえません。しかし、半年放置できるほどのんびりもできません。そこで「だいたい大発生は阻害できるかな~?」という目安としてよく挙がるのが「週1掃除」というタイミング。

たいへん無難なラインを攻めた絶妙な数字だと思います。しかし、正しいかと問われれば、そうとは言い切れません。
週1回の掃除、って「正解」っぽいけど……

週1回の掃除、って「正解」っぽいけど……

たとえば、あまり家に居着かない一人暮らしの「週1掃除」と、家族10人がひしめき合う環境下での「週1掃除」では、汚れ方のレベルに天地の差があります。また、 汚れ度合いに対する認識の個人差も無視できません。人やペットの抜け毛関係、消しゴムのカス、乾いたご飯粒の類などといった「小さめなゴミ」への対処には、皆さん「だいぶ幅があるな」というのが実感としてあります。陰毛1本耐えられない人から、毛玉になっていても平気な人まで、いろいろです。

つまり「週1掃除」という目安はあくまで目安に過ぎませんし、極論を言えば「掃除をするタイミング」に正解はないのです。それでもあえて正解をひねり出すのであれば、冒頭に紹介した“怒涛の質問”の中で疑問を呈された「こまめに」という曖昧な指南を、自分なりに実践して、納得できたタイミングこそが、正解と言いたいです。
 

まずはどこか一箇所、「汚れる前に掃除」をしてみよう

話を「汚れる前に掃除する」に戻しますと、前述の「大きな汚れ」ではない、細かな、あるいは微小な汚れの場合、ある程度何かに付着してしまう(「汚れて」しまう)ことは物理的に避けられません。生きることは汚すこと。ただ致し方なく汚れてしまうことと、その汚れを「溜めてしまう」こととは似て非なることです。
いいね!!!

どこか一箇所でいいので、自分が「いいね!」と思える場所を汚れる前に掃除してみましょう

ですから、どうか無理無くできる範囲で、「汚れる前に掃除する」を試してみて下さい。もし難しければどこか一箇所だけでいいです。きっと「そこ」があなたの「モヤモヤ」を消し去る、住まいの「清浄器」になるでしょうから。

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