ロマンチック街道は世界遺産とワインの町ヴュルツブルクからスタート!
ドイツの観光街道の中でも一番人気にして有名なロマンチック街道の北のスタート地点となるヴュルツブルクは、ドイツ歴史古都連盟にも名を連ねる美しい街です。フランケンワインの名産地として知られ、世界遺産のレジデンツ宮殿ほか見どころも盛りだくさん。ドイツ最大の空の玄関口フランクフルトからのアクセスが良いので一日観光にもおすすめです。今回は見ごたえたっぷりのレジデンツ宮殿を中心に、ぜひ見ておきたい観光スポットから名物ワインや郷土料理が楽しめるおすすめレストランまで、ヴュルツブルクを丸ごと楽しめる情報をお届けします。とっておきの恋愛パワースポットも登場しますよ!
ヴュルツブルクへのアクセス
フランクフルト中央駅からヴュルツブルク中央駅までICEで約1時間。ミュンヘン中央駅からヴュルツブルク中央駅までICEで約2時間世界遺産のレジデンツ宮殿は必見!
ヴュルツブルクで一番の人気観光名所といえば、世界遺産にも登録されているレジデンツ(宮殿)。18世紀に領主大司教の居城として天才建築家バルタザール・ノイマンの設計で建てられた宮殿は、このためだけに訪れる価値があるくらい見ごたえがあります。たっぷりと時間をとって隅々までじっくり見学しましょう。建物内部に入ってまず圧倒されるのが、2階まで続く階段の間。天井いっぱいに描かれた世界最大級のフレスコ画は世界の4大陸を表現したもの。その美しさもさることながら、実際に現地を見たことがない画家ティエポロによって描かれたため、よく見るとアフリカ象がアジアにいたり、ダチョウの足が太すぎてムチムチだったり、アメリカ大陸で人間バーベキューをしていたり(当時アメリカは野蛮な大陸と見なされていたそう)……と欧州側の思い込みがあちこちに見られるのも興味深いところ。いくつ間違いを見つけられるかチャレンジしてみてください。
続いて彫刻家ボッシの繊細な漆喰が見事な「白の間」、大理石の柱やボッシ作のスタッコ、ティエポロの天井画でゴージャスな空間をつくりだしている「皇帝の間」を過ぎると、建物の南翼と北翼に分かれます。ベルサイユ宮殿よりもすごいと噂の「鏡の間」、バロック様式の宮廷教会などがある南翼側はガイドツアーのみで見学可。ガイドツアーはドイツ語と英語で行われていますが、日本語がいいという人は個人でガイドさんにお願いすることもできます。
今回お世話になったガイドさんはこちら>>>シュミット・エミさん www.japan-würzburg.de
※館内は撮影禁止なのでご注意ください。今回は許可を得て撮影しています。
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■Residenz
住所:Residenzplatz 97070 Würzburg
TEL:0931-355170
営業時間:4~10月9:00~18:00、11~3月10:00~16:30
入場料:大人7.5ユーロ
アクセス:ヴュルツブルク中央駅から徒歩約20分。バスやトラムもあり
フランケンワインの名産地で飲む
ヴュルツブルクはドイツのワイン産地のひとつ、フランケンの中心となる街。最古のぶどう畑として有名な「シュタイン」があることからシュタインワインとも呼ばれています。ボックスボイテルという丸みを帯びたボトルや、「男性的なワイン」とも称されるきりっと引き締まった飲み口の辛口ワインは、ドイツワインのなかではちょっと異色の存在。熱狂的なファンも多く、かの文豪ゲーテも手紙に書き残したほどです。記念撮影の定番スポットでもある12の聖人像が並ぶ旧マイン橋は、夕方ともなるとワイン片手に語らう人々で埋め尽くされて圧巻。ここはまさしくワインの街なんだなあ! と実感できる光景です。みんなじつに楽しそうに飲んでいるので見ているだけでもウキウキ。もちろん、1杯やるとさらに楽しくなること請け合いですよ。
ヴュルツブルクの街にはいたるところにワインショップがありますが、なかでも3大ワイナリーとして有名なのがレジデンツの地下にワインセラーをもつ「ホーフケラー Hofkeller」、1316年に慈善院として設立された「ビュルガーシュピタール Bürgerspital」、施設院として創設され、現在では病院と老人ホームを併設する「ユリウスシュピタール Julius spital」の3つ。ワイナリーではワインを試飲して購入できるのはもちろん、レストランが併設されていたり、ビュルガーシュピタールのようにワインセラーのガイドツアーを開催しているところもあります。
ここで、フランケンワインを郷土料理とともに楽しめるおすすめのレストランをご紹介しましょう。ひとつは猿がシンボルマークの「Maulaffenbäck」。昼間から1杯やる地元の人たちで賑わう、気軽で明るい雰囲気のワイン酒場です。秋に訪れると季節限定の新ワイン、フェダーヴァイサーやツヴィーベルクーヘンもいただけます。
しっかり食事を楽しみたいなら、市庁舎地下にある「ラーツケラー」がおすすめ。歴史を感じる建物のなかで豊富なフランケンワインやビール、郷土料理がいただけます。ガイドがいただいたフランケン名物「Fränkische Hochzeitsessen (フランケンの結婚式料理)」は、牛肉に西洋わさびとベリーのソース、平打ちパスタが添えられたボリューミーな1品。わさび風味と甘酸っぱいベリーの組み合わせは未知のものでしたが、これが意外にも日本人の味覚に合う美味しさでした。
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■Maulaffenbäck
住所:Maulhardgasse 97070 Würzburg
TEL:0931-46778700
営業時間:10:00~23:00
アクセス:ヴュルツブルク中央駅から徒歩15分
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■Ratskeller
住所:Langgasse1 97070 Würzburg
TEL:0931-13021
営業時間:水~土17:00~ 日12:00~ 月火休み
アクセス:ヴュルツブルク中央駅から徒歩15分
絶景! マリーエンベルク要塞から街を見下ろす
旧マイン橋のバックに鎮座して唯一無二の美しい景色をつくりだしているマリーエンベルク要塞。もともとはケルト人の避難所で、13世紀から18世紀までは領主司教の居館として使われた頑丈な防御施設でした。ここの中庭から見下ろす旧マイン橋とヴュルツブルク市街はまさに絶景! がんばって上る価値ありですよ。(橋から徒歩15分ほど)大聖堂の見どころは彫刻と恋愛パワースポット
ヴュルツブルクの街の中心にあるザンクト・キリアン大聖堂は、ドイツで4番目に大きなロマネスク様式の教会。現在の建物は1040年に建設が始まり、時代とともに移り変わる建築様式の影響を受けています。内部の一番の見どころは柱沿いに並べられた歴代の司教たちの墓石。なかでも天才彫刻家ティルマン・リーメンシュナイダー作のルドルフ・フォン・シェーレンベルク領主司教の墓碑は有名です。
ヴュルツブルク市長でもあったリーメンシュナイダーは、この街とフランケン地方に数多くの作品を残しています。大聖堂に隣接するノイミュンスター教会内にあるマドンナと幼子の像も必見。アーモンド型の目、S字にくねった体のライン、美しいドレープなどリーメンシュナイダーの特徴が随所にみられる傑作です。
教会裏の中庭には森鴎外も訪れたという、吟遊詩人ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルワイデのお墓があります。ここは知る人ぞ知る恋愛パワースポット。数多くの恋愛詩を残した彼のお墓にお花を供えると、花が枯れる頃に恋愛の悩みが解決する、という言い伝えがあるそうです。なんだかとてもご利益がありそう……恋に悩む人は訪れてみては!?
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■Dom St. Kilian
住所:Domstr. 40 97070 Würzburg
TEL:0931-386-62900
営業時間:月~土10:00~17:00 日13:00~18:00
アクセス:ヴュルツブルク中央駅から徒歩15分
日独交流の先駆者シーボルトの記念館
ヴュルツブルクには日本ととても縁深い歴史上の人物がいます。それは日本を初めてヨーロッパに紹介したフィリップ・フランツ・フォン・シーボルト。医学者で植物学者だったシーボルトは19世紀にオランダ王室の命を受け鎖国中の日本に渡り、長崎で医師として活躍しました。シーボルト記念館では彼の活動や生活を伝える展示とともに日本芸術を紹介する特別展も開催。地下には本格的な茶室があり日独交流が行われています。<DATA>
■Siebold-Museum
住所:Frankfurter Str. 87 97082 Würzburg
TEL:0931-413541
営業時間:火~日14:30~17:30
入場料:4ユーロ
アクセス:ヴュルツブルク中央駅から路面電車2/4番でシーボルト記念館下車(日本語のアナウンスあり)
取材協力:ドイツ歴史古都連盟、ヴュルツブルク観光局