低体温の子どもが増えている?
子どもの平均体温は1935年の37.2℃から、1995年には36.2℃まで下がっています
保育園に通園している5歳児181名を対象に調査した結果によると、朝登園時の体温で36℃未満が14.4%、36℃~36.9℃が70.1%、37℃以上が15.5%であったと報告されています。さらに、朝の2時間における幼児の体温の変動幅で1℃以下低下した子どもが、平成8年0%、平成9年2.5%、平成10年3.1%と増加する傾向がみられます(『体育学研究』 2004年/前橋明)。
子どもの体温は、1935年で37.2℃、1960年で37.1℃、1980年で36.3℃、1995年で36.2℃と平均が下がっていることから、低体温の子どもが増えていることになります(『体育の科学』 2004年/田中英登)。
子どもの低体温の原因は、自律神経の乱れにあり
低体温は、体温調節がうまくできない結果です。その原因は自律神経の働きが悪いことにあります。自律神経の乱れによってイライラしたり、集中力がなくなったり、対人関係に問題が発生したり、怒りやすくなったりします。自律神経の働きを悪くする原因は、就寝時刻が遅い(睡眠不足)、朝食の欠食または不十分である、バランスの悪く偏った食事(食生活の乱れ)、排便がない、冷暖房の使用および過剰使用による体温調節機能の低下、テレビやビデオなどの視聴、ゲーム時間の増加(睡眠不足、運動不足)です。
寝る時間が遅いと睡眠不足になり、ゲーム時間が増えると夜遅くまでゲームをして寝る時間が遅くなります。また、テレビ・ビデオ・ゲームなどの室内で過ごすことが増えることで運動が不足します。
子どもの低体温の改善方法・対策法
低体温の改善方法としては、まずは生活習慣を見直します。1日の生活リズムで大事なのは睡眠・運動・食事です。■睡眠でできる低体温対策
規則正しい生活の基本は睡眠です
寝る前はカフェインを含む刺激物を避け、軽い読書や音楽などでリラックスし、入浴はぬるめのお湯にします。部屋の照明もやや暗めし、食事は3時間前までに済ませること。また、スマホや電子書籍は控えさせましょう。
・眠たくなってから床につくようにする
ふとんやベッドの中でだらだらするのではなく、眠くなってから床につくようにします。
・規則正しい生活をさせる
普段の睡眠時刻を決めて、体内リズムを整えます。
・より深く眠るための工夫をする
三度の食事と適度な運動をし、睡眠時間にこだらない、いびきや不規則な呼吸になっていないかどうかを調べます。
・スッキリ目覚められる工夫をする
体内時計のリセットのため、朝の光を浴びさせましょう。
・寝だめせずに休日でも同じ時刻に起床させる
体内時計を整えるのに有効です。
・テレビ・ゲーム・スマホの利用時間を決めておく
光刺激のあるテレビ・ゲーム・スマホなどで寝つきが悪くなり、また一定の姿勢をとり続けることで筋肉量の低下を招くので、長時間の使用を避けるようにしましょう。
・適切に冷暖房を使用する
快適な睡眠のために、1日の中で寒暖差が少なくなるように冷暖房の調節を行います。
■運動でできる低体温対策
運動して、筋肉をつけましょう
体を動かすことで、熱を作りだす産熱と熱を放散する放熱の機能が活性化され、自律神経の働きもよくなり、体温を一定に保つことができるようになります。継続的な運動を行うことで筋肉量が増え、体温も上がり、代謝がよくなり、ホルモンの状態がよくなります。すると生活リズムが整い、十分な睡眠時間を取ることができるようになります。
1日の熱産生量の50~60%は、筋が動くことによる代謝で、このエネルギーを生み出す源が食事です。
■食事でできる低体温対策
朝食をしっかりと摂りましょう
夕食をしっかりと食べたり、夜は早く寝たりするなど、ちょっとした工夫で朝型の生活にすることができます。排便習慣も重要で、朝食をしっかりと取ることで朝に排便する習慣がつきます。排便習慣によって、腸の動きが整い、運動する準備ができ、自律神経のバランスが整います。
食事内容は、炭水化物を含むごはん・パンの主食、魚や肉、卵、大豆製品などを主材料にした主菜(たんぱく質や脂質はエネルギー源になります)、野菜やいも、海草などを主に使った副菜(カルシウムやビタミン、食物繊維などを多く含みむもの)、うす味でバランスよくメニューがお勧めです。
また、水分補給にも注意が必要です。運動すると汗をかき、代謝が上がるため体内の水分が不足しがちになります。水分の取り方としては、少量をこまめに飲むことが勧められます。運動した後には水分補給を心がけ、常温または人肌程度に温めて飲むとよいでしょう。
運動・食事・水分は3つとも相互に関係して、低体温対策になるのです。
子供の体調不良に関連して、「小児科医が教える急な発熱への対処法・解熱剤の注意点」もあわせてご覧下さい。