突然死に至ることも…朝に発症しやすい病気とは

朝

朝に発症する病気があります。命にかかわることも

朝に発症しやすい病気として、心筋梗塞、脳卒中、不整脈などが挙げられます。これらはいずれも突然死につながることもある怖い病気です。これらの病気が朝に起きやすいのは、朝、自律神経が大きく変動することで、血管の状態が変化するためと考えられています。

朝になると一般的に血圧は上昇します。心臓への栄養血管である冠動脈の内腔は狭くなり、様々なホルモンが産生されます。血液凝固に関わる因子も変動し、血の塊である血栓も作られやすくなります。結果として、朝は高血圧による脳出血やくも膜下出血、血栓による心筋梗塞や脳梗塞、ホルモン異常による不整脈が起こりやすい時間帯になってしまうのです。

例として、2001年に阪神地区における急性心筋梗塞の患者の研究からされた報告によると、心筋梗塞の発症時間帯は、朝と夜の2つの時間帯にピークがみられました。朝の発症者には女性および65歳以上の高齢者が多く、夜の発症者には男性および65歳未満の人、飲酒者、喫煙者および就業者が多い傾向がみられました。夜に死亡リスクが上がる原因は、血圧等の変化だけでなく、アルコール、タバコ、労働などの影響があるのではないかと考えられています。(Kinjo K 他 Jpn Circ J. 2001; 65: 617-620.)。

また、気温の変動や自律神経の変動は呼吸にも影響します。そのため気管支喘息がある場合は、明け方に喘息発作が起こりやすくなる傾向があります。

自律神経はなぜ朝変動するのか

自律神経には、起きているときに活動する交感神経、リラックスしているときに活動する副交感神経の2種類があります。1日を通じて、朝、昼、夕、夜と一方が優位になっては、時間ととともに他方が優位になるリズムがあります。大雑把にみると、起きているときは交感神経優位、寝ているときは副交感神経優位です。早朝の起床時はちょうど、副交感神経優位から交感神経優位に変わる時間になることがイメージできると思います。

2つの自律神経の変動は「日内変動」といわれ、1日の活動に必要なタンパク質やホルモンなどが作られることにも関わります。作られたタンパク質やホルモンは体内で細胞と細胞、臓器と臓器の連絡に関与し、自律神経にも作用します。無意識のうちに起こっている「日内変動」ですが、これをコントロールしているのが「体内時計」です。

体内時計の乱れを整えることが健康につながる?

一般的にも馴染みのある「体内時計」は、実は遺伝子によって制御されています。遺伝子によって作られるタンパク質が細胞同士の連絡に使われ、「日内変動」を起こしているのです。そのため、遺伝子の異常がある場合、体内時計が正しく働かなくなってしまうこともあります。

一方、私たちがある程度コントロールできる「環境」も、体内時計に影響を与えます。「規則正しい生活が大切」とよく言われますが、最も関係があるものが睡眠です。体内時計は、光の影響を受け、2500ルクス以上の光によってヒトの体内時計はリセットされます。脳にあり眠気を起こすメラトニンというホルモンは、網膜に強い光を浴びることで産生が抑えられ、メラトニンが低下すると眠気が取れます。そして、光を浴びてから14~16時間後に再びメラトニンが増えることで眠気が生じるわけです。詳しくは「明日の元気につながる“睡眠力”の磨き方」をご覧ください。毎日なるべくリズムを崩さずに睡眠をとり、朝目覚めて光を浴びるようにすることで、体内時計が整い、結果的に日内変動も正常に整えることができるのです。

自律神経のバランスが悪いと体内変動も乱れる

寒い朝

寒い時期の早朝は要注意です

自律神経の副交感神経から交感神経へのスムーズな橋渡しができないと、血圧が上昇したり、血栓が作られるようになり、心筋梗塞になるリスクがあがります。特に、休日のリラックスした状態から緊張感をもって仕事が始まる月曜日には、橋渡しが悪くなるためか、週全体で見ても心筋梗塞が起こりやすい傾向があると報告されています。これに冬や春の寒さや、気圧の変動、風の強い不安定な天気などが加わった場合、さらにリスクがあがるようです。

関連情報として「天気が悪くなると症状が悪化する「気象病」ってなに?」も合わせてご覧ください。

命に関わる突然死リスクを抑えるために

「魔の月曜日」を含めて朝に起きやすい心筋梗塞などを防ぐためには、自律神経のバランスを整える生活が大切です。

朝の自律神経の変調をできるだけ小さくする理想的な方法は、自然光による起床で、ゆっくりと起きることで血圧の急な上昇が防ぐことが有効です。余裕をもって起きて、しっかりと朝食を取りましょう。心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などを防ぐために、普段から高血圧や動脈を硬化を防ぎ、食事は、塩分を1日6g未満にして、酸化された脂質を減らしておきたいものです。

そしてできれば午後にかけて運動をして、心機能を高めておく習慣が作れるとベストです。散歩などの運動は筋力維持と骨を丈夫にする効果があり、転倒しにくくなり、骨折予防にもなります。

厚生労働省の健康日本21では、1日当たり1500歩(歩行距離にして1km、消費カロリーは100kcal)増加していき、1週間で3000~3500kcalを消費する運動が望ましいとされています。できれば、継続的な運動が大切になります。

帰宅時には、エレベーターやエスカレーターを使用せず、電車なら出口に遠い車両に乗ることで歩く距離が長くなります。

タバコは心血管系の病気及び呼吸器系の病気の危険因子ですから、もともと喫煙しないか、喫煙していたら、禁煙が望ましいです。アルコールは、高血圧、脂質異常、脳出血、乳がんに関しては消費量とともにリスクが上昇します。肝硬変はある程度の量が増えるとリスクが増えますので、適度な量、または飲みすぎない方がよさそうです。

自律神経などの日内変動や体内時計は、自分の意志でコントロールできるものではありませんが、その特性と変動の特徴を知ったうえで、上手につきあっていける身体づくりをしていきましょう。
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