購入を検討する物件の現地見学へ行くのは休日の昼間だけ、という人も多いでしょう。時間が自由になる仕事をしている人でないかぎり、それは仕方のないことかもしれません。
しかし、物件によっては朝夕と昼間、平日と休日でまわりの様子が大きく違うこともあります。購入するかどうかを決断する手前の物件なら、できるかぎり条件を変えた複数回で現地「周辺」の見学を試みるようにしましょう。
踏切によって通勤・通学に影響を受ける住宅地も多い
そのうち、ピーク時の1時間に40分以上閉じたままの「開かずの踏切」が589か所、歩道が狭隘な(とても狭い)踏切が645か所(開かずの踏切との重複を除く)、自動車と歩行者のボトルネック踏切が839か所(開かずの踏切との重複を除く)となっています。
その後さまざまな対策が進められているものの、抜本対策が必要とされた1,428か所の踏切のうち、2012年度末までに抜本対策(立体交差化など)が終わったのは130か所(うち開かずの踏切は81か所)にすぎません。
ただし、歩道拡幅やカラー舗装など、速効対策が必要とされた1,234か所の踏切では2012年度末までに1,094か所が実施済みで、「簡易な対策」についてはだいぶ進んだといえるでしょう。
また、2016年4月1日には「踏切道改良促進法等の一部を改正する法律」が施行され、踏切の改良についてスピードアップが図られることになっています。しかし、開かずの踏切については大都市部を中心に依然として手付かずのところも多いようです。
駅に連絡通路や両方向の出入り口などがなく、「開かずの踏切」を渡らなければ改札へ行けないようなところでは、徒歩10分のつもりで購入した住宅が、現実には徒歩1時間近くかかるなどということもあり得ます。
さらに、朝夕のピーク時に道路の渋滞が激しく、「駅までバスで15分のはずが、通勤時間帯には1時間半もかかった」としてトラブルになっていたマンションも以前にありました。
購入を検討する物件の生活圏内に踏切がある場合には、朝夕のラッシュの時間帯に現地へ行き、その様子をじっくりと観察してみることも欠かせません。バス便の物件なら、通勤時間帯の道路状況も確認するようにしましょう。
生活圏内に工場などがある場合は平日と休日の音の違い、近くに物流倉庫などトラックが集まる施設がある場合は平日と休日の通行量の違いなどにも気をつけたいところです。
また、一戸建て住宅や土地の場合は、雨の日あるいは雨が止んだ後に現地見学することで、地盤の問題が分かるケースもあります。
いずれにしても、さまざまな条件のもとで物件やその周辺を確認することにより、物件の良いところも悪いところも判断しやすくなるのです。
>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX
(この記事は2007年4月公開の「不動産百考 vol.10」をもとに再構成したものです)
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