ゲーム業界ニュース/ゲームと社会問題・犯罪ニュース

健全化しないゲーム業界と規制に期待するユーザー(2ページ目)

「グラブる?」のCMで多くの人が知っているモバイル端末向けゲーム「グランブルーファンタジー」の返金騒動が波紋を呼んでいます。ことは、グランブルーファンタジーだけではなく、ゲーム業界全体の問題として広がっていきそうです。一方、ユーザーの中には、むしろ規制されることを望むような声もあります。なぜ、そんなことが起きているのでしょうか。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

確率表記と救済措置

グランブルーファンタジーの図

様々な施策を提案していますが、重要なのはその中身です

この状況を受け、サイゲームスはいくつかの改善措置を行いました。まず、これまでイベントで「出現率UP」とだけ表記していたことを改め、個別の出現確率を表記することにしました。また、ガチャで何が獲得できたかを表示していた「ガチャ履歴」の内容が疑わしいという指摘がユーザーからあったことを受けて、履歴を撤去しました。

さらに、ガチャイベント中に運悪く何回ガチャを行っても目当てのキャラクターが出ないということを防ぐため、300回以上、対象となるガチャを行ったユーザーに、すきなものをひとつ獲得する権利を与えます。

そして、仲間が解放される武器を2回目以降獲得した際、つまり同じキャラクターを2回当ててしまった場合に、単なるハズレにならないようにおまけアイテムを提供する仕組みを提供します。

その他、「ご不安の念を抱かせてしまいましたことのお詫び」として、ガチャを利用するのに必要な「宝晶石」などのアイテム配布を行います。これは現金ではありませんが、事実上の返金に近い対応です。

【関連サイト】
レジェンドガチャに関する重要なお知らせ(グランブルーファンタジー公式サイト)
「グランブルーファンタジー」の今後の方針について(グランブルーファンタジー公式サイト)

9万円課金したら好きなアイテムが1つもらえると言われて、安心してゲームができるのだろうか?

お金を使い過ぎたユーザーの図

本当に安心して遊べる仕組みになっているのでしょうか

一見、様々な問題に対応しているかのように思えます。しかし、これで十分かと言えば、必ずしもそうとは言えないでしょう。

個別の出現確率表記は大変素晴らしいことですが、それを客観的に信頼できるという透明性が確保できていない点で不安は残ります。ユーザーとメーカーが信頼関係で繋がっていれば必要のないことかもしれませんが、信頼関係があればそもそも返金騒動など起こらなかったはずです。

ガチャ履歴の撤去に関して言うと、「運営では本履歴に関する操作は一切行っておりません。」とはしているものの、内容が疑わしいという指摘に対し、撤去をしたというのでは対応したことにはならないでしょう。不正な操作を行っていないのであれば、撤去する理由もありません。

さらに、300回以上ガチャを行ったユーザーへの救済措置ですが、70万円をかけても出なかった、という声があることを考えれば確かに改善されたと言えます。しかし300回という回数に、ガイドは大きな感覚のズレを感じます。今回対象となるガチャ300回というと、金額にして約9万円相当です。この施策について、サイゲームスは「お客様に安心してご利用いただくため」としています。

もし本気で、9万円課金したら好きなアイテムを1つあげるので安心してご利用ください、というようなことを提案しているのであれば、正気の沙汰ではないでしょう。これを例えばテレビCMで宣伝したら、最近のゲームは安心して遊べると、どれだけの人が思うのでしょうか。むしろ、ガチャと呼ばれる仕組みで起きている世界の異常性が浮き彫りになったと感じます。

そしてこの異常な状態は、ゲームそのものにも大きな影響を与えています。
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