家計の金融資産額1800兆円超え遠のく

家計の貯蓄は減少

家計の貯蓄は減少

日本銀行は2016年9月26日に、四半期に1度公表する資金循環統計を発表しました。

発表によると家計の金融資産残高は2016年6月末現在で1746兆円と、前年同月末から31兆円、1.7%の減少となりました。現象が2四半期連続したのはリーマンショック後の2009年4~6月期以来のことですからアベノミクスが始まって初のことです。

アベノミクスが始まってから家計の金融資産残高は右肩上がりで急増。2015年12月末には1783兆円に達し、16年には初の1800兆円乗せも期待されましたが、1800兆円に乗せるのはどうやら2017年までお預けとなりそうです。

私たちの年金を運用する、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が大幅な損失を出したことが話題になりましたが、家計の金融資産も2015年までの増加傾向から一転して減少に見舞われることになったようです。減少の要因は、GPIF同様に円高や株安が家計を直撃したことです。日経平均株価は一時期1万4000円台まで下落、為替も1米ドル=99円台を付けたことから、株式や投資信託などが大幅に目減りしてしまったようです。

各資産ごとに詳しく見て行くことにしましょう。

株式、投資信託は2桁の減少率

円高・株安の影響が大きいことから、株式から見て行くことにします。

株式は家計の金融資産全体と同じく、2四半期連続して減少しています。2016年1~3月期は対前年比3.7%の減少でしたが、4~6月期は同11.7%と二桁の減少となりました。6月24日(現地23日)に英国の国民投票によりEU離脱派が勝ったことにより、株価が大幅に下落していたことが要因と考えられます。株式の上値が重いことから、足元の7~9月期も減少となり3期連続もあり得ないことではありません。増加に転じたとしても増加率は低いものに留まるはずです。

株式より減少率が大きいのが投資信託です。投資信託は株安のほか、円高が海外資産で運用される投資信託の基準価額を引き下げたからです。投資信託も2期連続の減少、減少率は対前年比16.6%とかなり高くなっています。株式程ではないにしろ、16年1~3月期の減少率が8.2%ですから、倍増していることになります。

為替は円安への反発力が弱いことから、投資信託は株式以上に3期連続減少となる可能性が高いといえそうです。

債務証券(債券)はアベノミクス始まってから初の増加に

アベノミクスが始まってから減少が続いていた債務証券(債券)はようやく対前年比増加に転じています。マイナス金利が決定された以降、長期金利の大幅低下により債券価格は上昇。メガバンクを始めとする大手銀行の定期預金金利が全期間0.01%まで低下したことにより、最低金利0.05%が保証されている個人向け国債が相対的に魅力的になっていることなどがその背景と考えられます。

とはいえ現金・預金は、マイナス金利政策で史上最低水準の金利に低下しているにもかかわらず、対前年比1.2%の増加となっています。増加率は鈍化傾向にありますが、残高は着実に積み上がりその残高は920兆円まで膨らんでいます。

順調に残高を増やしてきたものに保険をあげることができますが、保険の増加率は対前年比0.5%の増加まで鈍化しています。0.5%という増加率はやはりアベノミクス始まって以来最も低い数値です。マイナス金利政策の影響により、一時払い終身保険などが販売中止となったことがその要因かもしれません。

マイナス金利の深堀こそ行われていませんが、日銀の金融政策により家計の金融資産残高も影響を受けていることが感じられます。政策次第では、ますます安全性を重視して現金・預金が積み上げがる気がしてなりません。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。