マカオってどんなところ?
マカオは中国広東省の南部、香港からフェリーで小一時間ほどに位置する小さな半島。川を隔てて中国本土に接している。1999年に行政権がポルトガルから中国に返還され、現在は中華人民共和国の特別行政区として、香港と並び「一国二制度」が適用されている。
人口は約64万人、総面積は約30.3平方キロメートルで世田谷区の半分。そんな小さな島にもかかわらず、マカオには世界から一日平均約8万6,000人もの観光客が訪れている(2015年実績.「マカオ観光局」調べ)
2015年の訪日客が2,000万人、一日平均55,000人だから、面積比でみればそのインパクトは大きい。
ポルトガルと中国の文化が融合する街
マカオは日本人にも人気で、「マカオ観光局」によれば2015年は28万人以上が訪れ、半数を越える58.5%が宿泊して街を楽しんでいる。楽しみ方は様々だが、やはり最大の人気は2005年に世界文化遺産に登録された「マカオ歴史市街地区」だ。4世紀以上にわたり、ポルトガルと中国という東西の文化が融合・共存し、作り上げてきた生活様式や建築が今もなお残っている。
■聖ポール天主堂跡
これは「大三巴」とも呼ばれるイエズス会の教会の跡。1835年に本体は焼失し、この部分だけが今も残されているが、両腕が失われたからこそ有名になった「ミロのヴィーナス」のように、ファザード部分だけが残ったことでかえって印象深い存在となっている。
■砲台跡
まるでグランド・リスボアに砲口を向けているかのような姿がファンに人気。
世界遺産というと博物館のように見学に訪れる場所のように思われるが「マカオ歴史市街地区」は地元の人たちが今も日常生活を送っている場所そのもの。文化遺産となった街がいまでも現役で使われ、その中に私たち観光客も入り込むことができる。
「セナド広場」は人気の記念撮影スポットだ。
セドナ広場では度々イベントが行われる。(写真は15年末に行われたマカオ・ライトフェスティバルの時)
パンダ好きにはたまらない超穴場!「マカオ大熊猫館」
マカオには見どころがたくさんあるが、中でも穴場は「パンダ館」だ。日本でもパンダは大変な人気で、上野動物園ではいつも長い行列。ずっと待ってやっと見られると思ったら数十秒でおしまい。
もっとじっくりパンダを見たいという人にオススメなのが路環(コロアン)の「澳門大熊猫館」(マカオ・ジャイアントパンダ館)だ。
日本と違ってほとんどお客さんがいない。私と仲間が訪れた時、よほど珍しかったのか、パンダ館の従業員男性が驚いた顔で見ていた。
ご覧の通り、日本とはまるで違うお客さんの入り。パンダを気が済むまで見ることができる。
パンダが目の前までやってくる。ガラスがなければ手が届く距離だ。
「アウトレット」も意外な穴場
意外な穴場は洋服のアウトレットだ。商品展示会で使用したサンプルなどを中心に、アウトレットとして販売しているお店が街に点在する。写真はその一つ。アウトレットとは本来、売れ残った正規品や展示会で使ったサンプルをディスカウントして売る店のこと。
ところが、日本で近年増えているアウトレットでは、実ははじめからアウトレット用に安価で売ることを想定された商品が多い。その点、マカオの場合は正規品のディスカウントだからうれしい。たまに掘り出し物もあるので訪れてみるのも面白い。
どこでもおいしい食べ物
マカオの料理はどこで食べてもほとんどハズレがない。もちろんとびきりおいしいレストランもあるが、庶民向けの店だからといって味が落ちるわけではない。これはマカオ大学内のレストラン「富臨軒」。日本の学食ほどざわついておらず、地元の人や中国からの旅行者で満員になるほど人気。値段もお手頃で、飲茶など、つい食べ過ぎてしまう。
そして、マカオといえばエッグタルトだ。
元々ポルトガルが発祥と言われるが、それをマカオ風にアレンジしたもの。すっかり人気になり、店には毎日長い行列が出来ている。
IR(統合型リゾート)により最終目的地として成功
マカオには毎年約28万人以上の日本人が訪れ、その半数以上が宿泊していると冒頭で申し上げたが、かつてマカオは香港から日帰りで訪れる島に過ぎなかった。それが今は宿泊して楽しむ旅の最終目的地(デスティネーション・リゾート)として人気になったのは、一にも二にも安全でくつろげるIR(統合型リゾート)が増えたからだ。
IRとはカジノの売上げを活用した総合的なエンターテインメントリゾートのこと。ショー、最高級のレストラン、SPAやプールやアトラクション、さらには巨大なコンベンションセンターもある、遊びにもビジネスにも使えるリゾート施設だ。
2015年に新しくオープンした「スタジオシティ」は、カジノフロアも全て一般観光客向けの滞在しやすいリゾート。
■グランドリスボア
現地では「世界で二番目に醜い建物」と言われているが、もちろん愛情こめたジョークだ。ここにあるレストラン「8」(エイト)は絶大な人気を誇る。
■メルコ・クラウン
エンターテインメント施設「シティー・オブ・ドリームズ」では、ラスベガスのショーに匹敵する「ハウス・オブ・ダンシングウォーター」が行われている。
IRによって安全になった街
実はIRは街の安全に大きく寄与している。IRは1年365日24時間営業の不夜城。周囲は明るく照らされ、警備のためのカメラも多い。しかも働く人が昼夜を問わず歩くため、街には常に「人の目」があり、観光客が安心して夜も楽しめるからだ。女性観光客が夜中に一人で歩いても怖い思いをしたという話は聞いたことがない。
近年急増するIRは、あたかも利益の競い合いをしているかのように見られるが、実は「安全性の競い合い」でもある。なぜなら安全こそ多くの観光客に来てもらうための最大のポイントだからである。
素朴なマカオの人々
安全という点で日本に勝る国はないと言われるが、今のマカオは劣らず安全だ。人々も日本の地方都市を想像していただければいいだろう。素朴で親切な人々が昔ながらの下町に暮らしている。食堂で食べていたら椅子の下で何かが動いた。見ると猫がいた。
トイレを聞いたら「あっちだよ」と教えてくれた。
声を張り上げて「ポークジャーキー」を売るおばさん
夜中の街は更に面白い。
進むと、あるアパートの入り口で困っている女性がいた。話しかけてみたところ、シャッターの鍵が故障して開かないらしい。
「ちょっと見せて」と、私も手伝い、悪戦苦闘の末、やっと開いた。
「よかったね!」
「ありがとう!」
広東語は挨拶程度しかわからない私だが、十分通じあえた。しかも彼女らは私を全く警戒しなかった。
思い出に残りやすい「参加型観光」
マカオにはイベントも盛りだくさん。中にはこちらが参加できるものもある。その一つが「マカオ国際マラソン」だ。昨年、私もハーフマラソンに参加してみた。
何とスマホを見ながら走る人がいた。いかにも現代のマラソン風景だ。
日本人ランナーが軽快な走りで私を抜き去っていった。
見るだけの観光と違い、マラソンに参加したことでマカオの街がさらによくわかった。やはり自分の足で巡ることこそ観光の醍醐味だ。
観光客と現地の人がともに楽しむ幸福な一日
マラソンの日には「マカオ・ラテンシティ・パレード」も行われた。マカオにある学校や会社の人たちが、それぞれグループの特徴を表す衣装に身を包み、ダンスを披露しながら街を練り歩く。国外から参加するグループもある。
マカオが楽しみに包まれる夢のひとときに、大人もすっかり童心にかえってしまう。他にもマカオは季節ごとに様々なイベントが催されている。
一度訪れてみてはいかが?