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難読地名も残しておくべき?

さまざまな場面で「分かりやすさ」が優先されることは多いものの、難読地名には由緒ある歴史が刻まれていることも少なくありません。便利さだけにとらわれず、難読地名も将来へしっかりと引き継いでいきたいものです。

執筆者:平野 雅之


古くから使われている地名や町名にはそれぞれの由来があり、その地域の歴史や伝統文化、あるいは地形の特徴などを端的に表している例も少なくありません。

ところが、昭和の高度成長期、住居表示制度の実施によって古い町名が姿を消し、「◯◯中央」「◯◯東町」「◯◯西町」「◯◯が丘」「◯◯□丁目」などのように変更されてしまったところも数多くありました。

しかし、近年は古い町名を保存していこうとする機運が高まっているほか、金沢市では2000年頃から旧町名を次々に復活させるなど、町名に対する考え方は大きく変わってきているでしょう。

古い町名では読み方の難しい、いわゆる「難読地名」の場合が少なからずあるものの、いくら難読、難解だとしても由緒のある地名はこれからもずっと残し、将来へ引き継いでいってもらいたいものです。

以前、仕事で大阪市へ行く機会が多かったのですが、何度訪れても難解な地名や駅名の多さを感じます。あるとき困ったのが訪問先の住所にあった「立売堀」で、誰かに教えてもらわないかぎり「いたちぼり」とは読めないでしょう。

その後、地下鉄の「のえうちんだい」という駅名も新たに覚えましたが、どのような漢字なのか考えてみてくださいませ。

それ以外にも、大阪市には河堀口(こぼれぐち)、放出(はなてん)、柴島(くにじま)など、数多くの難読地名があります。十三(じゅうそう)も最初はなかなか読めないでしょう。

とはいえ、逆に大阪の人が東京へ来れば、東京の地名のほうがもっと難解に感じられることがあるかもしれません。

あるとき、知り合いの不動産業者(地方出身)が「東京には変な地名が多いな」というので聞いてみたら、猿楽町(渋谷区、千代田区)や舎人(とねり:足立区)のことでした。猿楽町は難読というわけではありませんが、「変わった地名」という印象だったようです。

私は別に変だとは感じていませんでしたが、慣れていないと東京の地名に戸惑うこともありそうです。東雲(しののめ)や雑色(ぞうしき)、等々力(とどろき)なども、東京以外の人からみれば難読地名なのかもしれません。

全国を見渡せば、それこそ数え切れないほど難読地名はありそうですが、読み方を推理したり調べたりすることもひとつの楽しみだといえます。

難読ではなくても、埋立地などでないかぎりそれぞれの土地には長い歴史があるため、購入する物件を探すときには、少しだけでもその一帯の昔の様子を調べてみると、思いがけない発見もあるでしょう。

ちなみに、千代田区の「猿楽町」は江戸初期に能楽師観世太夫の屋敷があったことに由来するのだそうです。

それに対して渋谷区の「猿楽町」は、猿楽塚と呼ばれる古墳時代末期の円墳に由来するという説や、鎌倉時代に源頼朝がこの地で猿楽を催してその道具を埋めたという説、風景がすばらしく酒宴を催したときに「去我苦」といわれたという説などがあるようです。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2007年1月公開の「不動産百考 vol.7」をもとに再構成したものです)


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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