“本場の常識”や“ブランドの個性”を。選択肢は広がっている

ミニ ワン

コンセプトやエッセンスをクラシックミニから引き継ぎつつ、現代のニーズに対応したMINI。オープンやクロスオーバーなど、多彩なモデルをラインナップする。300万円未満なら3ドアのワンやクーパー、クラブマンのワンなどが選択可能


輸入車が安くなってきた。というよりも、海外メーカーが以前にも増して、グローバルカーとしての魅力的なコンパクトセグメントに力を入れているという事実と、それらを積極的に輸入しようというインポーターの姿勢、そして、国産車のハイブリッド化による相対的な価格上昇、あたりが背景になって、以前よりもガイシャが安くみえているのだと思う。

たとえば、300万円未満、国産車でいえば、人気ナンバー1のアクアから、プリウスの下級グレード、人気のコンパクト&ディーゼルSUVであるマツダCX-3あたり、の予算で買える輸入車を見てみると、フィアット500や同パンダ、ミニ、VWポロといった従来からの低価格帯常連組に加えて、充実のフランス勢やコンパクトプレミアムのアウディA1など、選択肢は大いに広がっている。

実は筆者も今年のはじめ、京都での日常使いのためにこのカテゴリーを吟味したことがあった。“3ペダルMTで荷物がある程度積め横幅がさほど広くなくそれでいて乗って楽しい”モデル、という、いささかわがままで厳しい条件に見合ったモデルはフィアットパンダかミニ、というのが結論だった。結局、イタリア好きのわが奥様の意見を尊重し、もちろん総コストも含めて自分の評価も良好だったので、パンダの4WDを購入するに至ったわけだが、なにぶん一般的なクルマ選びとは言いづらい。

以前ほど、良い意味で、フィアットはイタリア車くさくなく、フランス勢も決してパリっぽくなくなった、けれども、基本的にこのクラスのコンパクトモデルは現地では庶民向けの実用車であるがゆえに、装備や走りのキャラクターの点で、“本場の常識”や“ブランドの個性”が、(国産車とは違って)そのまま残されていることも多い。

イタリアやフランスが大好き! で、彼ら都市生活者のライフスタイルを後追いしてみたい、という人なら、フィアットやルノー、プジョーのベーシックモデルを試してみれば、ちょっとした異文化体験にもなって、それはそれで面白いことだと思う。

300万円未満で“ガイシャ”を味わうなら

アウディA1

コンパクトハッチらしからぬ高いクオリティや運動性能をもつアウディA1。亜シングルフレームグリルなどのアイコンも踏襲。1Lターボ積む、3ドア(249万~265万円)と5ドアのスポーツバック(269万~285万円)が選べる


いや、そこまで変わってなくてもいいのだけれど、それなりにガイシャ気分が味わえて、国産車にはない魅力をきらきら振りまけるモデルに乗ってみたい、というなら、オススメは、ミニかアウディA1に絞られる。

この2台、プレミアムなコンパクトという点では同じ方向を向いているが、その表現方法はまるで異なっている。

ミニは独自のブランド性を打ち出しており、スタイリングや走りにユニークさをもたせた上で、豊富なオプションや仕様を組み合わせることで、オーナー自身がその色合いを変幻自在に変えることができるという、他にはない強みをもつ。ミニが、いわゆるクルマ界のヒエラルキー(上下関係)とは無縁、と言われる所以だ。

一方のA1はというと、仕上げや走りのクオリティの高さはコンパクトカー随一で、さすがにこのクラス唯一の“ジャーマンプレミアム”だけのことはある。走りの上質さという点で、VWポロも捨て難いが、やっぱりちょっと見映えが素っ気ない。ガイシャらしさ、という点でも、A1という選択肢は未だに強力だ。

DS3

個性的でスタイリッシュな内外装をもつDSの3ドアハッチバックがDS3。1.2Lを積むシック(260.1万円)と1.6Lターボのスポーツシック(299.6万円)をラインナップする


A1よりもっと個性を、となると、シトロエンのDS3がいいだろう。これはもう、誰がどうみても“外国のクルマ”で、オシャレですよね、と言われる確率は、今やミニやアウディよりも高い。

ルノーキャプチャー

ルノーの新デザイン戦略を採用したスタイリッシュなコンパクトクロスオーバー、キャプチャー。1.2Lターボを搭載、エントリーのゼン(256.9万円)と2トーンボディカラーなどを用意するインテンス(267.2万円)を用意した


ハッチバックが昔からどうも苦手で、という向きには、流行のコンパクトSUVセグメントに属し、なかでも最も小さなクラスにおいて評価の高い、ルノーキャプチャーをオススメしたい。同門の定番モデル・カングーの走りは“もっといい”し、リセールバリューも高い、が、なにぶん、運搬ワゴン車丸出しのルックスだ。それをオシャレと理解できるセンスの持ち主以外、つまり一般的には、キャプチャーのほうを推しておく。