色が与える生理的かつ心理的影響とは?
色は、私たちの行動に強い影響を及ぼす力を持っており、その影響は、科学的に証明されています。例えば、赤は脈を速くし、動脈張力を強め、呼吸頻度を上げ、脳波のなかのアルファ波を減少させることが、数々の臨床実験によって確認されています。こうした生理的な影響は、目を閉じていても感じられますが、視覚によって引き起こされる心理的な影響も、さまざまな実験を通して科学的に証明されています。
例えば、赤など暖色系の部屋では、青など寒色系の部屋に比べると、知覚される室温は、3~4度高くなり、時間が過ぎるのが速く感じられます。私たちは無意識に、暖色系の部屋ではエアコンの設定温度を下げ、寒色系の部屋ではエアコンの設定温度を上げます。
色の力は、過小評価されている!?
こうした科学的研究の成果は、デザインやマーケティングなど、さまざまな領域で活用されるようになってきています。しかし、衣服に関しても、住まいに関しても、鮮やかな色が流行した時代に比べると、色は目立たなくなっています。そこで今回は、フランスを代表するカラースペシャリスト、ジャン=ガブリエル・コース氏にお話をお伺いしました。
<ジャン=ガブリエル・コース Jean-Gabriel CAUSSE>
1969年フランス南部の都市ロデズ生まれ。エコール・シュペリュール・ド・ピュブリシテで広告、コミュニケーション、マーケティングを学ぶ。卒業後、大手広告代理店で広告クリエーターとして活躍。2007年、カラーコンセプトを提唱するブルーブレッツェル社を設立。2009年から日本のオンワード樫山のクリエイティブ・ディレクターとして、新しい価値やライフスタイルの創造を提案している。