2016年の名付けトレンドは……特別に大きい変化は無い
2016年11月末に明治安田生命より今年の名づけのランキングが発表されました。名前の順位はもとのデータや集計方法によって違いは出ますが、明治安田生命が毎年発表する順位は最も広く知られています。これを見ますと、2016年はリオ五輪の影響でリオという呼び名の順位が上がったとか、五輪で活躍した選手と同じ名の順位が上がったというような、単発的な影響は見られます。ただ全体的な大きな変化は無いようです。
呼び名別・文字別人気ランキングも大きな変化はない
呼び名別の順位の上位に表れるものは、その時代に好まれている音が表現され、呼び名自体が年によって大きく入れ替わることはありません。文字別の順位で上位に表れる名前は、その時代、その社会に最も求められているもの、言いかえれば求めて得にくい欠乏しているものが表現されます。
平成に入ってからの人気名前には、動物、植物、海、空、太陽など、自然界を表す字が非常に多く使われてきており、それは2016年も変わりません。現代の人がいかに自然に飢え、また環境破壊に不安を抱いているかということの表れと見ることができます。
あて字的な読み方の名、男女不明の名が好まれる
2016年赤ちゃんに人気の名前は?
これらは本来の読み方ではない名ですが、「あて字」と呼んで好んでつける人も増えています。 また朝陽の名はアサヒと読まれることが多いですが、アサヒは男女ある名です。悠はユウ、ハルカと読み、これも男女ともにつけられる名です。
蓮は最近は男の子に、凛は女の子に多いですが、もとはどちらも男女両方につけられた名で、世の中には実際に男女両方います。
そして2016年はとうとうベスト10の中で同じ名前が男女両方に入ってきました。文字別で「葵」、音別で「あおい」という名です。
ただし読めない名前、男女わからない名前をつけるのは新しい流れではありません。そういう名前は古くからたくさんあり、むしろ顔見知りとだけ暮らす人の多かった時代はそれでも支障は無かったのです。
しかし多くの人が広範囲を行き交う近代社会になるほど、赤の他人が名前を見ることが多くなり、混乱を起こさず、人の迷惑にならないようにするため、明治よりは昭和になるほど、そして戦前より戦後のほうが減ってきたのです。
平成になってからは、社会は近代化されていますが、名づけは昔帰りしているわけです。これは社会的な必要性からではなく、「みんながやっている」という風にムード的に起きているものと言えるでしょう。