切手ブームの時代から半世紀
前回の記事では南極の郵便についてお伝えしましたが、今回は記念特殊切手の価格についてです。現在、郵便局では毎週のように記念切手が発行されていますが、今から半世紀前の切手ブームの時のような値上がりは期待できません。しかしそんな中ですが、様々な要因で値上がりしている記念特殊切手があるのも事実です。発売地域限定の切手が狙い目!
2000年以降に発行された記念特殊切手の中で特に値段が高くなった切手として有名なのは、「愛知万博寄付金付き切手」でしょう。愛知万博の開催のために発行された寄付金付き切手で、全国版1種とパビリオン版9種で発行されましたが、高いのは愛知万博の三井・東芝館、三菱未来館などパビリオンごとに限定販売されたパビリオン版です。全国版が255万シートだったのに対し、パビリオン版9種の発行枚数はわずか5万シートずつでしたから、いかに少ない数か分かるでしょう。当時の販売価格8,100円に対して、現在のカタログ価格は35,000円。額面の実に4倍以上の評価となっています。中でもトヨタグループ館についてはトヨタが自らのパビリオン版を大量購入してしまったため、切手収集家に充分な数が行きわたらず、最も入手困難となっています。
急に需要が増えた干支文字切手
最近になってニーズの高まっている切手も存在します。それは干支文字切手の「酉」です。毎年恒例発行される干支文字切手ですが、2004年の「酉」から発行開始され、2015年に「申」が出たことで、ちょうど十二支が一巡しました。そこで初回発行分から全部揃えたいと思う人が増えたのでしょう。現在のカタログ評価は2,500円。実に額面の3倍以上の値上がりです。切手の実勢価格を知りたい時に買うべきカタログとは?
ほかにも値上がりした記念特殊切手がありますが、1つ1つについて知りたければ、『日本切手カタログ』(日本郵便切手商協同組合)を書店などで購入すると良いでしょう。今まで発行されてきた日本切手の価格の目安が1冊で分かるので、大変便利です。類書に『さくら日本切手カタログ』(公財・日本郵趣協会)もありますが、最近の日本切手の実勢価格を調べるのであれば、やはり前者のほうが好適でしょう。値上がりする切手の共通の特徴は!?
値上がりの著しい切手は単に発行枚数が少ないだけではありません。価格は需給バランスで決まりますから、やはり図案が美しく、人気の高いものが多くなります。また、アニメ・ヒーロー・ヒロインシリーズの「銀河鉄道999」(2006年)が当時の販売価格800円のところ、カタログ価格は3.5倍の2,800円を付けているなど、特に人気の高いアニメやキャラクターなども狙い目かもしれません。ほかに発行地域限定のもの、抽選の景品でしか手に入らない切手・はがき類も要チェックと言えるでしょう。値上がり必至!? 2016年発行の記念特殊切手の注目株は
2016年の新切手の中で、「まず間違いない」とオススメできる切手をご紹介したいと思います。それはズバリ、2016年5月26日(木)発行予定の「伊勢志摩サミット開催記念(特別小型シート)」です。値上がりが予測される理由は、日本初のシルク製切手であること。わずか25,000枚と発行枚数が極端に少ないこと。500円切手を2枚収めた特別小型シートで、販売価格1,300円と買いやすいのもポイントです。加えて、切手デザイナーの玉木明氏が担当していることも好材料です。「切手趣味週間・洛中洛外図」など、ここ最近、人気作を連発している彼なので、実物を見るのが今から楽しみです。
ちなみに、「伊勢志摩サミット(特別小型シート)」は、すでに通信販売分は完売です。発売当日の朝に全国の主要郵便局に並ぶしかありません。おそらく多くの局で1人1シートまでといった制限販売が実施されると思われますが、ぜひこのチャンスに入手しておいてはいかがでしょうか。これほどまでに値上がりしそうな要件を備えた切手はめったにありません。
さて、次回の記事でも切手・郵便に関わるトリビア的な内容をお伝えしたいと思いますので、ぜひお付き合いいただきたいと思います。