だいぶ前の話になりますが、株式会社不動産経済研究所が2003年10月に「マンション、こんなに変わった-郊外化から都心居住へ『全国マンション市場・30年史(1973-2002)』」と題する興味深い資料を発表していました。
そのなかに1973年と2002年における事業主別供給ランキング(全国)を比較した表があったのですが、1973年時点の上位10社のうち、2002年もベストテンに入っているのは三井不動産1社のみ。上位20社で比較しても、引き続きランクインしているのは6社だけでした。
また、1973年時点の上位20社のうちおよそ半数は、2002年当時すでにマンション事業そのものから撤退していたようです。
また各種の指標をみると、1963年から64年の第一次マンションブーム期の住宅ローン金利は年10.20%と高く、その分譲価格は勤労者世帯年収の9.2~11.5倍となっています。近年の状況と比べれば、マンションがいかに高嶺の花だったのかが分かるでしょう。
昔と比べれば、いまのマンションは庶民的!?
マンションが大量供給された1973年頃(第三次マンションブーム期)になると、分譲価格こそ年収倍率でみればそこそこの水準に下がりました。
しかし、その頃でも住宅ローン金利は年9%台であり、やはり一般の人がマンションを買うのは難しい時代だったことがうかがわれます。
さて現在、新築マンション価格の上昇傾向がしばらく続いたことにより、首都圏では再び年収倍率が10倍を超える水準になってきたようですが、住宅ローンは相変わらず、過去からみれば「あり得ない」ほどの超低金利状態だといえるでしょう。
過去のマンション史のなかで比べてみれば、いまは依然として好条件であることに変わりはありません。分譲価格が適正水準なのかどうかの議論は別にして……。
>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX
(この記事は2007年2月公開の「不動産百考 vol.8」をもとに再構成したものです)
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