消費者庁が発表した驚きのリリースとは
肌寒くなってくると、さらに気持ちがよいお風呂の時間。しかし入浴中の死亡事故の報告も少なくありません。お風呂を健康に楽しむポイントをしっかり押さえておきましょう
今回の消費者庁からのニュースリリースの結果、入浴に関連する事故について非常に注目が集まり、私たち研究者をはじめ、温泉や入浴に関係する業界では驚きが走りました。詳しく解説します。
年間1万9000人?入浴に関連する事故の実態とは
入浴に関連する事故の実態は、いくつかの調査によって報告されています。 1つは厚生労働省による人口動態調査による報告です。この報告は、人が亡くなった場合の法的な届出によって死因が分類されたものです。これによると家庭の浴槽で溺死したと報告された人が、年間5,000人弱いることがわかります。
一方、救急車が対応した事例から推定された入浴に関連する事故死の数は1万9,000人と言われています。この入浴に関する事故は高齢者に多く、季節性の変化があり特に冬に圧倒的に多いのが特徴です。
その原因は様々な調査からいくつかの病気が指摘されています。 1つは脳梗塞や脳出血といった脳卒中と言われるものです。脳卒中やそれに伴う事故については「血圧が高くなくても、脳卒中になるかも!?」「冬場の入浴時は、脳卒中に注意!」などの記事も合わせてご覧ください。
もう1つ関連があると考えられるのが心筋梗塞などの心臓疾患によるものです。さらに近年は熱中症の関連も指摘されています。いずれにしても、入浴中の事故についてはまだ完全に原因が解明されていないのが実態です。
冬場のお風呂で気を付けるべき5つのこと
お風呂での事故を防ぐために、消費者庁は5つのことを挙げています。これは私たち研究者がこれまでにもずっと世の中に啓蒙していたことと特に変わりはありませんが、再度確認しておきましょう。- 入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
- 湯温は 41 度以下、湯に浸かる時間は 10 分までを目安にしましょう。
- 浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
- アルコールが抜けるまで、また、食後すぐの入浴は控えましょう。
- 入浴する前に同居者に一声掛けて、見回ってもらいましょう。
入浴中の事故予防で5つのことが大事な理由
なぜ上記の5つがが入浴に関連する事故を防ぐことになるのでしょうか? 1つ1つ順を追って簡単に解説します。1. 入浴前に脱衣所や浴室を暖めるべき理由
冬場は気温が低く、脱衣所や浴室がとても寒いことが多いです。その結果、寒い脱衣所で服を脱ぐと急に寒い場所に身をさらすことになり、これが血圧を急上昇させるきっかけとなります。
この血圧の急上昇が脳卒中などを引き起こします。あらかじめ脱衣室のドアを開けて温度を上げておく、湯船のフタを外してお湯を張る、入る前にシャワーで熱めのお湯を出して浴室を暖めるなどの工夫をするとよいでしょう。
2. 湯温は 41 度以下、湯に浸かる時間は 10 分までにすべき理由
冬の間は特にお湯の温度を高くしがちになります。しかし42度を超える高温での入浴は交感神経が刺激され血圧が急上昇します。またあまり長く入りすぎると体温が上がりすぎて熱中症になりかねません。そのため、温度も、入る時間もほどほどにするのがよいのです。
3. 浴槽からの立ち上がり時に注意すべき理由
浴槽から急に立ち上がると、立ちくらみのように目の前が暗くなったことを経験した人も多いでしょう。これは血圧が急に下がったために起こる現象です。湯船から立ち上がると水圧がなくなり血圧も低下します。この時に一時的に意識がなくなり転んで大怪我をすることもあります。
4. 飲酒後や食後直後の入浴を控えるべき理由
お風呂に入ると血圧が下がりますが、アルコールを飲むとさらに血圧が低下します。また食後にすぐお風呂に入ると消化不良につながります。結果として体調不良を起こすことがあるのです。
5. 入浴する前に同居者に一声掛けるべき理由
お風呂で事故や体調不良が起こるのは、必ずしも病気がある人ばかりではありません。元気な人であっても特に高齢者では起こりうる危険があるのです。また症状としては急に意識がなくなると言ったことも多く、他の人に助けを求めることができないのです。そのため同居する人が時々様子を確認することが大切です。
お風呂は安全に入れば健康に非常に良い生活習慣です。冬はこの5つのことに気を付けて安全にお風呂に入りましょう。