カラーコーディネート/仕事力を上げるカラーコーディネート術

リンクテキストはなぜ青い?色で考えるフリマ戦略

クローゼットに眠るほとんど着ていない服。状態のよいブランド品であれば、リユースの対象となる可能性もあります。今回は、ネットオークションやフリマで高く売るためのカラー戦略をご紹介します。

松本 英恵

執筆者:松本 英恵

カラーコーディネートガイド

春と秋は衣替えの季節。クローゼットの中を見渡すと、ほとんど着ていない服があることに気づくのではないでしょうか。所有し続けることも選択肢のひとつですが、手放す方もいらっしゃるようです。状態のよいブランド品であれば、リユースの対象となる可能性もあります。

店舗や通販で、ブランド品のリユース事業を展開する企業に、買取や委託販売を依頼する、あるいは、ご自身でオークションやフリーマーケットに出すなど、リユースの選択肢も増えています。

今回は、インターネットのオークションやフリマで高く売るためのカラー戦略をご紹介します。

リンクテキストのブルーには理由がある

リンクテキストのブルーは、インターネットを代表するカラー戦略のひとつです。

リンクテキストのブルーは、インターネットを代表するカラー戦略のひとつです。

スマートフォンが普及し、検索エンジンの利用頻度は下がる傾向にあると言われます。しかし、リンクテキストのブルーは、インターネットにおけるスタンダードとなっています。

リンクテキストのブルーがスタンダードになったのは、2012年、グーグルが行った実験がひとつのきっかけだったと言われます。グーグルは、検索エンジンに50種類以上のブルーを使い、どの色のリンクテキストが何回クリックされたかを計算しました。グーグルはこの実験を世界各地で実施し、最もクリック率の高いブルーを特定しました。

マイクロソフトも、グーグルの調査結果に追随し、検索エンジンのリンクテキストに同じ色を採用しました。クリック率の高いブルーを採用したことによって、グーグルもマイクロソフトも、検索エンジンの利益を増やすことに成功しました。

このように、色は私たちの行動に影響を与え、売り上げをも左右するのです。

売り値を左右する背景の色

広告業界では、同じ製品であっても、背景を黒にするより白にしたほうが、購買意欲をそそると考えられています。黒・白・グレーといった無彩色は、知覚神経を刺激する色ではありませんが、製品の色が濃く見えるほうが、製品への信頼性が高まるからです。ネットオークションやフリマにおいても、製品の色が濃く見えるように、背景を明るくした方がよいでしょう。

白と黒以外の背景の色の効果を検証した事例として、ゲーム機を使った実験があります。青・赤・グレーの3種類の画面を用意し、同じゲーム機を載せて、色の影響を調べたところ、背景を青にすると、赤にした場合よりも、品質や状態がよく見えることがわかりました。

しかし、売り値を決める要因は、商品に対する信頼性だけではありません。

リユース市場では、定価で売買が成立することもありますが、買い手の競り合いによって価格が決まるオークション(競売)、買い手が売り手に対して価格を下げるように交渉できるサービスに大別されます。

背景を青やグレーにすると、価格の変化はおだやかですが、背景を赤にすると価格の変化が大きくなります。オークションの場合は、売り値が高くなりますが、交渉によって価格が下がるサービスを利用した場合、買い手が執拗に交渉してくるため、売り値が大幅に下がる傾向があります。

このように、背景色は売りやすさや売り値を左右します。しかし、出品する品物の色も重要です。事項では、製品のカラー戦略の基本をご紹介します。

製品のカラー戦略の基本

たくさん売れる黒は、中価格帯と高価格帯に多い色です。

たくさん売れる黒は、中価格帯と高価格帯に多い色です。

ある調査では、購買客の92パーセントが、購入の際に、色は重要な役割を果たすと答えています。個人が行うネットオークションやフリマも同様で、購買意欲を刺激するために、カラーが重要な役割を担っています。

■ブランドの色

エルメスのオレンジ、ティファニーのブルーなど、多くのブランドは、象徴となる独自の色を持っています。ブランド品をオークションやフリマに出品するときも、ブランドの色をきちんと見せることが大切です。

■グレードを示す色
競合する製品が多数ある場合、色はグレードの違いを示すために使われます。鮮やかな色は安価な製品に、中間の価格帯の製品には、白や黒、落ち着いた赤などが用いられます。高価格帯の製品には、品質の高さを示す特別な黒が使われます。

鮮やかな色の中でも、オレンジ、赤、黄緑は、知覚神経を活性化させるため、消費者の購買意欲を刺激します。安価な商品には適していますが、商品に信頼性が求められる場合は、濃い色が確かな品質を示し、製品の重要性を高めます。

■男性に好まれる色、女性に好まれる色
男性の多くは、専門性や効能を求める傾向があります。そのため、男性向けの製品には優れた機能性をストレートに表現するような濃い色が使われます。

しかし、女性は製品の機能性のみにとらわれず、情緒的な側面を重視する傾向があります。女性らしい色、明るく華やかな色、セクシャルな色など、その製品を手に入れることによって得られる、心の満足にふさわしい色が求められるのです。

たくさん売れるのは、黒・白・グレーだけど……

トレンドカラーをリーズナブルに楽しめるようになった今でも、たくさん売れるのは「黒・白・グレー」です。

トレンドカラーをリーズナブルに楽しめるようになった今でも、たくさん売れるのは「黒・白・グレー」です。

消費者の心の満足に訴えかけるもののひとつに、トレンドがあります。プチプラファッションを提供するブランドが増え、トレンドをリーズナブルに楽しめるようになってきました。

その一方で、1980年代以降、たくさん売れるのは黒・白・グレーといった無彩色という状況が続いています。

たくさん売れるのは無彩色ですが、無彩色だけを提供しても、同じような売り上げは期待できません。そのため、ファッションに限らず、インテリアやクルマなど、あらゆる商品にトレンドカラーが取り入れられるようになり、消費者が選択できる色はかつてないほど豊富になっています。

おそらく、皆さんがオークションやフリマに出品するものは、最先端のトレンドではないでしょう。リユース市場では、トレンド以外の魅力を伝えることが、重要になってきます。

トレンドに左右されにくい無彩色は、リユース市場においても売りやすいのですが、購買意欲をそそる色ではありません。売りたいもの、売り方に合わせて、色づかいを工夫することが、売りやすさ、高値での売買につながっていくでしょう。


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