元カレとずるずる関係が続いてしまうのは、ひとりが寂しいから
つきあう気も結婚する気もなかったのに……。元カレとずるずる関係が続いてしまう……。
「私もそうです。いつも友だちに非難されています」
そう言うのは、アパレル関係に勤めるミワコさん(31歳)だ。3年間つきあった彼とは2年前に別れた。彼の浮気が原因だった。それなのに、別れて半年後、彼からの連絡に、のこのこ会いに行ってしまったのだという。
「つきあっていたとき、彼のことは本気で好きだったけど、この人と結婚しても幸せにはなれないと思っていた。だから新しい人生を歩もうと思ったのに、結局別れてからも彼とずっとずるずる続いているんですよね。なんでだろう……つきつめて考えると、ただ寂しかっただけなのかもしれません」
こういう関係は昔からあった、腐れ縁ではないかと思う人もいるだろう。だが、現代の「腐れ縁」は、従来のそれとは違う。従来なら、腐れ縁を続けているうち、お互いに「まあ、いいか」と諦めて結婚していくこともよくあった。どこかで相手を必要としている側面があったのだ。
だが今は違う。ミワコさんに、よりを戻すつもりはない。日を決めてデートもしないし、食事に行くわけでもない。彼の連絡に応えるだけで、自分から会いたいとは言わないし、この先また「つきあう」という状態にもっていこうという願望もない。相手に対して、好意も嫌悪ももっていないのだ。
「それでも彼に会うとどこかほっとしている自分がいる。居心地がいいんですよね。つきあっているときと違って、相手に期待もしていないから裏切られる恐れもない。でも、このままだと新しい恋なんてできないんじゃないかとも思って……」
友人たちには、その「はっきりしない態度」を責められるのだそう。
「よりを戻すチャンスを狙っているとか、暇つぶしに会っているだけとか、気持ちがきちんと定まったまま腐れ縁を楽しんでいるならいいけど、そうじゃないならきちんと別れなさい、と言われています。私自身も、自分がどうしたいかはっきりしない。彼に会うとほっとするものの、一方で、自分の気持ちが削り取られているような気もして……」
自分の気持ちが自分でわからない――そういうこともある。
いつか決断しなければ……そのタイミングは?
どのタイミングで断ち切れるのか
「私は別れてから5年くらいずるずるとつきあっていました。今思えば、彼への強い気持ちがあったわけではなく、ひとりでいるのが寂しかった、怖かっただけのような気がします」
夜中にひとり暮らしの部屋に彼が来ると、拒むことはできなかった。自分から、「今日、来て」とメールすることもあった。お互いに強い愛情があるわけでもない、相手をより深く知りたいわけでもない。それなのに、寂しいから抱き合っていた。
「そんな状態に嫌気がさしてきたころ、友だちに誘われて空手道場に行ったんです。それからすっかり空手にはまった。体だけでなく、気持ちもマッチョになって(笑)、彼から連絡が来たとき、『もうこういう関係はやめよう』と言えたんです。相変わらず恋人はいないけど、空手を通して知り合った友人たちもいますし、ひとりでいることを寂しいと思わず、自分のために使える時間がたくさんあるんだと気持ちを切り替えることができました」
ふと周りを見渡すと、ひとりで元気に楽しく生きている女性はたくさんいると気づいた。
関係を引きずることで、自分の気持ちも前に進めない
「先日も友だちと話したんです。ひょっとしたら別れた男とぐずぐず続けるより、信用できる男と行きずりで一夜の関係をもつほうがマシなのかもしれないね、って。過去の男は、過去の自分を知っているから安心できる側面もあるけど、気持ちも過去にとどまったままになってしまうんですよね。だったら新たな男との一夜のほうが刺激もあるし、その先の展開も考えられる。少なくとも未来に向かっている。そんな気がします」
アサカさんが言う「一夜の関係のほうが……」というのはあくまでたとえ話だが、その気持ちはよくわかる。少なくとも新しい男性と関係をもつことは、彼女が言うように大きな刺激になるのだから。
「体が馴染んだ彼であっても、別れてからはどんどん心が離れていくものなんですよね。つきあっているころとは、やっぱり心のありようが違う。それに気づかないふりをしながらいつまでも関係をもっているのは、やはり自分のためによくないと思います」
寂しいから、つい気心が知れた元彼と……ふっとそんな気持ちに陥ることはあるだろうし、現実に行動に移してしまうこともあるだろう。だが、それを続けていると、「自分を尊重することをないがしろにしてしまう」とアサカさんは言う。どこまでいっても、その彼との関係は別れたところで時間が止まっているのだから。
いつかは決断しなければいけないときがくる。そして、決断するのは「彼と会っていることに違和感を覚えたら、それが本当の別れどき。そのとき強くなることが大事だと思います」とアサカさんはきっぱりと言った。
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