大人の女性へと成長した主人公アリスを演じるミア・ワシコウスカはじめ、マッドハッタ―のジョニー・デップら豪華キャスト陣が再集結。本作では、アン・ハサウェイ演じる「白の女王」、ヘレナ・ボナム=カーター演じる「赤の女王」の幼少期の驚くべき「秘密」が明らかになります。
絢爛たる映像美と独自の世界観
物語の舞台となるワンダーランドは、チェシャ猫、白うさぎ、双子のトウィードルダムとトウィードルディー、賢者の芋虫アブソレムといった個性豊かなキャラクターたちが住まう世界。前作と同じように、原作の挿絵画家ジョン・テニエルの作品に見られるヴィクトリア朝的でクレイジーな要素を組み込みながら、ビビッドな色づかいで表現しています。本作の華麗な衣装を手がけたのは、『アリス・イン・ワンダーランド』で3度目のアカデミー賞衣裳デザイン賞に輝いたコリーン・アトウッド。主人公アリスは、現実の世界では船長として、パンツとジャケットを着用していますが、再びワンダーランドへと誘われる場面では、中国の皇帝から授けられたというエキゾチックな極彩色のドレスを身につけています。
アリスの心の中を象徴する「白」と「赤」の対比
ワンダーランドは、アリスの心の中を映し出した世界。ワンダーランドでの冒険を通して、アリスは成長し、現実の世界へと戻っていきます。ワンダーランドを象徴するのは、賢君「白の女王」と暴君「赤の女王」です。一般に、白は黒と対になり、白は正義や正しさといったポジティブな意味を担います。しかし、本作では、激しやすく感情的な意味を持つ赤と白が対になっています。アリスにとっては、「赤の女王」も「白の女王」も雲の上の存在ですが、アリスの中では何か引っかかるところがあるようです。暴君と賢君と比較され、互いに女王の座を狙っているので、姉妹とはいえ、険悪な仲。「赤の女王」イラスベスは、巨大な頭を持ち、残忍で、感情を抑えられず、「首をはねよ!」が口癖。妹である「白の女王」に激しい嫉妬心を燃やします。
一方の「白の女王」は、美しく誰にでも優しく、皆からも愛されていますが、どこか暗かったり、本当は何を考えているのかわからなかったり、うだつがあがらない側面もあります。
アン・ハサウェイ演じる「白の女王」の魅力
本作で、心優しい「白の女王」ミラーナを演じるのは、『レ・ミゼラブル』(2012)でアカデミー賞助演女優賞を受賞したアン・ハサウェイ。圧倒的な演技が賞賛される一方で、「わざとらしさが嫌」「演技がかっている」など、優等生なイメージが嫌悪され、激しいバッシングを受けたこともありました。しかし、『ダークナイト ライジング』(2012)では、黒いボンテージに身を包んだキャットウーマン、『マイ・インターン』(2015)では、ニューヨークでファッション通販サイトを運営する女社長など、さまざまな女性像を演じ、プライベートでは第一子を出産するなど、公私ともに充実し、ますます魅力が増しています。全てをハッピーに見せる善き女王のように見えて、実は複雑な心を抑えている「白の女王」。白は、神聖、純粋、清潔など、悪いイメージはほとんどありませんが、空白、冷たさ、無機質など、ネガティブな一面も持ち合わせています。本作の「白の女王」も、完璧な存在ではなく、ダークな心の内が垣間見えることがあります。
「白の女王」に学ぶ、大人の白の着こなし
白はファッションの定番色のひとつ。特に白いドレスは、写真撮影に用いられるレフ板のようにお顔を明るく照らし、女性の美しさをより一層輝かせてくれます。その一方で、白が放つ光によって、表情が単調に見えたり、隠したい内面が露わになってしまうことも。白は、年齢を重ねるにつれて、着こなすのが難しくなってしまう色でもあります。「白の女王」のドレスは、さまざまな素材を重ねたデザインの効果で、ピュアでクリーンなウェディングドレスとは一線を画しています。さらに、ヘアメイクで女王という立場にふさわしい「光」や「輝き」を表現すると同時に、「影」や「闇」を暗示しているようです。
白といっても、ピュアホワイト、アイボリーホワイトなど、白のバリーエションはさまざま。ご自分に似合う色・素材を吟味することが、より一層大切になってくるでしょう。
アン・ハサウェイ演じる「白の女王」は、大人の女性にふさわしい、奥行きのある白の魅力に気づかせてくれるのではないでしょうか。
【作品情報】
『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』
URL:http://www.disney.co.jp/movie/alice-time.html
公開日:2016年7月1日(金)
製作:ティム・バートン
監督:ジェームズ・ボビン
出演:ジョニー・デップ、アン・ハサウェイ、ミア・ワシコウスカ、ヘレナ・ボナム=カーターほか
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
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