個人型確定拠出年金の制度拡充で、誰もが加入できるように
「個人型確定拠出年金」。漢字の羅列でなにやら難しい制度のように思ってしまいます。そこで普及・推進の一環として、「iDeCo(イデコ)」という愛称がつけられ、今後の認知度UPにつなげていくようです。新聞やニュース、雑誌などで、「iDeCo」という文字を見かけたら、「個人型確定拠出年金」のことだな、と注目するようにしましょう。
この愛称の元となった英語表記は「individual-type Defined Contribution pension plan」。この中にある、「Defined Contribution pension plan」から、確定拠出年金制度を「DC」と略して呼ばれることもあります。この「DC」という呼び方も、商品選びの段階で頻繁に目にするようになりますので、覚えておいてください。
確定拠出年金制度は、新しい制度ではなく、2001年に日本で導入された「企業年金制度」の新しい制度で、「日本版401k」とも「DC」とも呼ばれています。すでに勤務先で導入していれば、従業員は確定拠出年金に加入していることになっています。これは確定拠出年金制度のうち「企業型」で、従来型の「企業年金」に代わる制度として、導入が進んでいます。
2017年1月に制度が拡充された「個人型」も、新しい制度ではなく、これまでも自営業者と企業型確定拠出年金に加入できない会社員が加入できました。拡充されたのは、対象者として、公務員、パート、派遣、専業主婦までも加入できることになり、これで20歳以上60歳未満の人で、国民年金をきちんと収めていれば、誰もが加入できる制度になり、急速に普及したのです。
みな平等に、将来の公的年金不足を補うための、資産形成手段を利用することができるようになったというわけです。
・・・とここまで読んで、理解できれば苦労しないわけで、もう少し、説明を加えていきましょう。
公的年金や企業年金とは違い、加入するかどうかは自由意志
年金と名前がついていますが、確定拠出年金は、国民年金や厚生年金とは異なり「公的年金」ではありません。また、従来型の「企業年金」とも異なります。これらの年金制度は「確定給付」の年金制度で、国や企業が将来、加入者に給付する年金額を確定させ、加入者に給付の約束をしています。さらには、加入については、いわば強制で、基本的には20歳以上であれば国民年金に加入しなければなりません。厚生年金や企業年金は、勤務先が給与天引きの形で年金保険料を徴収しています。これに対して、個人型確定拠出年金は、加入するかどうかは個人の自由。加入するなら、「拠出」する額を加入者が確定させ、自身の手によって運用先を決めるという仕組みのため、将来、受け取る年金額は確定しておらず、自分の運用次第で変わるということです。ただし、「企業型」の場合は、企業側が、拠出する額を決めるため、従業員は運用先や配分を決めるだけになります(マッチング拠出といって、拠出額を従業員が上乗せできる制度もあります)。
つまり、個人型確定拠出年金は、年金と名前がついているものの、加入するもしないも、いくら拠出するかも、どう運用するかも、自分次第、という制度なのです。
メリットがあるからこそ、これだけ話題になっている
それでは、保険会社が扱っている「個人年金保険」と何が違うのでしょうか。
どちらも「私的年金」という意味では、加入するしないは個人の判断によりますので、同じ位置づけになりますが、税制上のメリットが格段に違うのです。
個人型確定拠出年金には、節税メリットが3点セットで備わっており、これはどのマネー商品よりも最強と言えます。
1.拠出額(掛け金)が全額所得控除になる
2.運用中の利益(利子、配当、分配金、売却益など)が非課税
3.年金受取時にも所得控除がある
つまり、加入した時点から受け取りまで、ずっと税制上の特典を享受できるわけです。非課税や税の優遇があることは、現在のマイナス金利政策の状況では大きな意味を持ちます(詳しくは、あらためて記事にします)。節税できた分は隠れた収入ともいえ、同じ収入の人が、この制度を利用した場合としない場合では、それだけで差がつく、ともいえるのです。これが20年、30年と積み重なるわけですから、税制上のメリットを生かさない手はありません。
しかし、いいことばかりではありません。
すべてが自分の裁量でできる半面、必ずしも儲かるわけではない点、そもそも手続きやどう始めればいいのかが、わかりづらい点にあります。
実のところ、ガイドは自営業者ですから、個人型確定拠出年金の加入資格はあったのですが、これまで活用していませんでした。それは、最初の段階で決断しなければならない「金融機関選び」でつまずいたからです。自分が運用管理に使いたいと思った金融機関では取り扱いがなかったのです(その後、運営管理機関に登録されたので、その時点で加入した)。
現在、約800社の銀行、証券会社、保険会社などで取り扱いをしていますが、全国どこの金融機関でもOKというわけでありません。金融機関選びは最大のポイントで、それによって、選べる商品も違えば、口座管理にかかるコスト、運用にかかるコストも変わってくるのです。
新しく取り扱いを始める金融機関もあり、商品ラインナップの増加、口座管理料の引き下げなど、サービス合戦も展開されています。まずは、サービスを提供する運営管理機関を選ぶことから始めましょう。
iDeco公式サイトでは、気になる金融機関を検索でき、どんなラインナップなのか、どんなプランがあるのか、コストはどのくらいかかるのかチェックできます。途中で変更することはできますが、1社しか選べないので、比較検討して、自分の目的にかなう金融機関を選んでください。
【関連記事をチェック】
40代からの老後積み立ては、年金財形と確定拠出年金で
40代からの資産運用は、積み立て投資をベースに