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ニンテンドースイッチは携帯できる据え置きゲーム機

長い沈黙から、突然の発表となった任天堂の新ハード「ニンテンドースイッチ」。2016年10月22日に任天堂が公開した約3分半の短いPVと1ページのニュースリリースに、世界中のゲームファンが注目しました。いったいどんなハードになるのか、ちょっとPVから予想できることを考えてみましょう。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

新ハード「ニンテンドースイッチ」発表!

ニンテンドースイッチの図

一見普通に見えるコントローラーに、秘密が隠されています

長い沈黙から、突然の発表となった任天堂の新ハード「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」。2016年10月22日に任天堂が公開した約3分半の短いPVと1ページのニュースリリースに、世界中のゲームファンが注目しました。もし、まだPVをご覧になっていないと言う方がいましたら、まずはご覧になってみてください。


【関連サイト】
Nintendo Switch(任天堂公式ページ)

さて、ニンテンドースイッチがどういったものなのか、たった3分半のPVではその全貌が明らかになったとはとても言えません。しかし、そこから予想できる部分もたくさんあります。今回は、あくまで仮定や予想を含む話として、ニンテンドースイッチがどんなハードになるのか、考えてみたいと思います。

携帯できる据え置きゲーム機

マリオカートの図

PVではマリオカートやゼルダの伝説など、任天堂の人気シリーズの最新作が登場しました

ニンテンドースイッチとはなんなのか、一言でいえばおそらくは「携帯できる据え置きゲーム機」であると思われます。そんなことは分かっている、と思うかもしれませんが、「携帯できる据え置きゲーム機」というのはとても重要なポイントです。これは「テレビに接続できる携帯ゲーム機」とは違うのです。以下、任天堂のニュースリリースからの引用です。

Nintendo Switchは、家庭用据置型テレビゲーム機でありながらご自宅か外出先かを問わず、テレビモニターの前を離れて本体を持ち出して遊ぶことができ、一人でも大勢でもどこででもお楽しみいただける、かつてない娯楽体験を世界中の皆様にご提供いたします。

【関連サイト】
ニュースリリース(任天堂公式ページ)

一般的に、携帯ゲーム機の方が据え置きゲーム機よりもスペックが劣るところから、据え置きハードのクオリティのゲームハードが外に持ち出せるということを意味していると思われますが、据え置きゲーム機の役割というのはそれだけではありません。

場所を選ばず遊べ、誰とでもゲームをシェアできる

Wii Uの図

Wii Uでも一部タイトルが対応していた、Wii U GamePad単体で遊べる機能は、とても便利でした。

ニンテンドースイッチの素晴らしいところは、言うまでもなくテレビから解放されているところです。PVでは外に持ち出して遊ぶシーンが多く流れましたが、家の中でもテレビを使わず遊べるのが便利であるということは、Wii Uを持っていた人なら体験している人も多いのではないでしょうか。大きな画面でもプレイできて、誰かがテレビを見たい時は即座に手元でゲーム、Wii Uとは違いそのまま自分の部屋にもっていって遊んでもいいですし、外に持ち出すこともできます。

もう1つ大きなポイントは、誰とでもゲームをシェアできる、という点です。これが、携帯ゲーム機と据え置きゲーム機の大きな違いでしょう。携帯ゲーム機はハードを持っている人としかゲームをシェアできません。場合によってはソフトも人数分必要です。しかし、据え置きゲーム機はコントローラーさえあれば1台でみんなとプレイできます。

ニンテンドースイッチの大きな特徴はコントローラーと本体が着脱可能なことです。このおかげで、本体をモニターとし、切り離したコントローラーの右側と左側を別々のコントローラーとして2人が一緒に遊べます。

どこでも遊べるということと組み合わせて考えると、例えばお父さんが野球を見ている時、お兄ちゃんと弟君はニンテンドースイッチを子供部屋にもっていって、二人でマリオカートを遊べるわけです。その時ハードは1つで良い、ということになります。

昼間は子ども、夜はお父さん、休みの日は家族で

スプラトゥーンの図

PVでは、ニンテンドースイッチを持ち寄ってスプラトゥーンを遊ぶ姿も

Web上で突然発表されるティザームービ―ということから、情報感度の高いゲーマー層を意識したせいか、PVでは若者や大人のゲーマーの様子が流れ、全くと言っていいほど家族や子ども達へのアピールはありませんでした。その為、分かりにくいのですが、おそらくニンテンドースイッチはむしろ家族が使った時に、とても便利に使えるマシンです。

昼間は子どもたちが、自分の部屋か、友達の家か、あるいは公園で、ニンテンドースイッチを好きな場所にもっていって兄弟や友達と遊ぶことができます。夜、お父さんが家にかえってきたら、寝るまでのお楽しみに、大きな画面で大迫力のゲームを遊べます。お休みになれば、今度は家族みんなで遊べるでしょう。

コントローラーはどう販売されるか分かりませんが、おそら本体に同梱されるコントローラーで、2人まで遊べるであろうことは想像に難くありません。もう1つ買うと4人で遊べるなら、かなり買いやすいと思います。

据え置きハードと携帯ハードの統合は起きるのか?

モンスターハンターの図

モンスターハンターシリーズを、据え置きハードのクオリティで大画面を使って遊びたい、という要望はありそうです(イラスト 橋本モチチ)

ニンテンドースイッチに関して、どんなハードになるのか、考えてみましたが、いかがだったでしょうか。最後にもう1つ、気になる話をしてみたいと思います。ニンテンドースイッチは、携帯できる据え置きゲーム機ですが、携帯ゲーム機と据え置きゲーム機のコンテンツを統合するものなのか、という点についてです。

携帯ゲーム機と据え置きゲーム機を統合する最も大きな要因は何かと言えば、間違いなくコンテンツです。日本市場に関して、とても乱暴な話をすれば、ポケットモンスター(以下ポケモン)シリーズ、モンスターハンターシリーズ、妖怪ウォッチシリーズのシリーズ本編がニンテンドースイッチに発売されるということになれば、ニンテンドー3DS市場はニンテドースイッチに吸収されて、これを持って任天堂の携帯ゲーム機と据え置きゲーム機の統合が行われると言って良いでしょう。

ただし、統合にはいくつか課題もあります。そのうち、非常に重要になるのは開発費と市場規模のバランスでしょう。日本国内では据え置き市場はかなり縮小し、ゲーム専用機ではニンテンドー3DSが最も普及しています。ここには、ゲームハードのスペックが高くなるにしたがって、開発費が高騰していった際、海外市場で勝負できない日本のゲームメーカーが、国内市場で賄える開発費のゲームしか作れない、という事情から、スペックの高い据え置きゲーム機よりも、開発しやすい携帯ゲーム機のコンテンツの方をより多く残した、という背景があります。

もしもニンテンドー3DSのコンテンツがごっそりニンテンドースイッチに移動していくというような流れがあれば、少なくとも国内市場においては非常に強力になると考えられますが、メーカーには相当なリスクがあり、サードパーティーがついてきてくれるかは微妙なところかもしれません。一方で、ニンテンドー3DSは2011年2月の発売から5年以上が経過し、ゲームハードのサイクルからいけばかなり古くなってきているという事情もあります。

ニンテンドースイッチが成功するかどうか、という話を考える時には、実は細かなスペックや機能の話よりも、ここら辺の流れをどうコントロールしていくのか、という方がよっぽどインパクトがあるかもしれません。単純に、モンスターハンターシリーズはニンテンドースイッチに移動して、本体同士のワイヤレス通信や、画面分割による協力プレイにも対応します、と発表すれば、心動かされる人はぐっと増えるんじゃないでしょうか。

ニンテンドースイッチにはまだわからないところがたくさんあります。機能、価格、同時発売タイトル、どういった層にどんな遊び方を提案していくのか。これから少しずつ明かされていくことでしょう。その中で、ニンテンドー3DSはどうなるのか……というのも、実はニンテンドースイッチ方向性を決める大きなポイントになるかもしれません。

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