年金

将来の準備は大丈夫? 介護費用と年金の意外な関係(3ページ目)

平均寿命が延びるなか、自分や自分の親が、介護を必要とするときがやってくるかもしれません。そのとき、介護費用はどの位かかるのかなどを見ていくと、実際にその費用を賄っているのが年金収入であるという人が多くなっています。一生涯、受け取れる年金収入は介護費用に備えるためにも必要となる収入源となるわけです。今回は、介護費用の観点から年金について見ていきましょう。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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介護費用はどのくらいかかるのか

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介護費用への備えはどうする?

介護費用はどのくらいかかるかということについては、在宅介護なのか施設介護なのか、また、どういったサービス(又は施設)を利用するのか、公的介護保険で適用されない費用がどのくらいかかるのか、といった要素によって異なりますので、人によって様々です。

ある調査によると、介護保険利用者の介護保険サービスにかかる1か月の費用(介護保険制度における居宅介護サービスや施設介護サービスの利用料の他、各種の加算、支給限度額を超えた場合の自己負担分などを含む)の平均金額は約4万円となっています。これはもちろん要介護度等によっても金額が異なり、要介護度が重い人ほど金額が高くなります(2011年11月第一生命経済研究所「正社員に聞いた親の介護に関するアンケート」より)。

この金額に介護保険以外の費用のうち、多くの人が負担している医療費や介護用品などの平均費用を加えると、1か月にかかる費用は合計で月約7万円という調査結果となっています。
 

介護費用と年金の関係

それらの介護にかかる費用をどのような資金でまかなっているかという調査については、「要介護者(もしくはその配偶者)の公的年金」が約8割で圧倒的に多く、次に「介護者(子もしくはその配偶者等)の就労による収入」が約3割、「要介護者(もしくはその配偶者)の預貯金、有価証券など」が約2割となっています(前出アンケートより)。

さらに、介護費用を考える場合に想定しておかなければならないのは、自宅の増改築や介護用品の購入などにかかる初期の一時的な支出と、介護期間が長期に及んだ場合の負担増の可能性です。長期間の負担が必要となることを想定すると、介護費用にはまとまった資金準備が必要な可能性があります。

また、現在、介護保険が適用される介護施設は、待機者が多く、要介護度や自宅で介護できる家族の状況等により優先順位が決定されるため、なかなか入居することができない状況にあります。特別養護老人ホームなどに入居ができず、有料老人ホームを選択する場合には、施設により自己負担に大きく差があります。一般的に特別養護老人ホームなどよりは月々の負担が大きくなるだけでなく、入居時に一時金の負担が必要となる場合があります。
 

老後への備えを考える

高齢化が急速に進み、平均寿命が延びる中、介護が必要な期間は長期化する傾向があります。現在では介護にかかる費用については、公的年金を中心にその他預貯金等でまかなっている人が多いという調査結果に見るとおり、自分の老後にかかる費用については介護状態となった場合も想定して自分で備えるということも今後ますます必要となってくるでしょう。

特に自営業者やフリーランスの人は、公的年金からの給付が国民年金のみになります。今年度の価格でいえば、満額で月約6.5万円、夫婦でみても月約13万円程度です。1か月にかかる介護費用は平均で月約7万円という調査結果もありましたので、国民年金のみでは介護費用も余裕をもってカバーすることは難しいといえます。

そういった意味からも、公的年金の「上乗せ年金」をあらかじめ早めに準備しておくことが必要です。特に、自営業者やフリーランスの場合は、国民年金の上乗せ年金の準備が重要になります。その際、考慮すべきことは、まずは会社員や公務員の厚生年金の代わりになりうるものから検討することです。つまり、将来の給付が確定している終身の年金で、かつ、公的年金に近い税制等の優遇措置があるものがよいと言えます。例えば、国民年金基金の活用などをまずは検討してみるとよいでしょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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