賢く生きる3分間マネーハック/賢く生きる 3分間マネーハック

賢い投資は銘柄や売買タイミングよりコストで勝負する

シャンプーや車を買うのと同じように、投資にもコストの問題があります。賢い投資は銘柄や売買タイミングよりコストで勝負するのです。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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投資にはコストがかかるが甘く見る人が多い

賢い投資は銘柄や売買タイミングよりコストで勝負

賢い投資は銘柄や売買タイミングよりコストで勝負

資産運用を考えるとき、「いい会社はないか」とか「安い価格の株はないか」といった売買価格やタイミングを考えることに人は熱心になります。

しかし、投資のコストを考える人は少ないのが現状です。なぜなら投資をあなたに提案してくる業者サイドはそこで儲けているため積極的にコストの話題を取り上げてこないからです。
(発想を転換すれば、あえてコストを取り上げる業者は信頼に値する可能性があります)

今回のマネーハックは「コストと投資」の大事な考え方について発想を逆転しながら整理してみたいと思います。

証券会社や投資を提案する銀行の担当者が教えてくれないコストの話を考えてみましょう。

売買時だけかかるコスト/ずっと払い続けるコストの違いを見極める

投資にかかるコストを考えればおおむね3つの局面で発生します。

・購入時点
・保有期間中
・売却時点

もうひとつ「口座維持手数料」のようなものが考えられますが、一般に銀行や証券口座はこれを徴収しません。もちろんかかる場合はそうした金融機関は避けてください。

「株」については売買時のみ費用がかかり、保有期間にはなんの費用も生じません。10年保有した株を売るとき、10年前に買ったときに一度、売るときに一度だけ売買手数料がかかります。長く持つことを考えれば株はかなり投資コストの低い対象です。売買コストは金額によって変わるほか、一日あたりといった手数料体系を併用し選択できる場合もあります。この場合は自分にとって有利な方を選びます。

「債券」については、新規発行されたものの購入には費用がかかりません。保有期間中もかかりません。満期になったときは預けたお金が戻るイメージなので売却費用も生じません。費用のイメージは定期預金のような感覚です。ただし期間中途の売買については費用が生じます。

「投資信託」については購入時点で「購入時手数料」を購入費用の一定率支払います。無料とする場合もあり、その場合はノーロードの商品と書かれています。保有期間中には「運用管理費用(信託報酬)」等がかかります。これは保有資産の残高から自動的に引かれていきます。当然低いほうがいいことになります。売却時には「信託財産留保額」という費用が内枠で引かれます。かからない場合もあります。

高いコストは高い運用成績を約束しない(元本割れしないことも約束してくれない)どころか、運用成果を押し下げる

私たちが個別企業を細かくチェックして株を売買するのでなければ、投資信託が主要な投資対象となります。購入金額が1万円前後というのも株と比べて低コストから始められるメリットです。

しかし投資信託の特徴は「運用管理費用(信託報酬)」が日々かかることです。細かい投資の判断や売買を代わりにやってもらうための費用ということになります。この投資コスト、「プロにやってもらうコスト」として適当かどうかは注意しなければなりません。

基本的に、高いコストを払っても高い運用成績は約束されません。高いコストを払ったからといって元本割れを避けられるわけでもありません。

むしろ逆で、高いコストが結局のところ運用成果そのものを下げる要素となることがしばしばです。

家電品や車のように、普通にモノを買う感覚なら値段の高いほうが質が高いことになるわけですが、投資ではあまりそういう関係がないのです。
(むしろ国の年金運用のような何億円単位の投資のほうが手数料は超激安で、個人の投資のほうが費用が高いことになったりする)

だとすれば低いコストで投資を考えることのほうが重要だ、ということになります。

同じ投資成果であれば運用コストのわずかな差が最終受取額を大きく左右する

投資信託であれば、ノーロードで購入するのが基本であり、運用管理費用も年率0.7%以上払う必要はありません。どんなにガマンしても年1%で払いすぎの部類です。

もし割高な商品しかないなら、割安の商品を探して他の金融機関にいくほうがいいでしょう。割安の商品を探してネットショップに行くように、ネット証券にいけば割安の投資信託がたくさんあります。

年1%くらいのコストの差がつく、ということはどういうことか簡単な試算をしてみましょう。仮に毎月1万円の積立投資をしてみます。投資信託Aはノーロードで運用管理費用は年0.5%、投資信託Bは購入時の手数料が3%の運用管理費用が年1.5%だったとします。

どちらも運用成績は年4%を維持していたとしたら、30年後の運用残高は635万円と519万円になります。もちろん手数料が高いほうが運用残高も低い方です。

積み立てている金額は同じ、運用期間も同じ、運用成績も同じですが、金融機関に引かれる手数料だけで116万円も差がついた、というわけです。その差はもちろん金融機関の儲けです。

投資においてコストの問題は切実です。金融機関の儲けはあなたの儲けを増やしてはくれない、むしろ減らすことなのだと肝に銘じて商品選びをしてください。

なお、「ノーロードなので購入時の費用は無料ですよ」と宣伝しておきながら、保有期間中に引かれる運用管理費用(信託報酬)が割高という投資信託もありますので要注意です。

コストの問題、売り手側はあなたに強く説明してくれませんし、むしろ高コストは高品質であるかのようなセールストークをセットにしてくることもあります。

ドラッグストアやスーパーで10円単位でコスト意識を持つのと同じく、投資についてもコスト意識を強く持つようにしてください。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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