色が与える心理的効果で、スタイルアップを叶える!
スタイルアップを叶える色彩心理と視覚効果
秋から冬のおしゃれは、ウールやニットなど厚手の素材を重ね着するため、ふくよかに見えてしまいがち。厚着になる秋冬だからこそ、色が与える心理的効果、図柄による視覚効果を上手に活用すると、スタイルよく見せることができます。今回は、体型のコンプレックスをカムフラージュするポイントをご紹介します。
明るい暖色系は、太って見える
大きさもデザインも同じニットを比較してみましょう。ダークネイビーに比べると、シェルベージュのほうが膨張して見えます。このように、色によって大きく見えたり、小さく見える「大きさの知覚」の現象のことを、「膨張色」「収縮色」と呼びます。膨張色と収縮色は、主に明度に関係があり、一般に明るい色のほうが暗い色より大きく見えます。
暗い寒色系は、控えめに見える
次は、暗い色同士を比較してみましょう。ダークネイビー(寒色系)よりも、ラストブラウン(暖色系)の方が膨張して見えます。膨張色と収縮色は、進出色と後退色にも対応しています。形や大きさが同じでも、色が異なると、近づいたり、後退したりして見えます。このように、「見かけの距離(奥行き)」が変化して見えることを、「進出色」「後退色」と呼びます。
シェルベージュやラストブラウンよりも、ダークネイビーのほうが後方にあるように見えます。控えめな印象を与えたいときは、暗い寒色系が効果的です。
暗い色は、重く固い印象を与える
大きさもデザインも同じバッグを比較してみましょう。セージグリーンとブラック、色が違うだけですが、ブラックのほうが小さく、奥にあるように見えます。そして、重く固い印象を受けるのではないでしょうか。
このように、見た目の重さや固さは、明度が関係しています。一般に、明るい色は軽く柔らかい印象を与え、暗い色は重く固く感じられます。バッグを持ったときの感じ方も変わってくるので、荷物を軽くしたい人は、明るい色のバッグにすると効果的です。
また、見た目の重さや固さは、服も同様です。引き締まって見えるという理由から、白など明るい色は敬遠され、黒など暗い色が好まれる傾向がありますが、見た目の重さや固さは、女性らしい印象を損なうこともあります。
鮮やかな暖色系は、見る人の注意を引きつける
次は、アイスグレーとレッドを比較してみましょう。レッドは派手で、見る人の注意を引きつけます。派手とか地味といった印象は、彩度と明度が関係しています。一般に、鮮やかで明るい色は派手に、鈍く暗い色は地味に感じられます。
さらに、色の見え方は、面積の大小によっても異なります。小さな面積より大きな面積のほうが、明るく、より鮮やかに感じられます。反対に、暗く感じる色は、面積が大きくなると、いっそう暗く感じます。このように、面積の大小によって明度や彩度に変化を感じることを、「色の面積効果」と呼びます。
派手な色は、バッグなど小物の方が取り入れやすいのは、色の面積効果も要因のひとつです。
また、派手な色の中でも暖色系は、人の注意を引きつけ、見なければならない気持ちにさせます。このような色の効果を「誘目性」と呼びます。ただし、誘目性は背景との配色が重要で、例えば、赤いワンピースに赤いバッグを持っても、赤いバッグは目立ちません。
このような現象を「色の視認性」と呼びます。視認性は、背景との明度差、彩度差、色相差を大きくすると高まります。赤いバッグの誘目性を生かすには、ワンピースの色を白や黒にして視認性を高めると効果的です。
縦のラインをつくれば細く見える!?
一般に、ボーダー(横縞)は横幅を強調するので太く見える、ストライプ(縦縞)は縦の長さを強調するので細く見えると言われます。しかし、縦のラインを強調するストライプ柄も、選び方を間違えると太く見えることもあります。
大きさもデザインも同じシャツを比較してみましょう。パープルよりもオフホワイトのほうが明るいので、膨張して見えると思われがちですが、オフホワイトのほうが細く見えます。ストライプだからといって、細く見えるとは限らないのです。
細めのストライプのほうが、細く見える!?
次は、太めのストライプと細めのストライプを比較しましょう。パープル(中性色)とブルー(寒色系)の違いもありますが、細いストライプのほうが細く見えます。
一般に、細いストライプのほうが細く見えますが、体型と合うかどうかが重要です。太めで大柄な人は、太めのストライプを選んだほうが細く見えることもあります。
派手になりすぎないトラッドな赤チェック
2016年秋冬シーズンは、チェック柄が人気。縦縞と横縞が交互に交差することでつくりだされる格子は、横幅と縦の長さを強調します。
同じデザインのスカートを比較してみましょう。無地のグレーは、プリーツのステッチが目立つので、ウエストまわりがすっきりして見えます。一方、赤チェックのほうは、ステッチより横縞が目立ち、太く見えます。しかし、クラシックな柄のイメージによって、赤でも派手すぎず、着こなしやすいのではないでしょうか。
マニッシュなモノトーン系チェック
次は、黒と白のはっきりとした色づかいのチェックと、穏やかなグラデーションを描くグレー系のチェックを比較しましょう。コントラストの強いチェックのほうが、大きく、もったり見えるのではないでしょうか。
直線的なチェック柄は、カーヴィーな女性のボディラインを包み込むので、マニッシュ、ダンディといった男性的なイメージづくりには適しています。しかし、チェック柄を斜めに、バイアス仕立てにすると、布地に自然な落ち感が生まれ、曲線的なボディラインに沿ってドレープを描きます。フェミニンなスタイリングには、後者のほうが適しています。
今回は4つのアイテムを例に、色彩心理の基本と図柄の視覚効果をご紹介しました。色の三属性(色相・明度・彩度)や図柄によって、ある程度傾向はありますが、服の素材やデザイン、着用したときのサイズ感などによって、見え方や印象は違ってきます。今回ご紹介した基本ルールを参考に、試着の際に効果を確認することが、スタイルアップを叶える早道となるでしょう。
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