ここ数年で大都市圏における地価の上昇傾向が再び強まってきました。人件費や建築資材の高騰もあり、住宅価格も上昇が目立っています。

アットホームの調査によれば、東京23区における2016年6月の新築戸建て住宅平均価格は前年同月比11.0%上昇の5,072万円で、初めての5,000万円超えとなったようです。

それ以上に価格上昇が目立つのは新築マンションで、不動産経済研究所がまとめた2016年6月の平均価格は東京23区で7,092万円に達していました。東日本不動産流通機構のまとめによる中古マンション価格も、東京23区では2016年6月まで45か月連続で前年同月を上回っています。

東京23区ではなかなか手の届きにくい住宅価格水準になってきましたが、その一方で、東京23区では子育てのための支援策も年々充実が図られています。中学3年生までの医療費が無料になったり、一部の区では医療費に食事代を加算したうえで助成してくれる制度もあったりします。

そのほかにも出産費の助成、保育料の助成、児童手当など、それぞれの制度の内容や充実度は区によって大きく異なるものの、他の道府県の自治体に比べ優遇されている面が多いでしょう。

これからの地方の自立が求められる時代のなかでは、住民支援制度の格差がますます広がっていくことも考えられます。待機児童への対策など大きな課題もありますが……。

そのぶん東京23区の住宅価格は高いわけですが、住居費以外も含めたすべての生活コスト、あるいは将来に売却するときの価格など、総合的にみれば「東京23区で住宅を買ったほうが安上がりだった」という結果になるケースが増えるかもしれません。

これから本格化する人口減少社会において、地価や住宅価格が大きく落ち込んでいくこともあるでしょうが、その様相は地域によってずいぶん異なるものになりそうです。

たとえば、東京23区で5,000万円のマンションを購入してこれを20年後に売るとき、3割ダウンの3,500万円でしか買い手が付かないとしましょう。20年間の値下がり幅は1,500万円です。

それに対して、地方都市で2,500万円の一戸建て住宅を購入し、20年後に500万円でしか売れなければ、20年間の値下がり幅は東京23区を超える2,000万円なのです。

もちろん、物件によって状況は大きく異なりますし、20年後あるいは30年後にどのような住宅市場になっているのかも分かりませんが、人口減少が顕著になる地域では、タダでも引き取り手のいない住宅が増えることも十分に考えられるシナリオでしょう。

もちろん、無理をして高価格エリアの住宅を買う必要などまったくありませんが、将来的な再販価格や、それぞれの地域における将来像などをしっかりと考えてみることがますます重要になってきているように感じます。


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(この記事は2007年7月公開の「不動産百考 vol.13」をもとに再構成したものです)


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