仕事一筋の女性「ノンママ」とは?
最近、「ノンママ」という言葉が少し話題になっています。ノンママというのはママの否定形ということで、「子を持たない女性」という意味ですが、世間では、「仕事一筋で結婚や出産の選択をしなかった女性」というイメージが広がっているようです。
少し前になりますが、バツイチ“子無し”の独身女性管理職をアラフィフ女優の鈴木保奈美さんが熱演した、『ノンママ白書』(東海テレビ、土曜11時~/2018年現在は放送終了)というドラマもありました。そのイントロデュースにはこのように書かれています。
男女雇用機会均等法が施行されたばかりの1989年入社組、つまりコキン法第一世代。(中略)
国や世論からも背中を押され社会に飛び込んだものの、長い歴史ある男性社会の中で、冷たい目や理不尽な仕打ちに耐えながら、一生懸命泳いできた。(中略)
――結果、子どもは産んでいない。なぜなら、当時は仕事も出産も両方選べる時代では無く、仕事か出産か二者択一の時代だったからだ。
出典:ノンママ白書<東海テレビ>
確かにそれはこの世代の女性が背負ってきたものではありますが、結果的に、女性の専門家や管理職が多数活躍されているのですから、今後も「仕事人」としての女性は、欠かせない存在であることは間違いありません。
一方で、ノンママだからこその悩みや葛藤もあるようです。
結婚相談所を経営するガイドが実際に相談を受けた内容をもとに、ドラマさながらの「ノンママの真実」をお伝えしたいと思います。
ノンママのライバルはワーママ?
同じ苦労を分かち合えるはずの女性たちの悲しい対立構造
そんな人が、このままでは鬱になりそうとも言うので、ますます心配になり話を聞いてみました。
実は、Aさんの職場に同期のBさんが異動してきたのですが、彼女は既婚で2人の子どもがいるいわゆる「ワーママ」でした。産休と育休の後で復帰して、出世街道まっしぐらで頑張ってきた人だったのです。
上昇志向の強いBさんは、異動後も出世を狙っているので、Aさんに対して「部長の椅子を狙っている」とも宣言したのです。
もともとAさんは仕事ができ、気配りもでき、独身ならではストイックでさばけた雰囲気もあって、それまで社内の雰囲気は、仕事を頑張ってきた彼女に好意的だったと言います。
でも、それが一変してしまったのです。
「Bさんは、子どもがいても仕事を頑張ってるなんて偉いね!」
「夫も子どもも仕事も持っているBさんは、ステキ!」
そんな理由で、Bさんへの応援ムードが高まっていることを、Aさんはひしひしと感じるようになったそうです。
仕事だけのノンママには「バランス感覚がない」という世論も
Bさんには家庭も、仕事も、夫も子どもいる――ワ―ママと持っているものを比較されてしまう
でも、その分、仕事に集中できるというのがAさんの強みでもあったのですが、Bさんの登場によって、「夫も子供もいなくて仕事しかない女なんて、バランスが悪いよね」という論調になり、もちろん声に出して言うわけではないのですが、「上に立つ人は、バランスが良くなくてはダメだ」「じゃあ、部長職はやっぱりBさんかな……?」と、Aさんには聞こえてしまうのです。
仕事にすべてをささげ、本当に一生懸命頑張ってきて、やっとあの部長席に手が届くかと思っていたのに……。
仕事と子育てとの両立は大変だったと思うけれど、自分だってたくさんのことを犠牲にしてきた。
みんなが休みたいときには自分が率先して仕事をしてきたし、家族が待っている人の仕事を手伝ったこともある。
それなのに、こんな仕打ちは悲しすぎる……これがAさんの心の叫びです。
ワーママのためにノンママが「諦める」必要はない
ガイドの私も、20代で結婚し、その後、20~30代まで会社勤めをしていたので様々な批判にさらされました。「子どもがいるのに働くなんてよっぽど生活に困っているのね!」
「あの人に夫がいるなんて嘘なんじゃない? 結婚しているのに、こんなに遅くまで仕事しているなんておかしいわよ」
「じゃあ、家族がいるのも嘘よ!」
「夕飯も作れない時間に帰って、子供がいるのも嘘よ。いたとしたら子供がかわいそう!」
などと言われたものです。
面と向かって、
「私の仕事を取らないでください!」
と言われたこともありました。でも、私は外野の声を気にすることなく仕事をしてきました。
そして最短で会社のマネージャーになり、独立し、女性経営者として自分で結婚相談所を経営するまでになりました。
だから、私はAさんに言いました。
「部長になりたい、出世したいなら諦めるな」と。
頑張ってきたのはノンママもワーママも一緒です。でも、会社により多く貢献してきたのは自分だと言い切れるのあれば、会社は最終的に実力で判断するから、胸をはって堂々としていればいいと伝えました。管理職としてのバランスは、ノンママにだって備わっているはずです。
彼女に言った「諦めるな」という言葉は、仕事だけでなく、恋愛のことも含んでいました。つまり、管理職や仕事人としてのバランス云々という話ではなく、「心の平穏」のため、という意味です。
実際、落ち着きを取り戻したAさんの気持ちは、少しずつ「結婚」に向かっているようでした。私に相談を持ちかけたのですから、きっと仕事だけではなく、「結婚」のアドバイスがほしかったのだと思います。
会社のことや将来のことを話せる、パートナーがいると、その人の魅力が増大されます。それが管理職になったときでも活かされてくるのではないでしょうか?