子供の名付けで、郎という漢字にはどういう意味があるのか?
Q: 「郎」という字には伸びるという意味があるそうですが、どういう背景でその意味につながるのですか?郎の字にはどんな意味があるのか?
A: 「郎」の字の左側の「良」の字は成り立ちがわかっておらず、謎なのですが、最古の字は細長いフルイを描いた絵にもみえ、そこから「長い」の意味を生じたものと思われます。右側のオオザトは範囲をあらわす記号と、人がすわる姿を描き、場所や範囲をあらわします。
そのような組み合わせから郎の字が「長く伸びる」という意味をもち、廊(長い通路)、螂(腕の長いカマキリ)、榔(幹の長いヤシ)などの字も作られました。
郎の字がスマートで洗練されたイメージをあらわす
「良」の字は長方形のフルイに物を入れて洗うことから、「長い」「まざる」「ぶつかる」「きれいにする」などさまざまな意味をもち、そして単独では「質がいい」という意味でも使われてきました。そこから浪(ぶつかる波)、踉(足がぶつかってよろめく)、琅(きれいな宝石)、娘(きれいな女性)、狼(群れをなすオオカミ)の字も作られています。
郎はとくに名前によく使われる字で、昔から男性の名の最後につけるのがなかば習慣、常識のようになって定着してきました。ただしなぜそうなったのかは、明確なことはわかりません。
良の字に「長い」「きれい」の意味があるため、郎の字がスマートで洗練されたイメージをあらわすのに使われたことも考えられます。今でも太郎、太一、一朗などの2文字の名前はもちろんですが、男の子の3字名前は、圧倒的に「スケ」か「ロウ」で終わる名前ですから、郎の字の使用頻度は衰える気配はありません。
郎と朗のどちらの漢字を使うべきか?
ところでロウという字を名前の最後につけたいとき、「郎と朗のどちらにしようか迷っています」と言われる方もよくいます。朗の字は、良(きれい)と月を合わせ、澄んだ明るい月を意味する字です。もちろん郎と朗は字の意味が違うだけで、字そのものの優劣はありません。ですから名付けの際は親の好みで選んでいただけばよいことです。
ただし一般社会では、「〇タロウ」という名前を聞いた瞬間に「〇太郎」と書いてしまう人が多く、「郎と朗のどちらですか?」とはなかなか聞いてくれません。ですから朗の字を名前に使えば、他人から郎の字を書かれてしまうことが多い、ということは覚悟しておいたほうがいいでしょう。
ただし、野球のイチローこと、鈴木一朗選手が有名になってからは、イチロウという名前をつけたいという方の多くは、一朗の字を希望します。ですから、イチロウという名前に限っては、他の人も「イチロー選手の一朗ですか?」と聞いてくれるかもしれませんね。