木材の腐食、外壁のひび割れ、耐震強度…
問題の多い一戸建て
築39年の一戸建ては、事前のインスペクションで基礎の上の土台(1階の窓枠の下部部分)の木材が腐食していたり、階段横の壁にシロアリ被害が予見される木材の傷みがあったり、外部から見てわかる外壁の亀裂や浮きなどの問題が指摘されていました。1階の床を踏み込むと沈む現象も見られ、基礎を含む構造部分のリフォームが必要だということになりました。
見学時に確認した、土台の木材の腐食や外壁の大きなひび割れ
まずは1階を見学
基礎補強工事と耐震改修がポイント
かつて1階はダイニング・キッチンとリビングでした。キッチンやエアコンなどの設備、壁や床を撤去してみると基礎や外壁の状態が分かります。基礎部分は土を固めた上に鉄筋の入っていない(無筋)コンクリートを立ち上げて、建物の壁の下部を支えるものでした。コンクリートの一部に亀裂も認められたので、基礎全体を補強する工事を行うことになりました。リフォーム前の1階室内(写真提供:さくら事務所)
内装解体直後の1階室内(写真提供:さくら事務所)
土を深く掘って、基礎の耐圧盤を鉄筋コンクリートで固めた(写真提供:さくら事務所)
基礎の立ち上がりに鉄筋を配してから枠を当ててコンクリート固めて、基礎の補強工事が終了(写真提供:さくら事務所)
基礎のコンクリートと土台となる木材は、ボルトを埋め込んでつなぎ、地震などの揺れで土台が基礎から引き抜かれないように強度を高める
ボルトを埋め込む
1階部分の耐震強度を高めるために、キッチン部分の窓をつぶして、筋交いを入れたほか、リビング側の壁にも筋交いを入れて、接合金物でしっかり止めるという耐震補強を進めています。
見学時は筋交いを入れて接合金物でしっかりと止める工事が進行中だった(リビング側)
2階へ移動
筋交いに穴が空いていたという衝撃の事実も
2階の壁にも、筋交いを入れて壁の強度を高めています。が、衝撃的な事実が浮かび上がりました。筋交いは耐震強度に重要な役割を果たすのですが、壁を撤去してみたら、2階にもとからあった筋交いの木材に、エアコンの配管のための穴が空いていたのです。これでは、筋交いの効果が期待できません。残念なことに、こういった事例はよく見かけるのだそうです。壁にエアコン用の穴が空けられているが、近づいてよく見ると筋交いを貫通していた
>>次は、「シロアリ被害や雨漏り」についてもレポートします。