そもそも「宝くじ」って何だろう?
年の瀬が近づくと聞こえてくるのが年末ジャンボ宝くじの話だ。当たれば億単位の配当が転がり込むとあって、発売初日には早朝から売場に長い列が出来るほどの人気。男性の81.4%、女性の71.6%が購入経験を持つ(宝くじ公式サイトより)という宝くじだが、そもそも宝くじって何なのだろう?
そもそも「宝くじ」って何だろう?
宝くじの始まり
江戸時代、日本中でギャンブルが流行し、寺社では丁半バクチなどのギャンブルが盛んに行われていた。客は勝ったり負けたりするが、寺は胴元として手数料を取るため、労せず確実に儲かった。それが”坊主丸儲け”という言葉として今も残っているが、そんな時代にもう一つ、寺社が幕府から特権を与えられていたのが「富くじ」だ。
富くじは寺社の修繕費を調達する目的として販売が許可されていたもので、当時大変な人気となった。
戦費調達の目的で再開
その後、富くじは天保の改革によって禁止されたが、第二次大戦中、戦費調達を目的に「勝札」と名前を買えて復活。ところが抽選される前に日本は敗戦した。実はこの時、財源を確保する手段としてギャンブル(宝くじ)を導入したことが、その後の日本のギャンブル行政のやり方として定着することとなった。
日本の他のギャンブルも同じ
日本には今、宝くじをはじめ、サッカーくじ(toto)、競馬、競輪、競艇、オートレース、パチンコなど多くのギャンブルが存在する。(※パチンコは現法下ではゲームセンターの扱いなので詳細はまた別の機会に譲る)日本ではギャンブルは刑法によって禁じられているが、これらのギャンブル(パチンコ除く)が開催できるのは、それぞれ財源確保を目的とした公営競技として認可されているからで、考え方は富くじと同じである。
昨年から今年にかけて新国立競技場の問題が起きた際も、その建設費用捻出のため「野球くじ」の導入が検討された。検討中にプロ野球選手による賭博問題が発覚したことで立ち消えになったが、理屈は富くじと同じである。
つまり宝くじは「形を変えた税金」
ここから言えることは、宝くじは「形を変えた税金」であるということだ。国家財政が逼迫(ひっぱく)した場合、「増税」が一つの手段だが、反発が大きく実施が難しい。
ところが、宝くじとなると人は喜んでお金を出す。しかも外れても誰も文句を言わない。国から見てこんな楽な集金手段はないというわけだ。
宝くじは外国で「愚か者の税金」と呼ばれている
そんな点から、宝くじは外国で「愚か者の税金」とも呼ばれることもある。お金を取られているにもかかわらず、その自覚がなく、負けた本人も満足しているからそう言われるようになったのだろう。宝くじにはそうした皮肉な面もあるということは是非自覚しておきたいものだ。
夢を買うなら3000円でOK
宝くじを買う人が一番当てたいのはもちろん「一等」だが、そんなものに当たるのは交通事故に遭うよりも確率が低く、まさに空から落ちてきた隕石に当たるくらいの確率だ。それにもかかわらずお金を払うのはやはり「夢を買う」からだろう。
買ってから抽選日まで、当たったらこうしようああしようと思い描くのは確かに楽しい。
どんな気持ちで買うも自由だが、大半の人が本気で当てようなどとは思っていないことは、一人あたりの一回の購入金額で最も人数が多いのが、ジャンボ宝くじ10枚1セット分にあたる3000円であることからも想像できる。
高額な当選金は魅力だが、もしも本気で当てようなどという気持ちが湧くようなら、「愚か者の税金」という言葉を思い出し、あくまで暮れの風物詩として楽しむことをオススメしたい。